12月句会投句一覧
兼題の部(時雨)
1しぐるるやがてらに寄れる茶店かな2街角の灯の柔らかき初時雨
3しぐるるや地下より出でし南口4掘割の社家に日当たり片時雨
5鳥一羽時雨に打たれ飛び立てり6冬イルミ二人の影に小夜時雨
7しぐるるや声を出さずに啼く仔猫8しぐるるや那須野の郷の明るさよ
9しぐるるや女ばかりの子を持ちて10バーボンの琥珀濃いめに石蕗は黄に
11犬のみち覗く見返り草時雨12ガス灯のぽわつと点きぬ夕時雨
13廃院の解体進み夕時雨14時雨るや大河ドラマは最終回
15寄り添ひて傘一本で足る時雨16しぐるるや旅の途中の二人連れ
17しぐるるを待ちて挿絵師馬籠描く18小夜時雨一心不乱に墨を磨る
19傘買うか我慢か迷う夕時雨20駅弁の紐とく車窓能登時雨
21時雨るゝや猫を抱えて家に入る22人溜まる大交差点夕時雨
23時雨るるや高きだみ声アメ横に24しぐるるや湯灌の如く黒き石
25夕しぐれ軒した借りる舞妓かな26片時雨祇園の女将小走りに
27夕しぐれ駅で左右に駆ける人28巡礼の呪文のごとく夕時雨
29時雨来て畑に濃淡残し過ぐ30つくばひの有象揺るがす時雨かな
31塾の子ら走りだしたる時雨かな32君の待つカフェへ急ぐ時雨かな
33時雨るゝや恩師の通夜の帰り道34夕時雨すれ違ひしは知人らし
35京舞妓置屋出づれば小夜時雨36しぐるるやけものの匂ひ漂へり
37片時雨ぱっと日の差す写経の間38浮御堂時雨に霞む琵琶の湖
39夕しぐれ目当ての野鳥今日は来ず40久々にスープカレーを初時雨
41断捨離も延ばし延ばして時雨かな42包丁を手に耳澄ます夕時雨
43小夜時雨酒好きに罪屋台の灯44夕時雨明日の約束交はわす子等
45在りし日のままの半鐘村時雨46時雨るゝや蕎麦屋なき町詮無くて
47御贔屓を見送る女将小夜時雨48家々の灯らぬ二階時雨降る
49時雨きて子ら走りゆく速さかな50夕時雨鐘の音遠く響きをり
51旅立ちの駅の灯にぢむ時雨かな52旧姓で届く葉書や片時雨
53循環の地球の水は今時雨54七十路やしぐるるこころ友として
55片時雨急がぬ者に駅ピアノ56まだ空に青空残し時雨かな
57夕暮れの海坂藩の時雨かな58日を少し山に残して夕しぐれ
59煮麺を啜るや三輪の片しぐれ60初時雨芸妓はぽんと蛇の目傘
61托鉢の練行僧や京時雨62時雨るるや古書の匂ひの神保町
63人力車走る仁和寺初時雨64回収の新聞上に時雨傘
65紺屋町女駆けゆく時雨かな66急く足の追いつかれけり時雨雲
67しぐるるや庭の手入れのままならず68簑笠をまとひし芭蕉片時雨
69金箔を叩きのばすや加賀しぐれ70卒寿祝ぐ会の終わりて時雨けり
71時雨るゝや雷門に大提灯72しぐるるや陶の狸は耳隠す
73襟を立てひらり駆け出す時雨かな74しぐれば鎌研ぐ上がれば杭を打つ
75しぐるるや猫の見つむる窓の外76遠山の明るき朝の時雨かな
77居酒屋のあかり灯るや村時雨78小夜時雨止むなこのまま二人傘
79時雨るるや花を手向ける父母の墓80夕さりの色を消したる時雨かな
81待ち侘びて北山時雨京の橋82時雨るや改札抜けて一目散
83母見舞ふ津の守坂の時雨かな84片時雨人力車行く嵐山
85抱き帰る甥の遺影や夕時雨86しぐるるや牛も羊も哺乳類
87なまこ壁続く町並夕時雨88時雨出し予定変更カプチーノ
89ふと君と道連れとなる夕時雨90痛む膝なだめて墓参時雨かな
91見納めの錦スマホに時雨来て92時雨るるや感染増えて第八波
93強風やしぐれて濡れる田に鴉  
自由題の部
94寒き夜や妻と一献酌み交わし95散りつ咲く山茶花道の華やげり
