7月句会投句一覧
兼題の部(日盛)
1百号の裸婦の油絵日の盛2サヨナラ打入るや日盛るスタンドへ
3日盛りの古都ゆるやかに人力車4日盛りの道延々とホームレス
5日盛やドローンに乗り那智の滝6迷ひても比叡は楽し日の盛り
7皇居前日盛を行くツアーかな8日盛りのアスファルトに死すミミズかな
9日盛やたゆむことなき蟻の列10ものの影乾くがごとし日の盛り
11日盛やひとり道路のゴム剥がし12日盛や父の説教うるさくて
13植木屋の弁当昼寝日の盛り14母の肩少し痩せたる日の盛
15日盛にやり過ごしては散歩道16日盛や自販機唸る道の駅
17日盛や先の曲がりて種胡瓜18日盛りの舗装に影の貼りつきぬ
19日盛りやサービスエリア車満ち20馬車道を曳く日盛の人力車
21檻の虎隅に居並ぶ日の盛り22日盛やたゆむことなき蟻の列
23日盛や全て遠退き老いさだか24売り出しのマンション寂と日の盛り
25日盛の水飲む己の喉ぼとけ26日盛の池や川獺の生欠伸
27日盛や思いは嶺のアルプス路28公園に子らの声無き日の盛
29日盛や読経嗄れて七七日30日盛やまだ鳴りやまぬ警報器
31日盛や蟻かたまりて虫の囲む32日盛りや砂利道を行く蟻1匹
33日盛に吾考える石となり34不来方(こずかた)は人の影なし日の盛
35日盛や木漏れ日戦ぐこと忘れ36日盛りや人影も無き尼の寺
37早打ちの応援太鼓日の盛り38日盛りに川面きらきら反射光
39無言館の黙深くして日の盛40人影のなき日盛の築地塀
41容赦なき解体工事日の盛42陸軍墓地を包む静けさ日の盛
43日盛りの一歩踏み出す勇気かな44日盛や佐渡乗せて海真平ら
45日盛りに子らの行列水飲み場46日盛りの投射揺らめく川の岩
47日盛や赤きバイクの音高し48日盛りや眩暈覚えず葛橋
49石亀の微動だにせぬ日の盛り50日盛りや野道に続く天主堂
51飴切りの音乱るるや日の盛り52日盛やよき人の骨拾ひたる
53日盛の図書館臨時休館日54日盛の砂丘転がる風の音
55見上ぐればビルゆらめける日の盛り56日盛りの営業マンの背広かな
57校旗手の踏ん張りどころ日の盛58日盛りに絨毯たたく音と知る
59日盛や黒い車のゆくばかり60日盛や人とポストの揺れる影
61日盛や猫の昼寝は縁の下62日盛りや走る園児の汗とびて
63日盛りや人を待つ人しかめつら64日盛りの南京町をただ歩く
65日盛やヒールのしずむアスファルト66日盛りや不動の鯉の池の影
67日盛りや影の行く先探しけり68日盛や甘味処の和服連れ
69日盛や水垢離の堀干上がれり70日盛や瓦師影を焼き付ける
71日盛りや早足にバス停の影72日盛を避け得るならば読書する
自由題の部
73蝉の声森にけなげな美術館74沙羅の花余香添へ落つ宇治の恋
75梅雨明けや風にのる雲いきいきと76暑き日を皆で分け合う昭和かな
77わが庵山桃実る坂の上78厄日かな眼鏡のネジを締め直す
79連れ立ちて晴れ間にワルツ梅雨の蝶80梅雨寒の一人ふとんは海の中
81梅雨寒や街を静めて小糠雨82取合て梅雨道上がる身重かな
83梅雨色に染まるテストの◎84蚊柱や中に入ること許されず
85夏祭り屋台の娘大人びて86夫見入る阿波の踊りの手と腰と
87寝冷えして腹巻さがす日の憂い88梅雨明けを待つ鳩の声くぐもりて
89白餡の鮎を頂き暑気払ひ90ガリバーの気分で覗く蟻地獄
91炎昼や預金残高確かめる92今年また空家の増ゆる帰省かな
93夏草に麒麟一日の在るごとし94梅雨寒や街を静めて小糠雨
95足下より暮れてゐるなり踊かな96若竹や鼓笛の指揮棒振る園児
97青簾かけて祇園の街しずか98夕立ちに暫し息つく蝉時雨
99ひとり身を貫き老いし甲虫100秒針は戻せぬ命夏惜しむ
101グラビアは妻の新車とアマリリス102引く波の沖に広ぐる夏の色
103心ばえ違う双子の夏帽子104生き生きと絶滅危惧種里の夏
105冷房の図書館にあり詩情106まづ音の聞こえて滝の雄姿かな
107山椒魚太古の光目に宿し108一斉といふは恐ろし蝉時雨
109大寺の甍を越へて夏木立110竿の先川鵜顔だす相模川
111すばしこき牧羊犬や大夏野112天球の軸の傾く暑さかな
