5月句会投句一覧
兼題の部(朴の花)
1見上ぐれば白一点の朴の花2車椅子の妻見上げたる朴の花
3朴の花気高き姫や夢心地4朴の花夏の訪れ夜に匂ふ
5廃校を守るアトリエ朴の花6朴咲くや六根清浄山の声
7輪に入らず一人遊ぶ児朴の花8朴の雨花より朴の葉へつたふ
9朴の花一花で満たす庫裏の壺10朴の花見たくて岩に登りをり
11朴の花旅の御膳の朴葉味噌12朴散華なほも白なる重さかな
13朴咲いて吊橋の宙香るなり14朴の花ひっそりと立つ忠魂碑
15濁世より抜けて尾根道朴の花16朝に恋ひ夕に恋ふるや朴の花
17芸人の見せぬ涙や朴の花18里山にありて寄り添う朴の花
19朴の花間から見ゆる諏訪盆地20横綱の土俵の入りや朴の花
21黒板の隅に校庭朴の花22過疎村の石のきざはし朴ひらく
23朴の花朝の空気のすがすがし24空までも雨の匂ひの朴の花
25産土の神気孕みて朴の花26大いなる葉に乗る朴の花も大
27朴の花山の湿りをまとひ落つ28朴の花三里の塚の枝の先
29切り通しののり面高く朴の花30朴葉味噌味と匂いと岐阜の祖母
31朴の花家路を急ぐ佳人かな32枝先の台座に仏朴の花」
33余生にも楽しみあらむ朴の花34朴咲くやパラソルのあるカフェテラス
35新しき写経の筆や朴の花36ふるさとの見えくる峠朴の花
37束ね髪解きし少女や朴の花38限界の集落に咲く朴の花
39朴の花なにをあくせくしんがりよ40倖せの刻はたまゆら朴散華
41朴の花咲くも険しき獣道42吹く風のひかり広ぐる朴の花
43トンネルを抜けて故郷朴の花44朴の花その掌に何を受く
45朴の花深山の風を和らげり46朴の花安息香のシャングリラ
47雨水を芯に湛えて朴の花48八ミリの兄にも届け朴の花
49味噌焼ける山宿暮れて朴の花50抗へど命短し朴散華
51朴の花活けて深山めく一間52山城の苔の石段朴の花
53朴の花終末時計は過去最短54杣道の標となれり朴の花
55日輪に手を差し伸べよ朴の花56山歩き香り見上げて朴の花
57月昇る速さをみたか頬の花58参拝を忘れてあふぐ朴の花
59大空と対峙するかに朴の花60朴の花多摩には今も雑木林
61穢れなき香を放ちけり朴の花62引退を告ぐるなみだや朴の花
63朴の花外人墓地の緩斜面64山の日を押し上げてをり朴の花
65糠雨の馬籠峠や朴の花66朴の花開く古刹や雨上がる
67朴咲くや一輌に乗り来るタトゥー68彩雲にしばし見とれる朴の花
69ビロードの白い花弁や朴の花70巨石ひとつ置かれる古刹朴の花
71朴散華大仏の手に吹き溜まる72朴の花お祭り広場を抜けて来た
73朴の花天より降りし香気かな  
自由題の部
74暮なずむ街角低く夏つばめ75妻の匂い残る箪笥や更衣
76蕗味噌や細胞目覚め血が巡り77麦の波匂い来る風Cマイナー
78神木を断ち割る雷火おなり笛79木曽川の道一筋に女鵜匠
80透き通る風にベクトル聖五月81目の前に夏野のゆがむ視界あり
82飛行機雲ぐんぐん伸びる麦の秋83蚕豆の莢舟になり流れをり
84ぷちぷちと茶を摘む音や姉かぶり85小満や苔むすなかの笑み仏
86「ジョブズ伝」読み耽る子や明易し87遠耳の人との会話梅雨ごもり
88昼酒をぐいと一口これも避暑89初音聞くけふは別れの初めかな
90見送りし後のため息青しぐれ91薫風や部屋の隅隅駆け抜ける
92浄土へと誘う洲浜や藤の花93夏草の蒸れに切り込む列車かな
94梅雨入りやぶっきらぼうに開く電車95捨て畑に卯の花咲ゐて人の影
96樟若葉大和の国の住居跡97清正は肥後のヒーロー清和かな