96曜変を見せる陶工どてら着て97華やかな星のコーラス年の暮
98河豚並ぶ浪華の市場これ見てみ99大谷の咆哮一声寒波来る
100鍋の湯気蓋からも湯気夜鷹蕎麦101干菜湯の結構語る喉仏
102のら猫の欠伸している神の留守103幾何学に勤しむ秋の女郎蜘蛛
104玄関に落葉かえって置き忘れ105大綿や急くこともなき夕まぐれ
106流行のオーバーサイズ着ぶくれて107画廊から雑踏に入る寒夕焼
108寒暁の目覚めや葱の刻む音109枯菊と呼ぶにあわれや花の色
110寒柝を叩きリハビリ歩行の子111木枯や屋台の煙風に乗る
112空っ風シチューぐつぐつ煮込みけり113師走空今川焼を二つ買ふ
114三姉妹三人笑ふ炬燵かな115広き空明るき空や落葉道
116赤穂義士雪に落つるや寒椿117どんぐりの土をぬぐいて手向け花
118白き歯を見せてカラオケ外は雪119目と会話マスクの奥の冬ぬくし
120榾くべて爺語り出す「雪女」121ストーブの弁当ここが俺の場所
122河豚鍋へ座敷の客の膝行す123寄鍋の煮えて幼き日の匂ひ
124ブラームスの一番を聴くこたつ酒125切り口に泡噴く音や榾の主
126柚子貰ひ風呂に満ちたる香りかな127夜話はワールドカップ炬燵かな
128冬の日の温みベンチの片隅に129日溜りの水面にひらり冬の蝶
130北吹けり子よりも父に体当たり131蝋梅の香り纏ひて旅の宿
132「ん」のつく食物さがす冬至かな133初詣海より望む赤鳥居
134目を閉じて終の湯船や柚一つ135短日や巨大クレーンに陽のなごり
136冬籠る名士いそうな古都の路地137冬夕焼入り江に水脈の広がれり
138毛嵐の峡またたく間視界ゼロ139バスガール卒寿が唄ふ年の暮Cローズ
140放尿の湯気立ちのぼる寒き朝141冬銀河貝殻を蝕む波の時
142思いつく事メモして年用意143寒稽古畳の縁の擦り切れて
144朝刊のずしりと重き年の朝145煤払うはたきの先の釘隠し
146新宿の歳暮の菓子の厚化粧147酒つぐはマスクのサンタ降誕祭
148折節を巻き戻してる小春かな149雪化粧して吾を迎へたる故郷かな
150新聞に包まれ重き深谷ねぎ151静寂に磨かれ冬の水鏡
152おみくじを結ぶ桜の冬芽かな153団欒の窓に聖樹の灯りかな
154蹲に寒月影を寝かせ居り155誘へり星を聖樹の天辺に
156神々のこぞる黄昏冬夕焼157除夜の鐘うつつの中に数へをり
158頻尿になやむ傘寿の寒夜かな159初雪の暮れゆく街に靄立てり
160嬰児のよくぞ聖夜に生まれけり161除夜の鐘一つ響きて去年今年
162湯治場の窓くもらする晦日蕎麦163この三年祭りもなしに年暮れて
164サーフインのボードの緋色冬日和165故郷の冬を炊き込む自在鍋
166不老不死は幸せなるか仏の座167孫ら来てロの字久しき晦日蕎麦
168娘より宅配便の雪見舞169人中を抜け懐手解きゐたり
170階段を上る孔雀や枯尾花171永遠の人マッキンリーの冬北斗
172路地裏の煮物の匂い一葉忌173夕照は慈愛の色よ冬薔薇
174チャルメラは耳の誘惑十二月175初山河心に沁みる母の声
176辛き事うれしき事も冬至風呂177山茶花の真白赤穂の義士の墓
178猪狩の裂く肚湯気を立てにけり179風花や対角線の信号機
180旧姓で呼び合ふ仲間冬ぬくし181霜柱隣りの空き地席巻し
182開戦日今日はブラックコーヒーで183春を待つ襲名披露の父子眩し
184拭き終えた窓に晦日の夕陽あり185をちこちと暦とりかへ年暮るる
186除夜の鐘一豊伝を読んで居る187極月を子らのうきうき過ごすかな
188閑居して不善も為せずちゃんちゃんこ189しぐるるやはねて入るは縄のれん
