4月句会投句一覧
兼題の部(茶摘み)
1牧之原遠見に富士の茶摘かな2遠き日の唄なつかしき茶摘かな
3茶摘女の指たをやかにをどりけり4畑に目を凝らす茶摘の誰かゐて
5青空に響き渡れよ茶摘唄6万物の発(は)る青空の茶摘みかな
7晴れさやぐ茶摘体験こはん時8四名のモデルを前に茶摘かな
9失恋の茶摘女精を出しにけり10日和良し茶摘の頃か故郷は
11指先に集む鼻うた茶摘笠12体験の一番茶摘むつぼみ組
13水沢の見渡す限り茶園なり14茶摘女のふるさと遠き親子かな
15茶摘女の新芽摘みたる細き指16園児らの茶摘み体験わいわいと
17カナダの男日本茶愛す茶摘み愛す18富士やまの包む台地の茶摘かな
19笑う声小波となる茶摘かな20神の富士崇めつ茶摘み空青し
21揉み上ぐる新茶の香り指につけ22茶摘み歌歌って孫と手の合はず
23遠景の茶摘み女の手甲よく動く24茶摘女の腰を伸ばして富士を見る
25幼さの残る横顔茶摘唄26茶摘女の飛交ふ異国ことばかな
27往き交うて惜しき香りよ茶摘籠28姉様の指細やかに一番茶
29全山を桃の紅白埋めつくす30茶摘女の付かず離れず喋りつつ
31お茶摘老も若きもたすき掛け32この帰る日に合はせたる茶摘かな
33茶摘女の畑に映えるや紺絣34手を休め富士眺めゐる茶摘笠
35学童の茶摘み体験赤白帽36さ緑の狭山の丘よ茶摘晴れ
37茶摘女や丘の風力発電機38茶どころに生まれ茶摘女紅襷
39一番茶摘んで日焼けの娘かな40空晴れて今盛りなる茶摘かな
41茶摘女の姉さんかぶり風まとひ42学童の茶摘体験こわごわと
43葉を摘みぬ自然のままの茶の木より44富士からの風は甘やか茶摘唄
45お茶摘女腰を伸ばせば白き富士46峡閑か風に乗り来る茶摘み唄
47茶を摘むや話に花を咲かせつつ48茶を摘めり富士美しき雪残し
49今時の機械摘みなる一番茶50偕老の手慣れた仕草の茶摘みかな
51狩すすむ茶摘み機械を呆け見る52茶摘女やにはかに唄ふバスガイド
53茶摘み女の鋏の音の心地よく54茶摘女の手際に齢を聴き落とす
自由題の部
55陽だまりにはらばふ猫や草青む56いつとなく心豊かや柿芽吹く
57いぬふぐり母の戻れぬ生家はも58アネモネに愛の告白見破らる
59鞦韆に学生服の男女かな60田を打たぬ稲を忘れた金魚田
61静謐な昼のひとときビオラ咲く62しやぼん玉消ゆ震へつつふるへつつ
63又の世に問ふと絵師言ひ啄木忌64捨て舟に音無く注ぐ春の雨
65辛夷咲く歯間ブラシのその先に66少子化やベランダ泳ぐこいのぼり
67大空に溶けいるやうに白木蓮68清明や東日本復活す
69川舟に桜傾るる目黒川70四月馬鹿天下紋なる手相持ち
71さへづりや屋根の重たくなるほどに72天の虹丸く収めししゃぼん玉
73菜種色ランドセル背に入学す74花冷えの通夜に耳する里言葉
75春光を撥ねて追ひ切る競争馬76蕗を煮て供えたる日の安らけし
77惜春の昭和懐かし紙芝居78雨蛙脚美しきひら泳ぎ
79囀や寝ころんで見る空の青80盛り上がる春の味覚の話題かな
81初燕切り返したる武者返し82浮雲や憂ひを千千に紫木蓮
