6月句会投句一覧
兼題の部(梅雨晴間)
1梅雨晴間物干し竿を売る車2梅雨晴間食感のよき日なりけり
3入梅晴れ山の化粧ず猪苗代(けさうず)4梅雨晴間植木整へ空仰ぐ
5梅雨晴間散歩の犬が尾を揺らす6逆上がりできたと告げる五月晴
7梅雨晴間野外ライブの鮮鮮し8抜け落つる押し葉の栞梅雨晴間
9陽のにほひシーツに残し梅雨晴間10手相見の一語に安堵梅雨晴間
11梅雨晴間生きとし生けるもの息吹く12梅雨晴間芝生をつつく鳥せはし
13ひな鳥の飛行練習梅雨晴間14畦直す田の輝きや梅雨晴れ間
15梅雨晴の水溜まり道草の列16梅雨晴間甍の光り波打てり
17梅雨晴間なにはともあれ雲を描き18筒抜けの子等の声過ぐ梅雨晴間
19草の花の匂い新たな梅雨晴間20梅雨晴間水音高き用水路
21釣り好きの漁師魚籠もつ露晴間22ハルカスの影の伸び行く梅雨晴間
23黒板に日付と曜日梅雨晴間24屋根の釘打ち直しけり梅雨晴間
25陰干しの傘のひねもす梅雨晴間26清かなる山の緑や梅雨の晴
27ビー玉の模様転がる梅雨晴間28梅雨晴間開拓民の父祖の地の
29甌穴の大小幾つ梅雨晴間30梅雨晴間亀もビキニも甲羅干し
31梅雨晴間路地にはぢける子らの声32富士山の片側青き梅雨晴間
33梅雨晴間洗ひざらしのシャツを着て34梅雨晴間わが家の猫は右脳的
35畳んでは広げる傘や梅雨晴れ間36けものにも分けて畑作梅雨晴間
37ジャングルジムに子ら声高く梅雨晴間38校庭に児の声戻る梅雨晴間
39カラフルな傘並べおり梅雨晴間40鳥高く羽根を広げて梅雨晴れ間
41笑むような夫婦道祖神梅雨晴間42開け放つ窓から梅雨の晴間かな
43象の耳はたはた動く梅雨晴れ間44来し方に少し瑕疵あり梅雨晴間
45今日のこと明日に回して梅雨晴間46亀二匹甲羅干しおり梅雨晴間
47梅雨晴間クルーズ船の白まぶし48梅雨晴間三連水車廻りそむ
49梅雨晴間鍬かつぎゆく縄手道50梅雨晴間ダムからダムへ路線バス
51梅雨晴間飛び出す犬の前のめり52梅雨晴れ間家中の窓開け放つ
53梅雨晴間バイクの音の海へ向く54梅雨晴間黒色ばかり洗たくす
55梅雨晴や客のあふるる釣具店56梅雨晴間予定外なる家事増へて
57花の寺梅雨の晴間を狙ひけり58梅雨晴れや外湯めぐりの下駄の音
自由題の部
59落し文これよりさきは男坂60悠然と一禽あゆむ植田かな
61二の丸の濡れて雨音はな菖蒲62楚々として山あぢさゐの道に添ふ
63水田の飛沫上げたる通し鴨64糸とんぼ飛ぶといへども隣の葉
65古本のうすき書き込み桜桃忌66釣忍五十年余を来し二人
67長の袖恋し女子騙しの衣更え68父の日の謝意の悪態つきにけり
69万緑や白壁映ゆる美術館70昼顔や掃き清めたる比丘尼寺
71万緑に高速道路建設中72気の沈む癒しの時の青時雨
73江ノ電の紫陽花似合う虚子立子74人を恋ひ草笛の音沁み入りぬ
75薫風や影の濃淡掻き分けて76夕虹や雲を置きたる信貴生駒
77手まり花番傘越しの京ことば78宗達の雷神駆ける雷の夜
79たどり着く谷地に広がる水芭蕉80愛憎のすれ違う日や薔薇館
81昼寝覚読みかけの本捲れをり82緑陰の一人独りの余生かな
83緑蔭の辿るばかりの支考の碑84麻のれん風にゆらゆら蔵の町
85権禰宜の木靴響かせ夏祓86夕虹や去り行くいかり肩の人
87毛の国の巨岩奇岩や雲の峰88夏至夕べ明るいうちに千鳥足
