12月句会投句一覧
兼題の部(数へ日)
1数へ日や今日も着信無く暮るる2数え日や路地に遊べる子らの声
3数え日の航跡刻む海の紺4数え日や家具も中身も不要品フヨウ
5数へ日を過ぎゆく夜半の消防車6数へ日や用事多くて生返事
7数へ日や門に出されし古紙の嵩8数へ日や予備校の灯は煌煌と
9数へ日やテレビは名画流しをり10数え日のせわし人出の中に居り
11数へ日や足湯の指のグーチョキパー12数へ日や予約を入れて美容院
13数へ日やかたことと日の暮れてゆく14自堕落を決めて数え日昼の酒
15数へ日のときめき失せて久しけり16数へ日の風呂場より十かぞふる声
17数へ日のレジ待つライン足踏みす18数へ日や水を見てゐる橋の上
19数へ日やはらからの声恙無き20数え日や一息ついて調べ物
21数へ日やもういくばくもなき余命22数え日や解体工事家抛る
23数へ日や父母亡き家の置き時計24数へ日の旧友と遇ふ古本屋
25数え日の続く日記に自画自賛26数え日や気ばかり逸る昨日今日
27山里に銃声数へ日の熊騒動28数へ日や嫁の本音の見え隠れ
29数へ日や南の空の晴れ渡り30数へ日や人待つように豆を煮る
31数え日やあれこれ数え魚買ふ32数え日や掃除プランを作る妻
33数へ日の電飾せかちかせかちか34数え日やまだ今生に未練あり
35数え日の赤子抱く母手に荷物36数へ日や敵のごとくツイッター
37数へ日の断捨離妻の匙加減38数へ日や外で遊べと子に怒鳴る
39数へ日や振子時計の刻む音40数え日の込み合っている理髪店
41数へ日やビル窓拭きの命綱42数へ日の大富士へ雲奔りだす
43数え日の行き先違ふ夜行バス44数え日や読書三昧の一人住み
45数え日や写経の筆の止め払い46数へ日や人出の減らぬ歌舞伎町
47数へ日や残せしことを一つづつ48数え日やインコに買ふて温度計
49数へ日や振り子時計の進みれり50数へ日や山峡の宿一人酒
51数へ日や窓の明るき理髪店52数へ日や御山の坂に灯のともる
53数へ日や飛び出す絵本また開く54数へ日や手持ちぶたさに街歩く
55数え日や泣くも笑ふもひとつ顔56数へ日や失くせし夢の数ふたつ
57数へ日の妻の指図はつぎつぎと58かぞへびのあれやこれやもすみぬ酒
59数へ日やまづ手を洗ひ嗽をす60数え日の穏やかなりし御空かな
61数へ日の髪洗はるる美容院62数え日や巨船を隠すコンテナ量
63数え日の静かに過ぎる年もあり64数へ日や天地無用の箱届く
65数へ日の牛の陣痛待つ厩舎66数へ日の今年は孫も来ぬといふ
67数へ日や無精髭を剃り落す68数え日やただひたすらに待つ老爺
69数へ日や四肢ゆったりと仕舞い風呂70数へ日や「よきお年を」と口々に
71数え日や切迫感の薄れゆく72数へ日や片付かぬ部屋あと一つ
73数へ日や妻に手綱を握られて74数へ日や啄む鳥の忙しなく
75数へ日や郷から届く土産物76数え日や漂流日誌つづきおり
77数へ日に四十九日の刷り込まれ78数ヘ日の酒買にゆく筑後まで
79数え日の並木の影の長かりき80気にしつつ電話もせずに数へ日に
81数え日の町に雀のかまびすし82数へ日の今にも鳴くや群鶏図
83数へ日や光陰の矢の如きなり84数へ日のひと日よ母の肩叩き
85数へ日や母を案ずる子のメール86数へ日やリハビリの身を持て余し
87数へ日の脚立の高さ背の高さ88数へ日やバーコード集めの姉が居る
89数え日や思わぬ客の多かりき90数へ日も犬の散歩がまず最初
91指を折り片手のつぼむ数え日よ92数へ日や手帳の余白埋まらず
93数え日や溜まりし本の重さかな94数へ日の空席多き夜行バス
95数へ日や縁者なき郷墓じまひ96数え日のドライブスルー楽しめり
97数へ日や数字消しゆく子の暦98数え日や余生てふ語のさびしけり
99数へ日や忘れ物あるバスの椅子100数え日に衝動買ひの宝くじ
自由題の部
101短日やあちこち雨戸閉める音102路地裏に灯る割烹蕪蒸