190敷き詰めてまばゆい銀杏落葉かな191座布団のふたつ置かれて冬座敷
192ぬくぬくと白いマフラー女の子193大年やぼふぼふと噴く鍋の蓋
194濛濛と黄泉の白息閻魔かな195行く年や伴侶の腰に温湿布
196うっふっふペコちゃん人形街師走197まばたきに猫も答えて日向ぼこ
198読初の心して読む「こころ」かな199初雪やフィリピン沖の海水温
200高層の窓燦燦と冬うらら201ものにみな影のありけり日脚伸ぶ
202見下ろせば隠れもせずに枇杷の花203あきらめぬ男でゐたし日記買ふ
204おでん屋台夕暮れ時の風呂屋前205ブラボーに浮き立つ心冬の朝
206砂を浴び陽を浴びふくら雀かな207初雪を乗せし始発の電車かな
208門松や男結びの華やかに209短日や陽だまりに寄る老夫婦
210君の逝く年一つ越え冬茜211ミニ枯野校舎の裏のビオトーク
212天体ショーロマンに酔ふや冬の空213へそ大根ずらり軒端に冬銀河
214四人分仕事帰りの太鼓焼215救急車止まりて長し今朝の冬
216ぱちぱちと燃ゆる枯野の夢想かな217千切りの大根の白しばし黙
218ひたひたと端へ波寄る薄氷219友訪えばポインセチアに迎へらる
220垣越しの咳(しはぶき)大き町老ひて221鯨見にきて青々と凪ぐ海よ
222マシュマロのごとき蕾や冬薔薇223偽りの甘き香りや冬薔薇
224初雪やあしたの光煌めきぬ225ストーブの上の薬缶やカップ麺
226風花や屋根やね越えて嬰の手へ227雪掻きや子の歓声を積み上げる
228漁師めし波頭の迫る冬の宿229あの世へは橇乗り行かん鈴鳴らし
230室の花湯呑置きたる掌231ワクチンは五回目街はクリスマス
232ラデツキィ手拍子晴々お元日233鉄瓶の沸き立つ湯気や雪しんしん
234叱る声寒夜に徹る昭和の香235街路樹の刈られて広き冬の空
236冬ざれや水こんこんと柿田川237寒晴や遥か沖ゆく連絡船
238小さき手に見よう見まねの小さき注連239顔見知り数多出会ふや歳の市
240来し方や落葉つもりし冬木道241十二月弔辞短く別れけり
242冬座敷読めぬ掛け軸飾られて243富士山の左の街に寒落暉
244急く足が急く足を追ふ師走かな245扁額の文字の判読淑気満つ
246去年今年宇宙をつくる0と1247窯出しの陶に貫入冬うらら
248理髪屋の鏡見入るや木の葉髪249回顧する心の旅路古日記
250咳一つ我に向きたる視線かな251海を見て漁師三人焚火せる
252身に入むや空き家解体重機音253白菜を貰ひて決まる夕餉かな
254虎落笛空き家となりし廃れ庭255恙なき老いの寝息や去年今年
256丹精の鬼柚子実り邪無作る257天気図に東低の線日記果つ
258若水の透けて柾目の桶の底259過ぎたるは及ばぬがごと玉子酒
260焼藷を買ふ月山を眺めつつ261見つむれば増えゆく冬の星座かな;・
262福笹の人乗り込んで来る十日263相棒の犬の老衰冬深し
264冬晴れに仲の良きかな鳶の笛265理髪店客待ち顔の小春かな
266寒鰤とはこの厚さなり氷見の宿267虚しさは師走の所為か宴果つ
268孫が来て家がふくらむお正月269冬日射す駅のベンチで読む文庫
270雨上がり師走の空となりにけり271短日の山揺すり飛ぶ猿の群
272垂れさがる送電線や冬の虹273茶の花や知覧特攻兵の文
274焼き芋屋芋仙人と呼ばれたり275小さくも戦地を灯す聖樹かな
276仰ぎ見るマスクを照らす聖夜光277突風に突かれ銀杏は冬の蝶
278老刀自の声響く市年の暮279読初は「その木について」と言ふ詩集
〔選句方法〕