89籐椅子で揺らすワインの赤さかな90時鳥鳴くや峠の分かれ道
91福助の深きお辞儀や桐の花92黴の香や考愛蔵の資本論
93蒼き秀のメタセコイヤに灯る星94短夜の低く調へテレビ音
95紫陽花や警戒水位を越ゆる川96石庭の石をしとどに青葉雨
97名店の閉じる報あり梅雨深し98人口の骨で踏み出す夏木立
99紫陽花やでで虫出でて絵となりぬ100夕暮れの風の重さや梅雨兆す
101遠雷や雨呼ぶ風の匂ひくる102つや出しで磨いたやうな茄子をもぐ
103まくなぎや顔背けてもそむけても104新しき風吹きぬけて紅蓮田
105龍馬道明治は遠し百日紅106はんざきの隠れ棲みたる濡れ岩間
107鵜篝の火屑弾きて闇煽る108坂登りきる六月の風と会ふ
109父の日や半分欠くる貝ボタン110胡瓜もみ添えて二人の会話かな
111青梅や川を隔てて古戦場112しつけ糸の屑集めたる薄暑かな
113梅雨深し鉄のにほへるハーモニカ114もぎたての胡瓜や棘の痛さ知る
115青空を洗濯物や向日葵と116せがまれて孫と湯浴みの夏至夕べ
117行先は海月の多き水族館118風鈴を吊るや詩心のよみがへる
119電柱にそいて南天花つける120朝夕の二度の散歩時草取女
121打水や猫は主人の側で寝る122蝉しぐれ雌蝉これを聞き分けて
123額の花小さきパン屋の窓明し124涼しさや水盤に置く白き石
125滴りし緑に滲む宮の紅126耀変の皿が物言ふ夏料理
127対岸の車の尾灯星涼し128トンネルを抜けて海の日始まりぬ
129口癖の母に似てきて釣忍130梅雨晴れ間トンボのつがい低く飛ぶ
131五月雨や浄土を残し光堂132故郷のはらから如何に柿の花
133栗の花匂へば遠き父のこと134煌煌といま天心の梅雨の月ー
135雨あがり色よき青の四葩かな136青嵐舟描かれし弥生土器
137はやばやと川と一体鮎釣りぬ138蝸牛そなたに聴かす笙の笛
139かけ流す出湯溢れをり青葉風140歳月のめぐる速さや花は葉に
141夏蝶の黒こそ良けれ光りける142亡き父に似てくる夫や寝籐椅子
143流木は根付きのままに出水川144山法師散りて花びらご乱心
145アセチレン匂ふ夜店の懐かしき146一生を一平米であめんぼう
147蛍狩旅館の下駄を鳴らしつつ148青葉闇水難碑ある土手伝い
149更衣セーラー服の白眩し150青い海わだつみの声沖縄忌
151水盤に睡蓮浮かせ雲浮かせ152懸崖に度胸一番燕の子
153青葉闇北の丸へと門を入る154一泊の検査入院明易し
155滝見茶屋緑に映えし緋毛氈156蛇の衣そっくり置いて惜しげなく
157梅雨の朝癖毛と戦う鏡前158雑念を払い落して釣鐘草
159一滴にはじまる大河雲の峰160花菖蒲媼の捌く櫓に揺れて
161蜜豆や志ん生ばなし聞きながら162父の日のモノラル曲に父の顔
163立ったまま眠るペンギン半夏生164花かほる菩提の樹下の雨宿り
165野仏の前掛の濡れ鴨足草166漆黒の闇の底より大螢
167モノレールの無人運転夏の月168サイダーを音立てて飲む孫のおり
169一匹の蚊に起こされて寝付かれず170鉄線花見合ひ相手に恋をする
171夕焼けの陰ひきずりて海出づる172厨窓毎夜来たるは蜥蜴なり
173オリーブの花を愛ずるや山羊の声174若竹や篠突く雨に撓ひつつ
〔選句方法〕