103どちらへと白いマスクの運転手104短日や凶器のごとき夕日受く
105炬燵の間かつては田子の浦が見ゆ106熱燗や耳朶おさえほくそ笑む
107四段に叩きつけられ冬の滝108柚子湯にて熱唱したる第九かな
109カフェ探す凸凹三婆冬帽子110黒いやぎガブリと食べる枇杷の花
111唄ふ子に鈴の鳴りたる聖夜かな112万年青の実宝石のごと輝けり
113幸せを天に伸ばしぬ冬木の芽114菓子待って届きし荷には牡蠣とあり
115山鳩の鳴く声忙し日短か116冬蝿とにらめつこする四畳半
117[また来るね」強く握る手外は雪118うたたねをする妻のゐる炬燵かな
119佐渡望む渚に揺れる浜千鳥120海老芋をほっこりさせる技ありて
121火葬場は漁村の外れ冬怒涛122鯖焼かる骨まで鯖の滲み付きて
123千鳥飛び箍外れたる日本海124時間切れ小春日和の母の家
125出稼ぎや孤閨の外は雪煙126山眠る釈迦も一言主神も
127凍つる夜のバイク疾駆の排気音128いつに間にか抜けざる指輪冬深む
129どこからか鳥のつぶやき青木の実130冬晴れの赤城の山は薄化粧
131虎落笛最終便のフェリー待つ132掘炬燵しぶ茶で暮るる老夫婦
133マスクせぬ人をマスクの目が咎め134姦しく話のはずむ掘り炬燵
135早足の女に抜かれる時雨かな136冬休み親子こもれるひざがしら
137雑炊や隣る会話もぬくもれり138診察の順番進まず暮早し
139手のひらに余る錠剤ちやんちやんこ140鈍き日を背に受けて行く冬至かな
141通学の子にキュンと鳴る空つ風142ベル鳴らし聖夜の星と交信す
143棺へと入れる数多の古日記144森閑とシリウスの音響きくる
145痩せ狐藪に入り日の温かさ146定番の羽子板市の藤娘
147火の神の叫びのごとき冬の雷148漱石忌左右目の色ちがふ猫
149無人駅降り立つ里の冬木立150縮まった心を伸ばす柚子湯かな
151水脈曳きて番ひの鳥や冬入日152冬景の移ろふ窓に黙りこむ
153小春日や少し微笑む観世音154コバルトの光りの雫竜の玉
155灯点して聖樹にありぬ木の匂156玉砂利を歩む鴉の除夜詣
157冬至湯にはしゃぐ兄弟つつがなし158忘れたき年を自粛す年忘れ
159里山に三密なくて日脚伸ぶ160名曲に紅茶の美味しクリスマス
161初日記表紙は白と決めにけり162ぎりぎりの夕日突き刺す枯尾花
163街角の祠に菊とお人形164河豚鍋や道頓堀に灯の浮かぶ
165笛になる竹に日のある小春かな166落葉踏みのんのん様に児らの声
167風花や遠き昭和の大時計168癌転移咳(しわぶき)ひとつにも怯ゆ
169幼子の足したたかに落葉ふみ170鐘の音を聞きつつ妻と除夜詣
171上州の風尖りだし虎落笛172三密の熱気懐かし一人鍋
173磨きあぐ車の上に散紅葉174暴れ根の熊野路越へて初日の出
175葱刻む朝餉の支度母の声176コロナ渦を蜜柑と源氏物語
177冬木立兄が託する墓所名義178ポインセチア戦ばかりの三国志
179年惜しむ日めくりの跡に力あり180漁終へてコップ酒うまし浜焚火
181古希間近ふるえ止まらぬ冬座禅182冬天に一矢報いてスカイツリー
183子供らとテレビ電話の大晦日184日向ぼこするほど日射しなきベンチ
185土塊も捨菜も乾き冬ざるる186軽きもの吹き飛ばされて小晦日
187心機一転骨の髄まで食ぶ不鯛188冬の風F機関にはハリマオー
189土大根提げて険しき家路かな190寝返りに一夜明ければお正月
191凩のあつけらかんと人を食う192やがて来る一人となる日沙羅の花
193室生寺の階に降る時雨かな194木枯しや虫歯の疼く寝入端
195大鷲の紫電一閃ごと奇襲196大年の村はV字に雲晴れり
197連れ添ひて初となり二人正月198一人酒ひとりカラオケ年暮るる
199聖菓売る皆が笑顔になるように200地球全土リセット願う大晦日
201また増えし喪中葉書や年暮るる202凩やラーメンすするターミナル