113小流れに裸足楽しむ子どもかな114ネット検索鱧料理など二、三品
115早朝の風を孕みて蓮の花116紙魚潜む太宰治が秘蔵の書
117夏の宵刻みたくあん摺りしょうが118からだじゅう滝に突つ込む夏休み
119足腰を令和の夏へギァチェンジ120蓮浮き葉奏でし雨のピアニッシモ
121葉裏まで月光に濡れ梅雨晴れ間122鷹の爪入れて大人の胡瓜揉
123梅雨晴間オヤノカタキと布団打つ124難民の群蹴散らさる日の盛
125昨夜散りし数より今朝の凌霄花126蜘蛛の子の散つて親蜘蛛見当らず
127鳴き交はす声か谺か閑古鳥128昼食後のうぜんかづらの下で待つ
129きつかりと佐渡の近づきあいの風130隻腕の水車守跡合歓開く
131国宝の鐘鳴らしゆく夏の蝶132胡瓜切り塩をまぶすや梅雨あがる
133夏休み子らの声なきゲームかな134ひとり入る朝の露天や青時雨
135万緑を映す奥底水たまり136片陰を繋ぎて次の札所まで
137松脂の瘤大いなる原爆忌138沙羅の花落ちて地上の白灯火
139夏の果て部室のドアに一礼せむ140夏風邪にガーベラ一輪の花束
141古民家の竃の匂ひ南風142もう一歩前へと滝が薦めけり
143籐寝椅子お爺を描く筆の音144昼寝してレジで謝る夢を見る
145夏の日に宙に舞ひ上ぐブーケかな146我腐草蛍となるか再受験
147行く末を想ふひと時梅雨の蝶148汗流し古巣に戻る男かな
149供養墓参る人あり芥子坊主150夏山のこだまの中の浄水場
151言ひづらきこと言ふ前の団扇かな152雲重くアジサイの青雨しずく
153閑かさや落ちつまた咲く夏椿154梅雨明けや老々介護はじまりぬ
155旱星呻く悪性新生物156子の髪の汗の匂いの愛しさよ
157校庭の草すくすくと夏休み158白芙蓉今日の仕事を一つづつ
159煮かぼちゃの冷えて染み入る甘さかな160明け易しくたかけの鳴く鄙の里
161湾の風胸一杯に夏惜しむ162風涼し小さき豆腐屋残る町
163匂う花匂わぬ花や梅雨の月164涼風や涙かたどるイヤリング
165陣跡や梅雨雷の関ケ原166閑かさや落ちつまた咲く夏椿
167香水の近くなるよな朝の道168血圧計はかり直すや梅雨寒し
169蜜吸へば喜悦溢るる夏の蝶170雨上がりのの字の蚯蚓溝に落ち
171にわか画家顔出す画廊パリー祭172伸び代のまだある余生冷奴
173帰省子はどこの子やらん肘枕174眠る子に大きな影よ砂日傘
175男の子ひとり缶ける夏休み176鹿の子や物言わぬ目の静かなり
177流燈や去年送り今送られて178岩魚跳ね手造り舟の川下り
179洗ひ髪風に梳かせて他人めく180夏帽子似合うかと問い出て行きぬ
181無住寺の茂みにありし石灯籠182芝生刈り妻ご機嫌の笑顔かな
183うちそよぐ青蘆風に膨らみぬ184燕の子飛ぶ順番を決めかぬる
185卓球の手に汗握るラリーかな186タンドール竈にナン焼く匂い夏の空
187別れ際に手を振る仕草夕焼雲188荒梅雨の降りゐて蛭ケ小島かな
189老いた身に力をくれる百日紅190青鳩や島の民家の珈琲店
191ケルン積む夫の声してもう一つ192闇へ咲く一瞬の綺羅花火果つ
193かちわりを置きて簾の風を待つ194凌霄の花の色散る芭蕉句碑
195麻酔醒めたかまりゆきし蝉時雨196人けなきユトリロの街日の盛
197船宿の昼酒となる土用浪198岩苔の膨らみ落つる清水かな
199開け放つ家中の窓梅雨明くる200甚平のご隠居話す武勇伝
201青すすき風の気配を活けにけり202おみあしのひくひくうごく昼寝坊
203博物館なにはともあれかき氷204烏鳴く濡れた舗道に白桔梗
205孫の来て冷菓探しの冷蔵庫206見下ろせばユリが黄色き石廊崎
207行け行けど大夕焼けに近づけず208老鶯のささやくやうに鳴く朝
209師の影を踏まずして行く大西日210黒南風や鉄扉を閉ざす鈍き音
211縁側はちゅるちゅると吸う心太212救ふべきあまたの命いのち命
213菜園の西瓜に防鳥ヘルメット214炎帝やあんたもいずれきっと死ぬ
215ビルの壁叩く人あり熱帯夜216フェイスギャグてふ言葉あり明け易し
〔選句方法〕