98牡丹散る十二単を脱ぐやうに99仏立たしめて青葉の闇深し
100葉桜や窓打つ風に癖ありぬ101花葵雨の終わりはあと少し
102葉のかずは三五七枚バラ真紅103芍薬のように育てたつもりの娘
104片付ける生きているわよ落椿105街頭のぼんやり灯り海霧暮れる
106大金に縁なき暮らし小判草107紫陽花や雨垂れのある鐘撞堂
108大丈夫とだけある返信熱帯魚109葉も人も風もまぶしき五月来る
110天に芳香泰山木は花つけて111吟醸を満たしきらめく江戸切子
112薫風や樹下に切株二つ三つ113瞬間の巡礼のごと蛍飛ぶ
114紫陽花や細き路地裏猫の道115クラマチス夢の切れ端つなぎけり
116朝霧に水菜切る音夢半ば117吊り橋へためらふ一歩花あけび
118歴史絵巻広ぐる大路葵祭119目と鼻の二感リセット薔薇の園
120外来樹今や重鎮夏の山121陽が落ちぬ百畳凧に引つ掛かり
122睡蓮やときめきの色覚えけり123(重病の友へ)ケセラセラ君の笑まひや若葉風
124薔薇を切る赤い血潮の滲みけり125快晴や白亜の家の鯉幟
126神木の幣吹き飛ばし青葉騒127初鰹燻す番屋や太き腕
128さみだるる能登の棚田のこころ旅129風薫るホームを走る雀の子
130燕とび賑やかひときわ善光寺131老鶯のこゑや路傍の地蔵尊
132砥部焼の白磁の壺や新樹晴133明易し語り終わらぬユーチューブ
134水切りの如く水面を翔ぶ燕135老鶯のわづかひと鳴き暮れ残る
136髪カット公園通りの風薫る137農道のところどころに夏木立
138懸橋の水満々と花菖蒲139二歳児の預けくる身や夏の夜
140会ひにきて海を見てをり浜昼顔141ファミレスのボンゴレ愛す夏の昼
142緑内障今日まだ見える若葉かな143街角のジャスミンの香に躓けり
144本めくる手や緑陰のカフスボタン145新緑や境内に有る貝の殻
146紫陽花や好みの色に会いにゆく147我が庭は畑と化せり茄子植える
148ぎこちなく手つなぐ夫婦夏来る149胡瓜苗活着せずに消え失せて
150牡丹忌や一冊バックに文庫本151イージス艦ひらり地を擦る夏燕
152薫風やドラマ始まるプロローグ 153若葉風カフェからヒョイと男前
154昼の蠅猫の乳房にたかりけり155衣替首もと余るシャツばかり
156目打たれて見捨てられたる穴子かな157白百合や母の命日近づきぬ
158アスパラの筋を引きけり薄暑光159ゴッホにはなれず老いけり夏蜜柑
160全身に薫風まとい乗るリフト161ストローは一本で足る夏の恋
162子猫抱く小さき靴や遠ざかる163子の届く厚き封書や梅雨晴間
164母の日の花束に込む感謝かな165手庇の追いし先なる夏の蝶
166啖呵売り啖呵で買うや初鰹167梅雨晴れや薬の匂ふ市営バス
168卯の花の香りをこぼす雨滴かな169人の声届かぬ高さ桐の花
170宇宙への永遠なる螺旋春の夢171虹弾くイルカのひれの艶やかに
172引き流す巻雲まぶし新樹晴れ173柿若葉ベンチに並ぶ子らの膝
174来て行きて風鈴の音のリズムかな175砂山の電波灯台あいの風
176ヒハビリはヨチヨチなれど踊り子草177兄弟のカバンが走るつくしんぼ
178初夏の海白帆や白帆競技艇179真つ直ぐな胡瓜の貰う単価かな
180夏の空父の書庫には軍歌集181子燕や玄関土間の長話
182夏鶯老いにくすぶる恋ごころ183若葉風園に並びし勝手かご
184リラ冷えの町を見下ろす時計台185短夜の明くるを待たず救急車