203電線に搦め捕られし冬の街204冬ごもり生返事して本めくる
205大年や煮え湯くぐらす鶏の骨206茶の花や秘仏見しあと息生き生き
207花舗の前ポインセチアの混みあへり208子には子の予定ありたる冬休み
209星冴ゆるすつと吸ひ込む星一つ210公園の冬ざれ通る遊ぶ声
211新聞の集金早き師走かな212オリオンの冴ゆる夜空や宇宙船
213青空を絞ってみたき冬旱214綿虫や未だ叶わぬ夢のあり
215冬ざれや放置自転車集積所216におどりの水輪広げてそれつきり
217寒星やⅠSSの野口さん218欄干に隊列を組むゆりかもめ
219白砂に山茶花の白重ねゆく220冬の虫宅配便に隠れ入る
221将門の軍馬疲るる冬田かな222バイブルをひらきて聖夜更けにけり
223冬萌や心張り棒のわが生家224帰任する子を見送りて冬の月
225口もとへ蜜柑ひと房母の床226摩尼車回して春の遠からじ
227陶工の絶やさぬ窯火山眠る228引率の先生赤き大マスク
229初雪や午前3時の風の音230浅間山白無垢まとい雪帽子
231寒柝や過ぎ行く余韻湯舟中フネ232雑炊の究めと落とす生卵
233きらきらと悩む少年冬木の芽234落葉踏む聞いておくれよ独り言
235白世界眼鏡の曇り冬マスク236青空に声するすると障子あく
237もみぢ葉を背負ふ子亀や太鼓橋238背伸ばす朝のナース息白し
239凩を去なす皇帝ダリアかな240クリスマスケーキは妻子酒は吾れ
241寒造杜氏は母から娘へと242キャリーバックの音の続くや年の暮
243時雨とは過ぐることよと京の母244猫二匹好きな時間の日向かな
245秋入日家は十字(クルス)の影まとい246愚痴を言う人の湯豆腐崩しおり
247銃声のこだま山野にしづり雪248天へ声丹頂の眼のけはしさよ
249麦の芽や明日は踏まれること知らず250宝船時代と添い寝し来るを待つ
251竹藪の踊り子に似て冬の空252帰るさの水洟たれる靴の先
253忘れゆくことの幸せ日向ぼこ254山峡の青き万燈隼人瓜
255宝くじ買ふも買はぬも年の暮256瞬きて沁みる寒夜の星の黙
257平穏な日暮れや鴨の陣払ふ258でことでこあはせるははのてのりんご
259天国と地獄の間黒マスク260年越蕎麦遺影の母に手を合わせ
261小さき猿声高くなる猿回し262電光掲示板船体に十二月
263母の文今年の蟹は小さいの264将軍のやうな貌して立つ狸
265占ひ師謗りて日記果てにけり266共布のマスクくっきり眉を引き
267孫が来て我が家ふくらむ三が日268手術後(あと)マスクに隠す頬の痩け
269人も木も素描のような枯木道270下仁田か九条か迷ひ鍋の葱
271縁側の温き座布団日向ぼこ272極月や木星土星寄り添ひぬ
273年用意俄庭師で脚立上274寒木瓜の蕾の割れて顔おぼこ
275還暦やピンクの表紙の日記買ふ276この先は御伽の国ぞ冬桜
277すき焼きやDNA継ぐ子の手順278ひとひ終へ神といただく蕪汁
279見しらぬ駅に降り立ちて年忘れ280数へ日にまさかの人に会ひにけり
281焼酎を友が育てた柚子で飲る282七五三神の子満てり泰平閣
283しめ縄の稲穂ついばむ雀かな284手袋を外しそのまま置いて来し
285大冬木寂しい時は星宿す286裸木を抱けば聞ゆる我が鼓動
287歩かねば今に餌食や冬将軍288藤原とインド独立の夢隙間風
289遠く近く決まり文句の夜警かな290つわの花寄り添う様に咲いており
291誰の目にも映らうとせず枇杷の花292おちこちに水輪重なる鴨の群
293木枯らしやバレエリフトのゆるぎなき294冬ざれの獄舎に赤き煉瓦塀
295天職を全うするや日向ぼこ296電球色変えて巣ごもり師走かな
297一陽来復まな板の音心地よき298失ひしものもありけり冬銀河
299炉話に猫のまばたきゆつくりと300凍てる耳に温か過ぎる貴方の手
〔選句方法〕