下の〔草ネット投句〕ボタンから送信するようにお願い致します。
「選句」を選び、兼題より1句、自由題より2句の計3句を選択し、
都道府県名・氏名(俳号可)を明記の上、「送信する」ボタンを
押してください。

選句〆切:8月27日(火)、発表は8月31日(土)に行います。

なお、一部の漢字はネット上では正しく表記されず、
「?」で示されますので、読みを入れてあります。
        
6月句会結果発表
兼題の部(蝸牛)
作 品 互選 選者選 都道府県 作者
61一雨のあとの明るさ蝸牛7岐阜県色即是句
65気怠さの午後でありけりカタツムリ4大阪府レイコ
1蝸牛飛びもせぬのに籠の中4大阪府宮下 英範
37長靴で駆け出す子らやかたつむり3埼玉県グレイス
6かたつむりふと口遊むわらべ唄3埼玉県アポロン
35身の程を心得歩む蝸牛3奈良県陶生
47師の句碑に侍るでで虫身じろがず3千葉県みさえ
70でで虫を庭に残して越しにけり3茨城県荻田廿日
59かたつむり独り見てゐて老い想ふ2滋賀県和久
9かたつむりゆつくりいけよころぶなよ2東京都
28手話授業窓に角ふりかたつむり2岐阜県近藤周三
2蝸牛嬰の眠れる奥座敷2栃木県垣内孝雄
5雨上がりでで虫ひとつ深呼吸2東京都小石日和
32バス停のベンチを占める蝸牛2埼玉県祥風
44角隠し思案中なり蝸牛2高知県稚児車
46かたつむり角は行路の羅針盤2静岡県さくら
48かたつむり今日の予定をたしかむる2三重県八郷
55回覧板いつもの角に蝸牛2千葉県須藤カズコ
58うかうかと蝸牛見て雨となる2岩手県柴田コル
7蝸牛朽ち木の端の通り道1千葉県あけび庵
11遅刻した訳は門扉の蝸牛1京都府せいち
13かたつむり紙に折られててのひらに1愛知県丸吉
14ゆるやかに時を刻んでかたつむり1奈良県文義
16かたつむり銀の航跡残しけり1静岡県かいこ
18ためらいし跡白々とかたつむり1千葉県えだまめ
25この寺に住み幾年やかたつむり1東京都一寛
29蝸牛いまどの辺り古希まじか1青森県花季の里
38己が道残して歩む蝸牛1東京都一八
50でで虫や父の勤めし療養所1愛知県さと
51かたつむり決断迅き岐れ路1神奈川県横坂 泰
52道半ばされどのったり蝸牛1埼玉県夜舟
56雨催ひけふはお出かけかたつむり1熊本県蕗の薹
60頑なな心角出す蝸牛1愛媛県牛太郎
63未だ誰もおらぬ墓石に蝸牛1長野県幸々
66蝸牛雨に命を宿しけり1埼玉県畑博
67鉄砲雨郵便受けに蝸牛1静岡県こいちゃん
69ゆつくりとゆつくりと吾は蝸牛1千葉県鳥越暁
自由題の部
作 品 互選 選者選 都道府県 作者
110山門の仁王炎暑の息を吐き8東京都一八
179掬ひたる水の煌めき夏に入る6神奈川県風神
129花図鑑ながめて一日梅雨籠り5千葉県須藤カズコ
130雑念を捨てたき時は草を引く5熊本県蕗の薹
100余生なほ描く明日あり雲の峰4岐阜県近藤周三
121道の辺の小さき流れや蛇苺4三重県正耕
99嫋やかに竿は弧をなし鮎の川4京都府しげお
208六月の風草庵の四畳半4愛媛県牛太郎
220サングラス明日成田を発つと云ふ4兵庫県ぐずみ
151万緑の中写生子の散らばりぬ3東京都小石日和
136三つ編みを直すおてんば祭笛3千葉県大信
106大花火妻を呼ぶ間に散りにけり3北海道篤道