83教会の小路そぞろや茶の垣根84青麦の畦道狭くなりにけり
85病み上がり生き返ったと初鰹86豆花の揺るる畑や雀鳴く
87遠き日の揺らぐ想いや金魚玉88故郷の野辺にぺんぺん草鳴らし
89小さき手合掌する古寺躑躅咲く90若夏の宮古の海へ漕ぎ出でん
91青嵐仁徳陵はでんとあり92春灯や蔵書印ある謡本
93土の香を濃縮したり蕗の薹94若草に座り爪弾くギターかな
95温む水文鳥舌を振るひけり96雨来る店頭に置く野菜苗
97花筏下ゆく水のなきごとく98本のしだれ桜の中ひとり
99定年の日をぞ迎へぬ花吹雪100甲羅干す亀の一団風光る
101八方に風の見えたる弥生かな102日時計の止まっつたままや亀の鳴く
103春昼や塀に寝そべる猫のおり104さわがしき備前の壺のおほでまり
105叡山の暮色にゆれる藤の花106こころみに銜へなむ散れる桜を
107畦道を忍び歩きや青ガエル108東京で拾ひし猫や弥生尽
109まむし草熊野古道に道標110過ぎし日の団欒をふと花の下
111チエロケース抱ふる少女花の風112初蛙うしろへ径の伸びてゆく
113春休みやっと楽しむゲームかな114木曽川の黄砂一息北の山
115黄水仙空ずり落つるサロベツ野116春ともし中の一つに妻の待つ
117指父似書体妣似やあたたかし118落ち椿覆ふ参道踏み惑い
119測るたび揺らぐ血圧花は葉に120藤の白まわり道して肩車
121散る桜幼児の頬に花ひとつ122水切りに下校の声の水温む
123アルプスの湧水絶えぬ山葵沢124自転車を木陰に停めん夏隣
125花の昼ゾウの瞳は深く静か126病室に春香漂う見舞い花
127山葵田にただ静かなる雨の音128海藻のくすぐる足に春の波
129串並べ木の芽田楽喰ひ終はる130白牡丹この日この時ゆるぎなし
131淀川の流れゆるりと朧月132ごみの日のカラスの気配街薄暑
133珈琲で始まる朝や鳥の恋134ぶらんこやゴンドラの唄口遊む
135花過ぎの潔しともさり気なし136無傷なる空に浮き立つ花の雲
137笛を吹くブロンズ像や渓の藤138スキップをしていく子等の花菜径
139春の雨喧騒の日々かき消して140新緑や妻と越へゆくへ峠道
141梓川流れ豊かや二輪草142職人の春をかたちに菓子司
143藤の花蜜吸ふ羽音房揺れて144藤盛り古き里標の不動道
145遠目にもあれが又兵衛桜だよ146春の風褄の乱るる野点かな
147のどけきや櫂の音やさし舟下り148ベランダに猫裏返る春の昼
149釣人の程よく離る春の昼150白靴にあるこだわりの一歩かな
151山藤の瓶の背丈に余りをり152手のひらの小石見せ合う春の浜
153行く春や忘れ手袋風にゆれ154喧噪を離す城濠花は葉に
155落椿ひとつひとつが日を返し156恐竜に喰われそうなの夏蜜柑
157春宵の屈託残る話かな158老鶯や雲に近づくロープウエイ
159石臼をぐるりとひくや昭和の日160春雪や草津の湯気にとけちりぬ
161水が入り小にぎやか田植え前162口開き虫歯の治療春終る
〔選句方法〕