下の〔草ネット投句〕ボタンから送信するようにお願い致します。
「選句」を選び、兼題より1句、自由題より2句の計3句を選択し、
都道府県名・氏名(俳号可)を明記の上、「送信する」ボタンを
押してください。

選句〆切:1月27日(水)、発表は1月31日(日)に行います。

なお、一部の漢字はネット上では正しく表記されず、
「?」で示されますので、読みを入れてあります。
        
11月句会結果発表
兼題の部(木枯し)
作 品 互選 選者選 都道府県 作者
99木枯の磨き上げたる夜景かな9静岡県春生
73凩にあり男声をんなごゑ6岐阜県近藤周三
11木枯しや千切れかけたる星条旗6千葉県蘆空
84木枯しや振り向くことのなき別れ6愛媛県牛太郎
93木枯しの行き着く果ての人の闇6東京都藤田雅明
6木枯しや戻ってこないブーメラン5千葉県良仙
34木枯の走る校庭チャイム鳴る5埼玉県祥風
49凩のがうがうと研ぐ剣岳5神奈川県毬栗
38木枯やどんと居座る怠け癖4京都府福井茶衣
85木枯しの中誕生の知らせ来る4広島県新宅 俊
52立ち漕ぎをして凩に逆らひぬ4福岡県みつぐ
2木枯や押されるままに坂のぼる4愛知県草木
22木枯しを来て夕暮れの灯しかな4愛知県丸吉
32木枯とおしくらまんじゅう風の子ら4千葉県玉井令子
44木枯の止みて波頭の崩れけり4神奈川県ドラゴン
46木枯しや一番星の瞬きぬ4愛知県コタロー
55木枯に追はれて帰る補習塾4神奈川県風神
81木枯らしの中を旅立つ女人かな3千葉県須藤カズコ
14木枯しやゴム輪で縛る駄菓子チョコ3滋賀県百合乃
27木枯しを衝ひてドドダダオートバイ3岐阜県色即是句
30木枯らしや待てど待てども見えぬバス3埼玉県立山 嶺
58木枯しや街路樹沿ひの喫茶店3神奈川県横坂 泰
63木枯しや電話ボックス立ちすくむ3奈良県陶生
67木枯しや待合室の人無言3三重県正耕
72木枯らしや薬手帳のふくらめる3栃木県草坊
89凩や仁王の臍の寒かろう3滋賀県和久
97木枯しや犬の遠吠え闇を突き3熊本県蕗の薹
101木枯しや寝床で父の読み聞かせ3静岡県こいちゃん
102木枯しや門燈淡く灯りおり3千葉県珍竹
1木枯しや路地をほんのり赤提灯2栃木県垣内孝雄
3木枯しに波立つ湖や暮れなずむ2千葉県えだまめ
5どっどどどどーど木枯らしにある余白2北海道三泊みなと
24木枯しや憂き諸々を湯に流す2長野県倉田杏
29木枯や共に入りたる縄のれん2埼玉県郁文
36木枯しや洗ひ晒しの木綿服2静岡県えいちゃん
39木枯や路地に入り来てつむじ風2和歌山県茫々
45木枯らしに向かひ自転車立つて漕ぐ2東京都千晴
47木枯らしの藁小屋に釘打ちてより2神奈川県ほたか
48木枯しに高圧線の呻きかな2北海道篤道
53木枯しや今宵も効かすビブラート2千葉県光雲2
57木枯しや緊急車輌は右折せり2埼玉県グレイス
59木枯らしに混ざる厨のカレーの香2沖縄県繭子
69木枯しや風の行方は風にきけ2神奈川県みぃすてぃ
90木枯らしや流れ星をも吹き寄せて2東京都けいこ
94木枯しの水平線を跨ぎくる2石川県岩本たくま