186韮の花夜目にも白く暮れ残り187屋台船ともづな解きし夏の川
188洋館の窓辺に赤きゼラニウム189白髪の一筋残り籠枕
190きりもなや矯めてためては山椒の実191緑陰や園児集めて読み聞かせ
192薔薇の園有名人の名を連ね193頼もしや花壇の中の茄子・胡瓜
194三人のレンガ職人ゆく夏野195青楓初子包(くる)まる産着かな
196女優名の紅薔薇浮くや湯気けぶる197許すことできる齢や沙羅の花
198麦秋や夕日に染まる雲の果て199昼下がり疲れ始めた薔薇たちと
200豆ご飯種豆遺し父の逝き201若竹と吾子の背比べ報国寺
202摘みたての鞘も出汁なり豆ご飯203山水で満たされ棚田月を待つ
204幼虫は蛹になりて青嵐205なだらかな讃岐の山よ若葉風
206新卒の子に馳走さる夏始め207透き通る水に早苗の一束目
208小波立つ田づらの水や蝌蚪群るる209五月尽団地真夏日の静寂
210男前上がるといはれサングラス211いにしへの大寺の礎石夏の月
212蜘蛛の囲の風雨に負けず光りをり213茉莉花や如来は法衣腰に巻き
214父好む赤き薔薇咲く仏花とす215喜寿超えて若葉まぶしく目にしみる
216しっかりと淹れて妻への一番茶217黴の香やテーブルに別れの予感
218くちなしや児童公園に侵入し219さくらんぼ幸運祈るふたごの実
〔選句方法〕

下の〔草ネット投句〕ボタンから送信するようにお願い致します。
「選句」を選び、兼題より2句、自由題より4句の計6句を選択し、
都道府県名・氏名(俳号可)を明記の上、「送信する」ボタンを
押してください。

選句〆切:6月22日(月)、発表は6月25日(木)に行います。

なお、一部の漢字はネット上では正しく表記されず、
「?」で示されますので、読みを入れてあります。
        
4月句会結果発表
兼題の部(長閑)
作 品 互選 選者選 都道府県 作者
55のどけしや赤子指より眠りだす18岡山県原 洋一
19大阿蘇の牛の反芻長閑なり16神奈川県ひろし
28百年の振子のひびき長閑なり6兵庫県毬 藻
24長閑さや何もせぬ日の暮れてゆき5茨城県申 女
9長閑なり空よりふつてくる欠伸5静岡県指田悠志
40長閑さや亀の親子の甲羅干し5千葉県光雲2
23のどけしや三時を告げる鳩時計4埼玉県桜 子
25長閑さや犬の呼吸の静かなる4愛知県コタロー
42のどかさや雲へ寝ころぶ草の上4愛知県牧 子
51長閑しや後ろに母が居るような4北海道篤 道
54太公望うつらうつらと湖長閑4滋賀県鶴亀鈍
61長閑さや戸口に護符の角大師3東京都浩 平
69のどけしや岬が空へ浮くやうな3神奈川県りゅう
12長閑や逆しまに干す旅鞄3神奈川県たかほ
2いましばし生きていたしや海長閑3愛知県佐藤マルキチ
10長閑さや三和土の広き郷の家3千葉県小澤富子
14雲のどか机上に市制百年誌3神奈川県遠野アルヒ
20長閑さや猫の会議は二時間目3石川県翡翠工房
47のどけしやリサイクル店の猫番頭3兵庫県ケイト
60長閑さや夫の気配を遠く置き3奈良県魚楽子
73長閑なり世界鉄道地図作る3鹿児島県青 猫
3寝たきりの妻の寝顔も長閑なり2大阪府森 佳月
4クレヨンの空は水色長閑なり2大分県牧野桂一
13渾名で呼びあだなでよばれ旅のどか2岐阜県近藤周三
17長閑なりかすかに遠くチャイムの音2埼玉県イレーネ
32のどけしや民謡流し屋形船2滋賀県幸 亀
33のどけしや山羊は水路をひょいと越へ2愛知県み う
43のどけしや我楽多市のめっけもん2三重県déraciné