下の〔草ネット投句〕ボタンから送信するようにお願い致します。
「選句」を選び、兼題より1句、自由題より2句の計3句を選択し、
都道府県名・氏名(俳号可)を明記の上、「送信する」ボタンを
押してください。

選句〆切:5月27日(日)、発表は5月31日(木)に行います。

なお、一部の漢字はネット上では正しく表記されず、
「?」で示されますので、読みを入れてあります。
        
3月句会結果発表
兼題の部(残雪)
作 品 互選 選者選 都道府県 作者
22残雪や墓のみ残る父母の郷8福岡県伸治
32残雪や朝夕たがう笹の反り4埼玉県祥風
5夕映えの残雪の嶺雲渡る3埼玉県アポロン
14廃校の尊徳像よ残雪よ3岐阜県近藤周三
9廃校のテニスコートに残る雪3愛媛県さざなみ沙弥
17残雪幾尺アイゼンの歯を研ぐ3静岡県かいこ
36明日からは都会暮らしや残る雪3奈良県陶生
37残雪や安達太良青き襞を見せ2千葉県みさえ
30きみは旅立つ残雪の消へる頃2高知県碧女
34残雪や線香煙る登山口2愛知県さと
60残雪のアルプス望む河童橋2三重県穂のか
49井月の歩みし野辺か残る雪1千葉県幸夫
2残る雪生乳匂ふ牛舎かな1栃木県垣内孝雄
8残雪に空薬莢の三つ四つ1京都府せいち
13残雪や湖面を伝ふエンジン音1千葉県えだまめ
20母がり行く峠に残る雪白く1大阪府藤岡初尾
25見渡せる山の襞ひだ残る雪1三重県みゆき
26庭隅の隠るる如く残る雪1福岡県みつぐ
28残る雪地震の裂け目を癒すかに1熊本県蕗の薹
31残雪や新島々に初電着く1神奈川県風神
38残雪の山並み粛と美濃街道1岐阜県小太郎
41やはらかき畑の傍に残る雪1埼玉県グレイス
43残雪や子を抱く猿に見据へられ1兵庫県小春
44残雪やあるようで無き持ち時間1埼玉県さくら子
46残雪のところどころに千枚田1岐阜県色即是句
51遥けしや残雪光る弥陀ヶ原1富山県露玉
53月山に法螺貝わたり雪残る1福岡県蛍川
55ビル街の所々の残り雪1千葉県相良 華
56尊徳の像を囲みて雪残る1神奈川県つかさ
57残雪や小舟おひこす鴨三羽1広島県一九
58残雪を抜ければ迫る日本海1大阪府椋本望生
61残雪の麓にチェーンソー谺1兵庫県ぐずみ
自由題の部
作 品 互選 選者選 都道府県 作者
89レガッタのオールに光る春の水6熊本県蕗の薹
107鎌倉を訪へば暖か立子の忌5岐阜県色即是句
111正門に一礼をして卒業す5愛媛県牛太郎
112立山の青きを歌い卒業す5富山県露玉
170県境はトンネルの中山笑ふ5愛媛県牛太郎
138覚えある癖字の便り風光る4静岡県かいこ
75口笛は「丘を越えて」や青き踏む4岐阜県近藤周三
83兜太逝く書風は野武士春の雷4福岡県伸治
164東京に村もありますつばめ来る4埼玉県さくら子
63鎌倉へ古き径あり蕗のたう3栃木県垣内孝雄
100いぬふぐり農の家へと縄手道3千葉県須藤カズコ
69坪庭もお代の中に椿餅3京都府せいち
71赤玉で祖母と祝いし雛祭3神奈川県こさぶ
79花冷えやサイレン止まぬ救急車3東京都一八
109春大根引けばもんどり転げたり3三重県八郷
85花筏ぱくりと開く鯉の口2埼玉県まこ
96挽き立ての珈琲の香や春時雨2神奈川県紫羽
65AIに真似の出来ない日向ぼこ2愛知県コタロー
67髪切るや新しき風春の風2東京都小石日和
73グランドの陽はいつまでも卒業子2愛知県丸吉
103茶話の飽くことのなし春障子2神奈川県横坂 泰
104花の芽の付きて樹幹の微熱めく2兵庫県小春
108春陰や巌窟内にミイラ仏2京都府喜柊
146紙吹雪浴びてはにかむ卒業子2三重県みゆき
149篠笛に始まる舞台花の宴2熊本県蕗の薹
181鬼瓦委細承知や猫の恋2兵庫県ぐずみ
129啓蟄や越後の里は日も見えず1埼玉県坂井くに
66三月の日差しにひろふ活字かな1埼玉県アポロン
70ぽつり落ち椿の蕊の息づかひ1愛媛県さざなみ沙弥
72新聞にまかれ桜の苗木かな1千葉県あけび庵
81オリンピック果ててひとりの春炬燵1大阪府藤岡初尾
84街筋の萌黄やわらか柳の芽1大阪府芙美佳
88木蓮の蕾のぽんと力吐く1神奈川県ドラゴン
106潮風や轍に深き雪解水1北海道ゆうこ
110たたなはる山むらさきに桜まじ1千葉県幸夫
113流木の重なる川辺草萌ゆる1滋賀県和久
120さざ波に白魚紛れ込みにけり1静岡県春生
127風の声しばし聴き入る木の芽時1埼玉県アポロン
134爪弾くはナツメロが良し春の宵1千葉県えだまめ
137指先で語る御仏鳥雲に1神奈川県ひろし
141草氷柱水車しづかに春を待つ1大阪府藤岡初尾
144山笑う小さき沢の芹の水1大阪府芙美佳
150沼に馴れ人にも馴れし鴨帰る1埼玉県郁文
154春うらら花屋に佇む尼僧かな1三重県正耕
157ひとり旅書物の中に春を閉じ1奈良県陶生
158山祗や生絹のさまに春の滝1千葉県みさえ
160ヒヤシンスながめ入る子の背中かな1千葉県須藤カズコ
161春あらし待て薄墨の盛りなり1東京都一寛
162囀りや今日の目覚めのふうわりと1埼玉県グレイス
167婚約者乗せてふるさと雪残る1京都府喜柊
168閉ざされし門より梅の枝走る1三重県八郷
173硝子瓶いろとりどりの暮春かな1福岡県蛍川
174初孫と初デートする春休み1神奈川県yuzi momii
175外来の静かに混みし春愁い1千葉県相良 華
177梅が香の迎へけり夕べの古刹1広島県一九
179春疾風楠の大樹の踊るごと1静岡県春生
選評 選者:「草の花俳句会」副主宰 鈴木五鈴(すずきごれい)
 