98木枯や佐賀の県境七曲り2福岡県蛍川
103木枯やギブミーチョコと云ふ父よ2千葉県しろみそら
7木枯しや帰宅を急ぐ靴の音1京都府花子
9木枯しや京の舞妓とすれ違ふ1滋賀県正男
10木枯し来首まで浸かる湯舟かな1東京都小石日和
12凩の木を日を路を枯らしつつ1兵庫県鈍愚狸
17木枯や吹き飛ばしてよウイルスを1兵庫県夢想庵主人
19木枯らしの揺らす吊り橋渡りきる1埼玉県桜子
21もう帰らないあの人も木枯しも1京都府せいち
23木枯しや行列長きパチンコ屋1東京都大江深夜
35木枯しの夜は心が荒ぶれり1静岡県彗星
37凩の音のみ無人収容所1静岡県
43木枯しや餌を食む猫の面構へ1広島県山野啓子
50木枯や赤ちゃうちんに灯の点り1大阪府レイコ
54木枯しや枝に残りしめじろの巣1愛知県さと
70木枯らしに飛ばされているチラシかな1千葉県相良 華
71山くだる木枯らしに立つ地蔵かな1東京都一寛
75木枯しやネットを揺らす新聞紙1群馬県志楽
76木枯や次期戦力外の通知1神奈川県志保川有
77裏山に木枯し居つき騒ぎをり1静岡県かいこ
80木枯しや目覚めて遠き母思う1福岡県宮内 和彦
82木枯や温かいもの準備して1山口県ももこ
83木枯らしの路地裏に猫たたずみぬ1東京都谷澤 慎一郎
86木枯や三浦春馬を悼む絵馬1茨城県申女
88凩や隠沼ひたと木の葉溜め1栃木県荒川三歩
92木枯に打ち合ふ古絵馬膨らめり1千葉県みさえ
100凩に押さるるやうに赤提灯1広島県一九
105木枯しや返答次第でふて寝する1愛知県いきか
自由題の部
作 品 互選 選者選 都道府県 作者
116連れ合ひのいて湯豆腐のあたたかく9千葉県蘆空
136おはじきの色を撥ねたる小春かな9神奈川県ひろし
208冬紅葉本家分家の並ぶ墓所9千葉県しろみそら
171綿虫にかすかな青さありにけり8北海道小幸
185微笑みは大事な介護秋ざくら8福岡県宮内 和彦
168小春日や妊婦の影の柔らかし8奈良県陶生
290手首までポストに入れて十二月8福岡県宮内 和彦
269牛舎よりラジオの響き冬ぬくし7沖縄県繭子
125良く濁る米の研ぎ汁冬初め7千葉県紫鳩
271石蕗咲くやいづれは畳む父の店6三重県八郷
124帰り花衰えてゆく記憶力6埼玉県桜子
152番号で受け取る薬冬に入る6神奈川県ほたか
172冬菜摘む媼二人の頬かむり6三重県正耕
211寺町の上ル下ルや酢莖買う6栃木県垣内孝雄
123いくつもの転生譚や十三夜5長崎県みんと
307寒禽の鋭き声のして夜明け5熊本県蕗の薹
237渡し場を離るる舟や初時雨5岐阜県色即是句
108山茶花の散り初む校庭検診車5千葉県えだまめ
113文化の日正しく老ゆるために食ふ5静岡県指田悠志
133たくましき影を落として掛大根5東京都水谷博吉
139枯木立ベンチに残る日の温み5埼玉県祥風
149玉砂利の踏み音乾く今朝の冬5神奈川県ドラゴン
153散り紅葉小社多き古戦場5北海道篤道
157朝採りの大根の葉の棘光る5福岡県みつぐ
300雨音を一人聞く夜の燗熱し4東京都けいこ
111晩節や積もる落葉に裏表4千葉県良仙
119実紫友の出世を伝へ聞き4滋賀県百合乃