下の〔草ネット投句〕ボタンから送信するようにお願い致します。
「選句」を選び、兼題より1句、自由題より2句の計3句を選択し、
都道府県名・氏名(俳号可)を明記の上、「送信する」ボタンを
押してください。

選句〆切:7月27日(金)、発表は7月31日(火)に行います。

なお、一部の漢字はネット上では正しく表記されず、
「?」で示されますので、読みを入れてあります。
        
5月句会結果発表
兼題の部(卯波)
作 品 互選 選者選 都道府県 作者
10卯波寄す漁村一面一夜干し6埼玉県祥風
2夕映えの一帆をのせ卯波立つ4埼玉県大谷 茂
28原発の岬の沖に卯波たつ4奈良県陶生
13青空にとんびの笛や卯波立つ3埼玉県郁文
21瀬戸内の島それぞれに卯波立つ3神奈川県ひろし
19バス停に忘れ傘あり卯波立つ2東京都一八
12波照間島躍らせ卯波立ちにけり2岐阜県近藤周三
14卯波寄す海神祀る白鳥居2三重県みゆき
17卯波立つ夫の残せし釣り道具2千葉県須藤カズコ
35卯波立つ犬吠埼の暮色かな2千葉県みさえ
24高卯波海峡を跳ぶ海豚かな1神奈川県毬栗
40タンカーの見え隠れして卯波かな1三重県八郷
1しらじらと卯波つらなる岬の径1茨城県垣内孝雄
4稚眠る卯浪の渡船ゆりかごに1福岡県伸治
5島渡る橋より眺む卯波かな1愛知県コタロー
7風孕み白き帆卯波切り進む1静岡県かいこ
8攻めくるは源氏の旗か卯波立ち1京都府せいち
22磯舟は海の青色卯波立つ1北海道三泊みなと
23故山遠し卯波の花の散る先に1京都府喜柊
27石組の軍艦島や卯波寄す1神奈川県ドラゴン
29砂城を崩し引きゆく卯波かな1埼玉県グレイス
31音立てて卯波寄せくる入り江かな1岐阜県色即是句
33隠れ岩見えかくれして卯波かな1大阪府レイコ
38卯波たつ伊良湖岬や空青し1岐阜県小太郎
41逆光を纏ひ坂巻卯波かな1埼玉県まこ
42ふるさとは白い灯台卯波立つ1三重県穂のか
44玄海の岩礁穿つ卯波かな1福岡県蛍川
46卯浪と言う真砂女の店を想いけり1千葉県相良 華
47あをあをと卯浪寄せ来る東尋坊1滋賀県和久
50利尻富士護るがごとく卯波立つ1兵庫県ぐずみ
自由題の部
作 品 互選 選者選 都道府県 作者
92笑わせて始まる法話梅雨に入る9三重県八郷
136屋台からソースの匂ふ薄暑かな6神奈川県風神
56ほうれん草女にもある力こぶ5福岡県伸治
95キャンパスの広さに慣れて風薫る5神奈川県つかさ
73母の日や何も要らぬと母は言ひ4神奈川県ひろし
85山の影雲の影置く植田かな4大阪府レイコ
87竹の秋あづまやに聴く風のこゑ3千葉県みさえ
115はつなつのターボエンジン全開す3愛媛県さざなみ沙弥
84青蔦や時ゆるやかな喫茶店3神奈川県風神
113ひつじぐさ空の雫が花に満つ2滋賀県正男
89万緑のキャンパスに立つブロンズ像2埼玉県さくら子
55道なりに歩み来し日々更衣2千葉県えだまめ
59母の日や位牌のほこり払いたり2静岡県かいこ
70この沼が宇宙のすべて糸とんぼ2大阪府藤岡初尾
80父の日や自慢は海軍兵学出2奈良県陶生
103夏帽子目深にかぶり初デート2静岡県春生
114竹林の葉擦れさざめく梅雨隣2埼玉県祥風
122夕焼を西へ西へと急ぐ汽車2大阪府藤岡初尾
125舞妓らの鳴らすぽつくり夏めけり2神奈川県ひろし
129謹呈の文字おおらかに花うつぎ2奈良県魚楽子
134咲き満ちて星降る如しえごの花2高知県碧女
140一挿しに風のひそやか青すすき2神奈川県横坂 泰
155更衣して太陽を跳ね返す2静岡県春生
76風止めばふにやりと休む鯉幟1神奈川県毬栗
63ぽつと出る句の佳かりけれ著莪の花1愛媛県さざなみ沙弥
67円空の旅の遥かや里若葉1愛知県丸吉
71みずすまし自在に遊ぶ青き空1東京都一八
74畑仕事ばかりの五月来たりけり1北海道三泊みなと
78折れそうな心に四把の咲きにけり1愛知県さと
81青楓草加へ二里と道しるべ1埼玉県グレイス
83人集る若草山やみどりの日1岐阜県色即是句
86麦秋や牧舎に並ぶ黒き牛1三重県正耕
90新緑の真っただ中を子等遊ぶ1岐阜県小太郎
91木洩れ日の下のテラスやアイスティー1神奈川県冬湖
100海見むや展望台のサングラス1富山県露玉
101夕焼や檻のライオン目を細め1兵庫県小春
107ローマ字の標札の街風薫る1千葉県えだまめ
108渓流の風を読めないこいのぼり1福岡県伸治
109麦茶飲む中学生の喉仏1愛知県コタロー
112嵌らないジグソーパズル梅雨に入る1京都府せいち
118生垣の漣の如花卯木1三重県みゆき
123草を背に顔を過ぎ行く夏の蝶1東京都一八
124真夜中に探し物あり冷蔵庫1東京都いちこ
126母の日や妣の名を呼び仰ぐのみ1北海道三泊みなと
128薫る風こころの棘をそつと撫で1神奈川県毬栗
133薫風や堂開け放ち円空仏1埼玉県グレイス
137本尊の愛染明王著莪の花1大阪府レイコ
144万葉の古社見守りて樟若葉1三重県八郷
148平安の時へいざなう花樗1福岡県蛍川
149城濠に佇つ白鷺の凝視かな1愛媛県牛太郎
150港にも朝の顔ある夏初め1千葉県相良 華
151鵜匠女の眼に篝火のありにけり1滋賀県和久
153つるバラの風吹き渡る異人館1兵庫県小春
選評 選者:草の花俳句会副主宰 鈴木五鈴(すずきごれい)
 