163扇子の手止まる桟敷やはつけよい3神奈川県ひろし
182立ち止まり風の私語聴く蟻の列3千葉県光雲2
193卯の花腐し火入れを待てる登り窯3千葉県みさえ
204黒南風や昼を灯せるビルの窓3熊本県蕗の薹
205窓越しに足裏見せる青蝗3東京都山本一二三
218梅雨寒や昼を灯せる喫茶店3茨城県荻田廿日
73紫陽花の化粧直しの小雨かな2大阪府宮下 英範
81転がつて地球の涯の三尺寝2東京都
93緑蔭に寝床移すや迷ひ猫2神奈川県ドラゴン
107湯上りの石鹸(しゃぼん)の匂ひ蛍狩2奈良県陶生
119暮れてなほ栗の花の香濃かりけり2千葉県みさえ
126岩苔の膨らみ落つる清水かな2福岡県えつこ
128この国の行方はどこへ麦酒乾す2静岡県春生
134緑蔭や見知らぬ人と話し込む2愛媛県牛太郎
135杣人の腰に蚊遣や遠瀬音2岐阜県色即是句
142黒南風やシニアの枠でくくられて2福岡県蛍川
161吾の腕へ君の手のひら夕蛍2石川県一鷹
171夕立に裾を気にして初浴衣2東京都一寛
175行間を詠みとりきれず女梅雨2青森県花季の里
196髪の色変えて明るき梅雨の空2愛知県さと
198トンネルの切れ間刹那の山法師2埼玉県夜舟
199蛍狩り光の交差幼の手に2三重県穂のか
217飛び入れば足くすぐりて山女かな2千葉県鳥越暁
86よろけつつ鹿の子すつくと立ちにけり1奈良県文義
75水田の朝の始まる水馬1滋賀県正男
76麦藁帽子一日を動く畑かな1愛知県コタロー
78あぢさゐのしたたるいろをてのひらに1埼玉県アポロン
87恵林寺の門の遺偈や信長忌1石川県一鷹
89父の日に貰ひし酒の酔ひ心地1神奈川県ひろし
94釣り人の目線游ぐや花しょうぶ1埼玉県郁文
95廃陶の多き家並み時鳥1岐阜県小太郎
101絵手紙の手漉きの余白雨蛙1青森県花季の里
104縄電車駅に選びし栗の花1埼玉県祥風
105踏ん張つて砂丘越へれば夏の海1神奈川県風神
109紫陽花や雨は海へと流れゆく1埼玉県グレイス
115さくらんぼ触るる唇柔らかき1北海道千賀子
118蛸足の食み出す壺や半夏生1静岡県さくら
120夏草や道路工事のガードマン1三重県八郷
125広き庭舞台となるや七変化1三重県穂のか
138元号の馴染み始めし梅雨晴れ間1千葉県相良華
141柔道の帯をまわしに草相撲1静岡県こいちゃん
144蜘蛛の巣に大物かかる嵐前1茨城県荻田廿日
146帰校子の一騒動や蛇を打つ1兵庫県ぐずみ
147里山の膳にのるらし菫和え1大阪府宮下 英範
148発心となせる遠嶺の夏の雲1栃木県垣内孝雄
150水馬力一杯空へ跳ね1愛知県コタロー
167紫陽花を手折れば雨の匂ひなほ1神奈川県ドラゴン
178干し竿を拭いて主婦の梅雨晴間1埼玉県祥風
185電柱の影の短し夏来たる1兵庫県柴原明人
190鍵盤に踊る音符や水澄まし1高知県稚児車
195古びたる竹垣の道半夏生1三重県正耕
202荒梅雨や職員室の灯りたる1静岡県春生
203大屋根の庭に一叢半夏生1千葉県須藤カズコ
207梅雨寒のひと日よく鳴る猫の喉1滋賀県和久
209伸ぶるだけ伸びて夏草ながの留守1岐阜県色即是句
210園児等の駆けて噴水風の中1千葉県大信
211ハイヒールのリズムに遊ぶ夏の蝶1長野県幸々
213美山路は濃きも薄きも夏木立ー1大阪府レイコ
選評 選者:草の花俳句会 副主宰 鈴木五鈴(すずきごれい)