下の〔草ネット投句〕ボタンから送信するようにお願い致します。
「選句」を選び、兼題より2句、自由題より4句の計6句を選択し、
都道府県名・氏名(俳号可)を明記の上、「送信する」ボタンを
押してください。

選句〆切:1月27日(金)、発表は1月30日(月)に行います。

なお、一部の漢字はネット上では正しく表記されず、
「?」で示されますので、読みを入れてあります。
        
11月句会結果発表
兼題の部(石蕗の花)
作 品 互選 選者選 都道府県 作者
5母の居ぬ家の静けさ石蕗の花11茨城県申女
12沓脱に父の庭下駄石蕗の花8岡山県原 洋一
40三千歩更に二千歩石蕗日和8埼玉県立山 嶺
33つはぶきやいよいよ猛る日本海7神奈川県毬栗
66遅咲きの子に内定や石蕗の花7三重県déraciné
85流刑地に荒ぶ波音石蕗の花7静岡県えいちゃん
69郷里より長く住む町石蕗の花6愛知県ほのる
13初めての母の絵手紙石蕗の花6東京都小石日和
29身の丈の暮しは気楽石蕗の花5大阪府レイコ
92石蕗の花明治の玻璃の御用邸5静岡県こいちゃん
60石蕗の花寺に秘蔵の幽霊図4神奈川県風神
9石蕗の花洗濯岩を洗う波4宮崎県黒木寛史
42小豆島の海の光や石蕗の花4北海道小幸
78末寺への荒れたる小径石蕗の花4神奈川県りゅう
55亡き母の車椅子押す石蕗の花3宮城県栗駒子
3誰が為に咲くや路傍の石蕗の花3千葉県えだまめ
24デイケアの車停まりし石蕗の花3兵庫県毬藻
38山頂はテレビ塔のみ石蕗の花3沖縄県繭子
44かくれんぼ身を寄す木戸や石蕗の花3東京都水谷博吉
59色のない季節にありて石蕗の花3埼玉県イレーネ
75暗闇の庭こそよけれ石蕗の花3東京都一八
91枯れ色の庭の一灯石蕗の花3京都府福井茶衣
94旅人のカメラ素通る石蕗の花3静岡県なな古
1石蕗の花どこからどこまでが富嶽2静岡県指田悠志
2ことさらに日陰にいろふ石蕗の花2栃木県垣内孝雄
14バス停の名は役場前石蕗の花2千葉県こごめ草
16土工らの掛け声風に石蕗の花2栃木県荒川三歩
21石蕗が黄を競ふ生家や誰もゐず2岐阜県近藤周三
22いつもよりバーボン濃いめ石蕗は黄に2神奈川県素秋
26野仏に朝影淡き石蕗の花2長野県倉田詩子
35山寺に人の影なし石蕗の花2神奈川県阿部 文彦
39忘られし本丸跡や石蕗の花2神奈川県ドラゴン
50石蕗明かりいざ鎌倉のかげひなた2神奈川県横坂 泰
54切岸の少し窪みて石蕗の花2和歌山県茫々
61物置のタイヤ抱へて石蕗の花2山形県柴五郎
62大仏や光まとひて石蕗の花2千葉県須藤カズコ
65石蕗の花幼に還る母を看る2広島県山野啓子
67坪庭の音なき音を石蕗の花2埼玉県千葉美知子
73通夜来る見知らぬ人よ石蕗の花2神奈川県みぃすてぃ
77石蕗日和城山公園ひと巡り2愛媛県牛太郎
80身のほどの年金暮らし石蕗の花2山口県ももこ
83香と美ではあなたの勝ちと山蕗の花2福岡県
90コツコツと夜の靴おと石蕗の花2神奈川県佐藤けい
43海境に波線ひとすじ石蕗の花1大分県石ころ
4石蕗の花息吐くやふに嘘を云い1千葉県蘆空
6ところ得し石蕗の群生寺の隅1滋賀県泥亀
8船主の玄関静か石蕗の花1北海道みなと
15野良猫の通る小径や石蕗の花1愛知県コタロー
17二人目を孕みし知らせ石蕗咲きぬ1京都府せいち
28石蕗咲くや竹の器に酒と当て1埼玉県郁文
32石蕗の花光と影のフェルメール1神奈川県ひろし
36無口だが心ほっかり石蕗の花1千葉県光雲2
37石蕗の花一日一句老い防ぐ1東京都星女