130参道に絶えし人影初時雨4神奈川県阿部文彦
132三千院の軒に大原女初しぐれ4岐阜県色即是句
143玄冬や既読にならぬメッセージ4京都府福井茶衣
162北窓を閉ぢてお手玉数へ歌4埼玉県グレイス
183林檎一つ苦しい程に熟れており4長野県幸々
191時雨るるや踏みゆく石の色を変へ4茨城県申女
253残り世にデジタル化てふ隙間風4広島県山野啓子
301暮早し古書店めぐる帰り道4兵庫県大谷如水
305冬めきて黒部湖藍を深めけり3静岡県さくら
109寒桜ほどの成果で良しとして3愛知県秋ひろ
117古寺の坂は明るき小春かな3兵庫県鈍愚狸
128神の旅延命の管十四五本3東京都大江深夜
134枯葉踏む人それぞれに思いこめ3埼玉県郁文
140冬薔薇棘の数だけ罪のあり3静岡県彗星
166短日や気の身近さは親ゆづり3三重県八郷
169氷りたる空気を裂きて鳥発てり3茨城県逸光
179とくり割ればとくりの形して氷3兵庫県峰 乱里
197掌に余る錠剤ちやんちやんこ3千葉県みさえ
204指ぬきに母の匂ひや冬日差す3静岡県春生
262飴色の古女房の煮大根3福岡県みつぐ
279往診の鞄走るや星月夜3神奈川県みぃすてぃ
283食パンの耳まで甘き豊の秋3岐阜県近藤周三
291綿虫や出店そろそろ店じまい3千葉県須藤カズコ
296初雪を二十階より見てをりぬ3茨城県申女
314鐘の音のきんこんかんと道凍る3北海道沢田千賀子
106茶の花や湯屋の灯を遠めにて2栃木県垣内孝雄
110冬晴や賑はふバスの膨らみぬ2北海道三泊みなと
112出番なき神社の神輿秋祭2京都府花子
115一瞬のためらひ弾き大くさめ2東京都小石日和
126屹立す黒き岩壁七竈2京都府せいち
127一枚の落葉踏まれて染まりけり2愛知県丸吉
135嘶きの重くくぐもる冬の朝2埼玉県立山 嶺
137富士山の濃きシルエット冬の暮2千葉県玉井令子
138秋つばめ勝手知ったる城下町2大阪府藤岡初尾
141渓谷のしぶきに淡き冬の虹2静岡県えいちゃん
147坂の上演者の如き冬桜2愛知県茶ぼくさ
160出航の汽笛は三度秋の暮2神奈川県風神
161一夜さの雨に紅たつ寒椿2東京都一八
174ゐるはずの人の影なき秋の声2神奈川県みぃすてぃ
175何時付けた傷か分からぬ冬始め2千葉県相良 華
177冬用意聴き惚れてゐる昭和唄2栃木県草坊
182継ぐ子なく熟柿畑となりにけり2静岡県かいこ
188一鉢のシクラメンきて華やけり2東京都谷澤 慎一郎
189冬ぬくし四頭身の嬰走る2愛媛県牛太郎
199不足なく五体満足木の葉髪2石川県岩本たくま
201賀状書くことし限りの筆を添へ2大阪府椋本望生
209秋の雲いつもの街へ旅に出る2北海道沢田千賀子
212いち早く地震を告げたる生身魂2愛知県草木
231どんぐりの袴のやうな冬帽子2京都府せいち
234諏訪盆地蔭より灯る秋の暮2長野県倉田杏
245月光に涙のような冬桜2静岡県彗星
250音立てて靴をはみ出る朴落葉2東京都藤方昭男
259字余りを指折り数ふ古稀の秋2神奈川県毬栗
265コミックをスマホで読めり文化の日2神奈川県風神