《兼題の部:蝸牛》

★かたつむり独り見てゐて老い想ふ

何となく共感を覚えます。かたつむりの、時間を超越したかのような形そして動き。さらには銀の歩き筋を残し
ながら、べとつく身体をのっそりと運ぶ、あの無防備な姿。どれをとっても活き活きしているようには見えませ
んね。こんな動物を独りぼっちで見つめていると、確かに、ふと「老い」を思ってしまうかもしれません。

◎かたつむりゆつくりいけよころぶなよ

印象的には、前の句と似ています。「ゆつくりいけよころぶなよ」には、幼児か老人を案ずるときの言葉遣いを
窺わせます。現実にそうであったのかは不詳ですが…。しかし、俳句の型から言えば「かたつむり」で句が切れて
いますので、中七下五は作者に関わった内容と捕らえるのが一般的ですので、近くで見た「かたつむり」に触発
された中七下五というべきではありましょう。
しかし、かたつむりに語りかけている句と読める余地もあり、悩ましいところです。

◎気怠さの午後でありけりカタツムリ

「気怠さの午後」と感じているのは、言うまでもなく作者。その象徴としてカタツムリが置かれているのでしょう。
カタツムリへの感情移入も当然のようにあったかもしれません。しかし、身近にカタツムリが見えていて欲しいと
願いたいものです。季語は、空想や比喩の材料では働かないことを承知して欲しいものです。


《自由題》

★万緑の中写生子の散らばりぬ

「万緑」という季語は「万緑叢中紅一点…」という王安石の詩から採られたといわれます。見渡す限りの緑、生命力
溢れる夏の草木を象徴する季語と言えましょうか。そんな景の中に「写生子」が散らばったというのです。勿論元気
一杯な子供たちを想像します。紅一点ではありませんが、子供たちの色合いが「万緑の中」に点々と見えてきます。
見上げれば夏雲さえ見えてくるようです。とても清々しく良い句だと感じました。

◎余生なほ描く明日あり雲の峰

「雲の峰」がとても良いですね。生きていれば色々な思いに捕らわれることはよくあります。このことに年齢は関係
ありません。問題は、その思いが前向きか否かだけです。「雲の峰」の印象は、明らかに逞しい生命力を思わせます。
それだけに「余生なほ描く明日あり」をしっかりと支える季語と言えるでしょう。楽しみな余生ですね。

◎花図鑑ながめて一日梅雨籠り

外歩きをしたいのでしょうね。梅雨時の気分が良くでています。花図鑑を眺めながら、一日中、あの日あの場所の
思い出に耽っているのでしょうか。或いは、梅雨明け後に出かける場所を選んでいるのかもしれませんね。
「梅雨籠り」の一つの楽しみ方とも言えましょう。


添削(ランクアップのために)

言いたいことが決まったならば、とりあえず五七五に認めてみましょう。そして声を出して読んでみる。読みづらい
場合は、きっと直す余地があるということです。上五と下五の語順を替えるなど工夫してみてください。これだ!、
という表現に出会えるかもしれません。ここでの添削が参考になればと願うものです。

・バス降りる海月ゐさうな海の側 → バス停は海月の見ゆる海の側

季語は出会って初めて活きるものです。「ゐさうな」はやめましょう。はっきりと海月の存在を出さなければ一句の
主役が不在となってしまいます。そして、できるだけその情景が映像として印象に残るように詠みたいものです。

・暮れてなほ栗の花の香濃かりけり → 暮れてなほ香りの強き栗の花

元の句がそれほど欠点がある訳ではありませんが、調べの上で「栗の花の香」そして「濃かりけり」へと畳みかける
強さは、作者の関心が花よりも香りにあることを強く窺わせます。あくまでも香りは花の持つ属性の一つ。
もう少し大らかに「栗の花」を眺めて欲しいものです。

・髪の色変えて明るき梅雨の空 → 梅雨晴間髪色変へて逢ひにゆく

「明るき」は「髪の色」なのか「梅雨の空」にかかるのか曖昧です。また、髪の色を変えた喜びを受けとめるのが
「梅雨の空」では少し悲しいとも感じます。気分転換として髪の色を変えたのであれば、むしろ「梅雨晴間」でしょう。
「明るき」は不要。貴重な晴間を有効活用いたしましょう。ここでは仮に「逢いにゆく」としてみましたが…。

        
戻る