46古民家の庭の一隅石蕗咲けり1埼玉県桜子
48ほろ酔いの家路を照らし石蕗の花1神奈川県ひろちゃん
57わが胸を静かに灯し石蕗の花1奈良県陶生
64花石蕗やポストにチラシだけの夕1兵庫県ケイト
76泣き止みてはじらふ笑みや石蕗の花1神奈川県二モ
79娘を思ふ母の齢や石蕗の花1静岡県さくら
84石蕗の花の葉はアンモナイトの形1静岡県彗星
自由題の部
作 品 互選 選者選 都道府県 作者
160十年を巻き戻すかに毛糸解く16三重県déraciné
165冬耕や己が影へと鍬を打つ15三重県八郷
274病む母にほどよくさます冬至粥10滋賀県和久
163短日のかちりと終はるオルゴール10愛知県ほのる
116幾何学に勤しむ秋の女郎蜘蛛9神奈川県素秋
138破る子の無きまま褪せて冬襖9東京都水谷博吉
152置き傘を借りて外湯へ夕時雨9岐阜県俳ネン
260抱っこ紐外す小春のベンチかな8奈良県よっこ
212ひしめいて水鳥水を輝かす7兵庫県毬藻
147思ひ出の欠けゆく故郷木守柿7兵庫県鈍愚狸
246富士を背に草食む牛の小春かな7岐阜県俳ネン
257病む人の歩幅と進む小春道7愛知県ほのる
103寒卵喜寿には重き米袋6宮崎県黒木寛史
97木漏れ日の影淡くして冬に入る6千葉県えだまめ
105妻介護抱きて入れたる柚子湯かな6大阪府森 佳月
109ささやかな暮らしも良かれ根深汁6愛知県コタロー
149「よう来たね」祖母の声無き冬椿6宮城県栗駒子
162たをやかに続く落葉や土塀坂5千葉県文武
124冬の海見たく外房線に乗る5東京都梧桐
146回廊を巫女のすすみて冬の朝5三重県正耕
156王妃の名冠して哀し冬薔薇5千葉県須藤カズコ
96片しぐれ香林坊へ橋わたる4栃木県垣内孝雄
159寒釣や風のきつ先顔を刺し4広島県山野啓子
140しなやかにしたたかに葱育ちゆく4埼玉県桜子
151残照に身を委ねたる冬野かな4奈良県陶生
174主婦業の我が身に勤労感謝の日4山口県ももこ
190石段を且つ紅葉散る奥の院4栃木県垣内孝雄
201社殿前川の字に立つ七五三4東京都小石日和
224頬杖をつきし地蔵の愁思かな4千葉県光雲2
238熱燗や才女と知りてほどほどに4神奈川県横坂 泰
264山茶花や目鼻の消へし六地蔵4神奈川県二モ
129飛石のかすかに見ゆる敷松葉3神奈川県阿部 文彦
191防災を告げる無線や冬に入る3千葉県えだまめ
106名もなき山名のある山も山眠る3岡山県原 洋一
115冬晴や廃刊の危機乗り越へし3岐阜県近藤周三
118見かけない猫の居すわる神の留守3兵庫県毬藻
126水底に紅葉揺らめく夜灯かな3神奈川県ひろし
139茶の花や夕陽の名残り惜しむかに3神奈川県ひろ志
144達筆の扁額読めず牛鍋屋3神奈川県横坂 泰
175褞袍着ていよいよ遠きポストかな3大阪府椋本望生
220芯先の尖る鉛筆冬に入る3神奈川県ひろし
245老猫の虎にはなれず枯野行く3奈良県陶生
254「まあいいさ」夫だんまりと薪焚べる3三重県déraciné
272貴婦人の年齢不詳冬帽子3静岡県彗星
98右傾化ともう言わぬ世か大根引く2千葉県蘆空
100焼き芋を喰うtてソ連の話など2滋賀県泥亀
102裏木戸の匂ひ嗅ぎをる北狐2北海道みなと
108荒星や湊かなえの真の闇2千葉県こごめ草
111十年日記手にとつてみて買わず2京都府せいち
125落葉舞ふ下で果て無き竹箒2埼玉県夜舟
136サロベツのきつねトカゲを子に運ぶ2北海道小幸
142小春日や画布の下塗り丹念に2神奈川県ひろちゃん