《兼題の部:卯波》

★バス停に忘れ傘あり卯波立つ

静かな海辺のバス停を想像します。忘れ傘がベンチにでも立てかけられていたのでしょうか。少し前までは降って
いた小雨も止み、静かに晴れ間も広がりつつあったのかもしれません。畳んだ傘を手から離し、熱心に本でも読ん
でいた人がいたのでしょう。その方は、そのままバスに乗って去ってしまったようです。
バス停の忘れ傘と寄せては返す卯波。とても良い取り合わせでした。
 
◎波照間島躍らせ卯波立ちにけり

日本最南端の有人島が波照間島。その島を目指して延々とやってきた作者。この句は船からの眺めのようです。
卯波の海を渡る船。そしてようやく目に入ってきた波照間島は、その船の揺れとも相まって、あたかも卯波が躍ら
せているようだ、と感じたのでした。ここでの擬人法は嫌みがありませんでした。
 
◎卯波寄す海神祀る白鳥居

海に囲まれた日本には、あちこちの岩場に注連縄等が張られ神様が祀られています。作者が見かけた白鳥居の先に
は何と言う神様(海神であることは確かなようです)が祀られているのかは不詳ですが、しきりに卯波が寄せてい
るというのです。景の良くみえる句でした。
 
《自由題》
 
★ひつじぐさ空の雫が花に満つ

「空の雫」とは雨のことだと理解して良いのでしょう。作者はひつじぐさ(睡蓮)の美しさに対し、ストレートに
雨と言いたくなかったのかもしれませんね。未の刻(午後二時頃)に開花すると言われる睡蓮の花に満ちている雨
の雫。繊細なところに着目されました。
 
◎母の日や何も要らぬと母は言ひ

どなたも経験されているのではないでしょうか。「母」は、母に対する心持ちがうれしいのです。「母の日」とい
うその一日だけ、お母さんいつも気にしているのですよ、と言わんばかりの「物攻め」で、あとはまた音沙汰無し
では情けないものです。「何も要らぬ」という言葉の重みを思い知らされるような一句でした。
 
◎風止めばふにやりと休む鯉幟

最初は「休む」に抵抗感がありました。では何に替えようか、と思案もしました。鯉幟の句は、誰もが「風に泳ぐ」、
その風が止めば「休む」とやるのです。皆が「鯉」そのものに擬して詠んでいるのです。もう一工夫欲しいと常々感
じていたところでしたが、この句の作者は「ふにやりと休む」と表現しました。「休む」はともかく「ふにやり」は
鯉幟の実態・質感をうまく伝える言葉でした。絶妙な擬態語でしたね。
 
添削(ランクアップのために)

十七音しか使えない俳句にとって、一音はとても大事。とりわけ助詞は一句のいのちを左右するといっても過言では
ありません。ご研究ください。
 
・青楓草加へ二里と道しるべ → 青楓草加へ二里の道しるべ

瑞々しく揺れる青楓。作者は、その近くに道しるべを発見しました。そこには「草加へ二里」との文字が。そこで一句。
良い句材です。しかし、果たして「二里と」の「と」はどうだったでしょうか。「と」としたために、興味の中心が道
しるべよりも、刻まれた内容の方にいってしまい、青楓までもが褪せてしまいました。「と」を「の」に替えましょう。
俳句は、説明的に詠まないことがポイントになります。比較してみてください。
 
・新緑の真っただ中を子等遊ぶ → 新緑の真つただ中の子供たち

この句も「を」について考えて欲しいと思います。この「を」は、上の言葉を下へとつなぐ、「だから」という意味合
いを持っています。だから「子等遊ぶ」になるのです。少し理屈っぽく感じませんか。しいて子等は遊ばなくてもいい
のです。「新緑の真つただ中」に存在する「よろしさ」に焦点を絞っていただければと思います。
 
・遠き日の母の豆飯卵焼き → 遠き日の母や豆飯卵焼き

この句は「の」が問題です。「の」にしたために「豆飯卵焼き」が「遠き日の」ものになってしまったのです。想像上
の豆飯では季語になりませんね。あくまでも目の前に存在してこその季語なのです。「や」で切ることで初めて「遠き
日の母」と眼前の「豆飯卵焼き」との関係が読み手に伝わるのです。
 
        
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