276天へ向け友へ近況賀状書く2北海道小幸
294城仰ぐ小春日の木のベンチ2愛媛県牛太郎
308冬ざれや玉虫の馬具みつかりぬ2福岡県蛍川
313廃線のトンネル口に烏瓜2千葉県しろみそら
107片々と秋の雲浮く比叡山1愛知県草木
114復興も夢のままなり神並月1滋賀県正男
120冬ざれや月のまどかな地平線1千葉県柳風
122草木の色づき初めし冬に入る1兵庫県夢想庵主人
142外つ国の日々の余白よ古日記1静岡県
146時雨るるや赤提灯の神田川1東京都カツミ
156大銀杏伐られ老女の目に泪1福岡県Shin
163小春日の犬の腹這ふ立ち話1神奈川県横坂 泰
165垣根越し隣の蜜柑今が旬1埼玉県イレーネ
176石陰につわぶきの黄の映えにけり1東京都一寛
178秋燈や胎動の嫁名を択ぶ1岐阜県近藤周三
180コンビニは夜の太陽冬の月1群馬県志楽
184降りやみて衣をたたむ雪女郎1大阪府
194寄せ鍋や肩張る話よしとせよ1滋賀県和久
200しぐるるや堂の鉄鎖の錆流れ1静岡県さくら
206夕間暮れもう帰ろうよ雪ばんば1静岡県こいちゃん
216木の葉雨ゆらゆら泳ぐ人力車1千葉県良仙
217河原辺を並んで歩く草紅葉1京都府花子
220身に入むや思はぬ喪中はがき来る1東京都小石日和
221焼芋や唐人町の路地深く1千葉県蘆空
223白川郷とじて切妻雪の下1千葉県あけび庵
225雪積もる人の世丸く治めむと1千葉県柳風
227今朝の冬俄かに血圧上がりけり1兵庫県夢想庵主人
228木枯らしやハンバーガーのキッチンカー1長崎県みんと
229向かい合うあ、うんの夫婦堀炬燵1埼玉県桜子
232麦芽ぐむ息してをりぬつんつんと1愛知県丸吉
233両の手を擦つて揉んで息白し1東京都大江深夜
235行く先を模索している冬木立1神奈川県阿部文彦
236冬桜ひとつひとつに日の斑入れ1静岡県
239静かけき葉音の落つる黄葉かな1埼玉県郁文
241神宿る糺の森や秋気澄む1神奈川県ひろし
242子の帰り待つ改札や年の暮1千葉県玉井令子
249鳥渡る空鋭角のビルヂング1和歌山県茫々
254ひと刷毛の雲青すぎる秋空に1神奈川県ドラゴン
256三食はカレー勤労感謝の日1愛知県コタロー
260参道は掃き清められ笹子鳴く1大阪府レイコ
261松の間の立皇嗣の儀菊日和1福岡県Shin
270マスクして挨拶あとで姉と知り1埼玉県イレーネ
278輿入れの準備無言や冬の雲1兵庫県ケイト
280初冬を兆し始めた波頭(なみがしら)1千葉県相良 華
282太幹が喋り出すよな黄葉径1栃木県草坊
287拝むれば花頭窓より律の風1静岡県かいこ
288なかなかに教へぬ野沢菜漬けのこと1長野県幸々
289黒き目の並ぶトロ箱風花す1大阪府
293空見上げ孤高よそほふ熟柿かな1東京都谷澤 慎一郎
299病む猫に魚買ひはしる大晦日1滋賀県和久
306後ろには未来は来ない文化の日1大阪府椋本望生
309まだ生きてゐるぞと構ふ枯螳螂1静岡県春生
310庭の木々それぞれの冬支度かな1広島県一九
312冬晴や刺身定食酒二合1千葉県珍竹
選評:選者 草の花俳句会副主宰 鈴木 五鈴(すずき ごれい)