145せせらぎに一葉浮かべて冬もみじ2福岡県宮内和彦
148箱河豚の鰭せはしなき小春哉2和歌山県茫々
153冬菊と小さき棺咽ぶ夜2埼玉県イレーネ
158鯉にエサ禁止の札や鐘冴ゆる2兵庫県ケイト
167赤襷まず白菜を真二つに2神奈川県みぃすてぃ
182そぞろ寒十七文字に唸る日々2茨城県西川富美子
186大根引富士を仰ぎて一休2静岡県こいちゃん
197鎌掛ける納屋の壁には隙間風2宮崎県黒木寛史
203散ってゆく木の葉は色を失わず2愛知県コタロー
206スヤスヤと猫に小春日おいたまま2千葉県あけび
217茶の花や閉ざされてある躙り口2大阪府レイコ
223神の旅貧乏神は留守をせり2神奈川県阿部 文彦
230ネールして孫と見せ合う一葉忌2北海道小幸
235旧友と一輪差しと燗の酒2千葉県風聲
250動かざる影絵の如し枯はちす2千葉県須藤カズコ
251通り抜けできぬ細道返り花2大阪府紗紗希 大河
253前髪を切つてマスクの似合ふ顔2広島県山野啓子
259立冬の干したるものに日の滑り2三重県八郷
261雨音の止みて一輪返り花2神奈川県みぃすてぃ
267冴ゆる夜の靴音響くビル谷間2静岡県さくら
278冬日和駅のベンチで文庫本2神奈川県佐藤けい
107風凪ぎて絡まりしまま杜鵑草1東京都小石日和
112冬ざれや気ままな子でも便りくる1千葉県あけび
113反骨心少しだけ見せ帰り花1栃木県あきら
127とくいげな袴着の子や靴はいて1神奈川県毬栗
131亡き夫やこくこく時計冬座敷1東京都星女
133京の旅紅葉の寺を巡りけり1神奈川県ドラゴン
134木枯や一文字の口更に引く1埼玉県立山 嶺
143立冬やうどんの鉢の温かりき1兵庫県大谷如水
154ライブ行く厚底の靴冬に入る1神奈川県風神
168干し物に伸ばす手の先冬夕日1三重県すかんぽ
171坂上がり小春日和の露人墓地1愛媛県牛太郎
173小春日や牛の親子の半眼に1静岡県さくら
177鎌放りまどろむ小春馬草うえ1福岡県
178冬夕焼影差す森が燃え上がる1静岡県彗星
179冬館ドーベルマンの不動なり1静岡県えいちゃん
180遠山にしぐれの日射しありにけり1滋賀県和久
185ティーショット紅葉の谿に吸ひ込まれ1京都府福井茶衣
187立冬や湯呑みのひびの脈のごと1東京都半歩
193義時と政子並びぬ菊人形1茨城県申女
202落葉蹴り通る小径や下校の子1千葉県こごめ草
205透明な十一月も終りけり1京都府せいち
211五輪明け罪明るみに千葉笑1千葉県玉井令子
213翻る度に日を撥ぬ朴落葉1滋賀県幸亀
214浜千鳥寄り添ひ揺るる波頭1長野県倉田詩子
218腰までの髪を束ねて女児枯野1東京都梧桐
219風一つ団栗落ちる音一つ1埼玉県夜舟
222ほんたうのわたし映さず氷面鏡1兵庫県峰 乱里
229旅客のロビーへ散りぬ神無月1神奈川県たかほ
233未明より米蒸す厨年用意1神奈川県ひろ志
234容赦なく吾を叩きし空っ風1埼玉県桜子
237冬銀河気宇壮大の露天風呂1兵庫県大谷如水
239辛くても余生は笑顔冬の虹1福岡県宮内和彦
241近江路はいつも湖冬晴るる1兵庫県鈍愚狸
244掃かれゆく落葉の音や箒の目1千葉県岩魚
255いちどきに小鳥飛び立つ夕紅葉1埼玉県千葉美知子
263寡黙なるレールの先に冬日射す1東京都一八
270穂薄の西へ西へと戦ぐ風1秋田県りきお
273虎落笛途切れ途切れのリコーダー1静岡県えいちゃん
276星月夜天王星と赤い月1茨城県西川富美子
選評 選者:草の花俳句会 同人会長 服部 満