《兼題の部:残雪》

★残雪や安達太良青き襞を見せ

山に残る雪の形によって農作業の時期を測るといいます(白馬岳の「代掻き馬」、爺ケ岳の「種まき爺さん」、
観音岳の「農牛」などが著名)。しかし、他の多くの人たちも山々に様々な表情と読みとってきました。
安達太良の「青き襞」に目を留めた作者もその一人。次第に深まる春を感じているのでしょう。今後のあれこれ
についても思いを巡らしているのかもしれませんね。この「襞」も一種の雪形なのかも知れません。
 
◎残雪や墓のみ残る父母の郷

父母の郷。そこはイコール作者の故郷とは言えないかもしれません。しかし懐かしい場所であることは確かな
ことでしょう。ですがその郷に残るのはもはや「墓のみ」。暮らしの拠点が移れば必然的にそうなる宿命。
その郷へ作者は久しぶりに行かれました。彼岸参りでしょうか。しかし父母の郷は雪国らしく、いまだに残雪
状態。「墓のみ残る」が哀しい現実ですね。
 
◎井月の歩みし野辺か残る雪

井月とは、幕末から明治にかけて生きた漂泊俳人井上井月のこと。越後長岡で生まれ、信州上伊那で生を終えた
とされていますが、その間についての詳細は良く分からないようです。芭蕉を崇拝し、旅に生きたと伝えられて
います。酒好きだったとも。そうした井月の人生が窺えるような掲句。
残雪の野辺に、作者は幻の井月を見たのでしょうか。
 
《自由題の部》
 
★鎌倉へ古き径あり蕗のたう

難しいことは何も言わない。しかし、そこには古道の春景色がそこはかとなく見えてきます。いまや取り残された
かのような鎌倉街道。上の道か中の道の何れかではとは思いますが、山際の道が…。道の傍らには蕗の薹が幾つも
芽吹いている山際。まだ冷たい風も時折来るようですが、作者の軽快な足取りも感じられます。
外連味のある句は嫌みですが、こうした穏やかな句は良いですね。
 
◎いぬふぐり農の家へと縄手道

どの縄手道にも青空の瞬きのような、いぬふぐりの小さな花が咲き満ちています。のどかな春の心地よい日和でも
ありましょう。畑に囲まれた農家が点々と広がっている景も見えます。当然と言えば当然なのでしょうが、縄手道
の幾つかは農家へと連なっています。青々と連なるいぬふぐりの幾つもの列が目に浮かぶようです。
 
◎鎌倉を訪へば暖か立子の忌

先ほどの鎌倉古道は、直接鎌倉を詠んでいるわけではありませんでしたが、こちらはまさに鎌倉。暖かな一日だった
のでしょうか。そして訪れた日は星野立子の忌日でもあったようです。北鎌倉の寿福寺には虚子の墓と向かい合って
立子の墓があります。あるいはそちらへお参りされたのかも…。
この句の「暖か」は皮膚感覚に止まらず、心の状態も伝えているのでしょう。
 
添削(ランクアップのために)

今回取り上げた三句は、内容的にはいずれも佳句の要素を備えていました。しかし、表現の仕方にやや問題があり、
とても残念でした。もう一歩です。
 
・残雪に空薬莢の三つ四つ → 残雪に空薬莢の落ちてあり

元の句は、残雪の中の空薬莢を具体的「三つ四つ」と述べています。ですが、三つも四つも一瞬で判断できる数値で
あることは否めません。でも作者は強いて曖昧にしたかったのです。この句は残雪を詠んでおり、そのイメージが薄
れることは避けなければなりません。もっと曖昧にすることをお薦めしたいと思います。残雪の中に空薬莢があった、
とそれだけで十分なのです。数については読み手の想像力に任せればいいのです。ご検討ください。
 
・しやぼん玉弾け光の溢れをり → しやぼん玉弾けて光弾けたり

シャボン玉が弾けた瞬間に、作者は光が溢れたように感じたのでしょう。しかし「溢れをり」はどうでしょうか。
調べも少しだれます。ここは瞬間の印象を、しかも弾けた印象をそのまま切り取るべきだったと思います。
 
・硝子瓶いろとりどりの暮春かな → 夏近し色とりどりの硝子瓶

元の句は「いろとりどり」が硝子瓶のことなのか暮春に付いているのかが曖昧。作者としては、おそらく「硝子瓶が
いろとろどりだ」と言いたかったはずです。それならば「いろとりどりの硝子瓶」とすれば明解でした。しかしこれら
の硝子瓶に暮春はどうでしょう。ここは「夏近し」と明るさを出したいところです。「いろ」も「色」としたいですね。
 
        
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