《兼題の部:木枯らし》

★凩にあり男声をんなごゑ

この句は「凩」の擬人化なのでしょうか。凩には男性も女性もおり、彼ら彼女らが声を発している、と解釈する
ことも可能な表現ではあります。しかしそれでは単なる見なしにすぎず面白くありません。私はこの句にドラマ
を見たいと思いました。凩の中から聞こえてくる男女の声。密やかなのか声高なのかは読み手の想像力次第。
俳句の読みは多様で良いと私は思う。発信=受信は散文の世界。詩の世界はもっと懐が広いのです。

◎木枯やどんと居座る怠け癖

普段から「怠け癖」を自認している作者。そんな作者にとっての「木枯」は、最良の言い訳の種。出かける用事
はさておき「どんと居座る怠け癖」。その気持ち、よく分かります。思わず共感してしまいました。

◎木枯しの中誕生の知らせ来る

「木枯らし」というマイナスイメージの中に、「誕生の知らせ」という実にめでたいプラス・イメージが割り込
んできました。こういう、句の作り方は良いですね。一方で、嬉しさ、めでたさの存在感は、さらに「木枯らし」
の存在感を同時に高めていることにもご注意いただきたいと思います。この辺も、俳句の特性の一つになります。

《自由題》

★いくつもの転生譚や十三夜

人間に生と死がある限り、転生譚はなくならない。ちょっとした切っ掛け(良いも悪いも)で、祖先の生まれ変わ
りにされたりもする。宗教が絡むと迷いの世界で何度も生まれ変わる(輪廻転生)ともされる。この作者がどんな
転生譚を思っているのかは不詳ですが、「十三夜」の背後の時空へ思いを馳せていることは確かなことでしょう。

◎綿虫にかすかな青さありにけり

私たちは綿虫と聞けば、あの白くふわふわと浮遊する小さな虫を想像します。目の前を飛んでいても、それ以上に
踏み込んで観察することはないように思います。しかし、じっと見つめると、確かに「かすかな青さ」があるよう
にも思えてきます。そう思わせてしまうのも作者の力量。「ありにけり」が実に効果的に使われました。

◎寒禽の鋭き声のして夜明け

普通であれば、「寒禽の鋭き声の夜明けかな」と結ぶところでしょうが、それでは穏やかすぎると作者は考えたに
違いありません。寒禽と夜明けの関係を、より効果的に表現したい。それが「して」を導いたようです。うまくい
きましたね。句またがり等で、意識的に五・七・五をはぐらかすことでより効果を発揮する場合があります。
句の内容と相談しつつ、たまには挑戦してみる価値はあります。


添削(ランクアップのために)

読み手に対し、より強い印象を残したい、との思いが強すぎると、擬人化に走ったり、他動詞の多用となります。
それが極端化すると「外連味」の強い句となります。そちらへ走ることは推奨できません。人を癒し、自分も癒さ
れる句、そんな句を目指していただきたいと念願します。

・木枯らしの揺らす吊り橋渡りきる → 木枯らしに揺るる吊り橋渡りけり

吊り橋を「揺らす(他動詞)」ために木枯らしが吹いたわけではありません。木枯らしによって「揺れ(自動詞)」
たのです。発信力を強めようとすると、どうしても他動詞を使いたくなるようです。それは擬人化表現も同じ。
癖になりますので、できるだけ控えるよう心がけてください。

・木枯らしの中駆け抜ける子等歓声 → 木枯らしの中駆け抜くる子どもたち

「歓声」は全く余分。駆け回っている子どもたちは、いつでも歓声をあげているものです。言わなくて良いことは
言わない。それも俳句の骨法のひとつです。句柄は小さく限定しないことが肝要なのです。

・子の帰り待つ改札や年の暮 → 改札口に帰る子を待つ年の暮

正月にかけて帰ってくる子を待つ親心がひしひしと胸に迫ってきます。しかし、元の句では「改札」が待っている
ように読めてしまいます。あくまでも「子を待つ」思いに焦点を絞ることで「年の暮」が働き出すのです。

        
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