≪兼題の部:石蕗の花≫

★亡き母の車椅子押す石蕗の花

母の使っていた車椅子を片付けようと押してみたのかもしれません。母を亡くしてまだ日が浅いのでしょう。
「車椅子押す」という行為を述べるだけですが、その車椅子に母が座っていた日々を思い出して新たな悲しみ
か、あるいは静かに送ってあげられたという安堵感か、読み手の想像は広がる。石蕗の花が効いています。

◎石蕗の花寺に秘蔵の幽霊図

円山応挙の幽霊画を伝えているという寺を訪ねたことがあります。この句の幽霊図も著名な絵師のものかも知
れません。一般に公開されることもなく寺が寺宝の文化財として伝え持っている、そんな思いを抱かせる幽霊
図です。寺の庭の一隅にひっそりと咲く石蕗の花が印象的です。

◎郷里より長く住む町石蕗の花

生まれ故郷を離れて他郷に暮らす人は今では珍しくありません。いつか故郷で過ごした月日を超えて別の町で
暮らし、再び郷里に戻ることなく終わる人も多いでしょう。作者も石蕗の花を前にして過去から現在までを振
り返っています。句の穏やかな文体が作者の心境の充足を感じさせます。

≪自由題の部≫

★冬耕や己が影へと鍬を打つ

冬耕は次年度の耕作のために田畑を鋤き起こすこと。今は機械化されましたが、この句では鍬の作業だから広く
ない畑の耕しでしょうか。畑の「己が影」はただ日差しの関係に過ぎないのですが、一鍬一鍬自らを耕して明日
からの生活に備えようと励んでいるかのようです。寒風の中で黙々と立ち働く「冬耕」の季語が効果的です。

◎ひしめいて水鳥水を輝かす

鴨、雁、鳰などの水鳥が池の一角にひしめいて羽ばたいたり鳴き声を上げたりしています。野生の水鳥の羽毛の
艶、首筋の輝きやしなやかさは見事なものです。「水を輝かす」が巧みです。羽ばたきの水しぶきが冬日に輝い
て池の水さえ輝きます。水鳥と池の水が一体となって水鳥も輝いています。

◎病む母にほどよくさます冬至粥

一年で最も昼が短い冬至の日は、冬至粥を食べて息災を願う。粥であれば、ふうふう吹いてさましながら食べる
くらいのほうが暖まります。しかしこれでは「病む母」にはつらいと考えた作者。特別な行為ではなく「ほどよ
くさます」がさらりとして素敵です。かえって母への想いを感じます。病が早く癒えると良いですね。

        
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