1のどけしやうつらうつらと舟をこぐ1千葉県えだまめ
7長閑しや睡魔を誘ふ籐の椅子1宮崎県黒木寛史
8長閑なる野辺に隠るる祠かな1神奈川県みぃすてぃ
11長閑なり村の鎮守の花吹雪1大阪府順 紀
15のどかさや自転車押して遊歩道1兵庫県三 郎
16のどかさや溢れ種よリ花の咲き1滋賀県百合乃
18のどけしやバスの正面のろのろ来1広島県山野啓子
22長閑さに昔のくらし探しをり1静岡県えいちゃん
26駘蕩や全員ヤギの除草隊1東京都小石日和
29のどかなる遺影の夫の笑顔かな1愛媛県海 猫
37のどけしや認知の人の二度三度1神奈川県横坂 泰
41のどけしや漫画片手にちやんこ鍋1神奈川県毬 栗
48沖をゆくフエリーボートや海のどか1岐阜県俳ネン
50長閑なる住職ひとり庭掃けり1神奈川県阿部文彦
53長閑なり庭の草にも名前あり1茨城県西川富美子
62名花あり荒草もあり長閑かな1千葉県文 武
64長閑さに菓子屋の主釣に出づ1大阪府奥村かよん
66鴨川のせせらぎ長閑ツーショット1神奈川県梗 舟
67長閑なる軍港のボラードに猫1大分県晴田そわか
71のどけしや峠の茶屋の緋毛氈1神奈川県秋山由美子
72水路には小魚誕生して長閑1愛知県いきか
自由題の部
作 品 互選 選者選 都道府県 作者
114篝火の中に修羅舞ふ薪能9千葉県光雲2
168一枚の青き空縫ふ初燕9石川県翡翠工房
87母の帯売りたる悔いや啄木忌8岐阜県近藤周三
219散り際は風にまかせて雪柳7神奈川県秋山由美子
124走り根や古道は暗し夏落葉7神奈川県阿部文彦
86地下街の暗き静寂昭和の日6神奈川県たかほ
171つばめ来る白鷺城を斜め切り6埼玉県桜 子
173満開の花の下へと車椅子6愛知県コタロー
218倒木の倒れしままに芽吹きけり6静岡県渡邉春生
196むらさきの雫したたる藤の雨5岐阜県俳ネン
180春深し阿弥陀如来の堂の黙5滋賀県幸 亀
93少年のスケボー宙へ陽炎へり5神奈川県ひろし
98春雷や夫の手術を待つ廊下5茨城県申 女
100花御堂まこと小さきお釈迦様5東京都小石日和
116振り向かず出ていく吾子や春の風5愛知県牧 子
122宣伝のビラが空から昭和の日5岐阜県俳ネン
142能登二とせ焼け跡柿の新芽かな5大阪府日野かぐや
184風光る津軽訛りのバスガイド5神奈川県ドラゴン
89奴凧胸をそらして睨みをり4兵庫県三 郎
130和太鼓の響く湯の町春うらら4愛媛県牛太郎
76御所の灯の古き厨や初鰹4愛知県佐藤マルキチ
88東風乗せて柳川堀を返り船4神奈川県遠野アルヒ
90葉桜の雨しづかなり匂うなり4滋賀県百合乃
95ぬつと来てすうつと包む春の闇4静岡県彗 星
97半熟のオムレツとろりおぼろ月4埼玉県桜 子
108明日できることは今日せず春の雨4埼玉県夜 舟
109あをぞらにモザイクめくや若楓4神奈川県藤澤迪夫(みちを)
115新人の声かわりゆく四月尽4神奈川県毬 栗
128仲違い詫び言えぬまま花は葉に4滋賀県鶴亀鈍
135鉛筆をくにやくにや揺らす暮春かな4東京都浩 平
176その中に縁切りの絵馬桜散る4兵庫県毬 藻
191止め石としての父あり昭和の日4三重県déraciné
203割り切れぬ余りも答花筏4岡山県原 洋一
167この畦に母の摘みゐし野蒜かな3神奈川県ひろし
209背凭れに掛くる上衣や春の昼3東京都浩 平
82椿落つ微笑むごとく水揺るる3神奈川県みぃすてぃ
94暁を反し細魚の一夜干し3石川県翡翠工房
101別れ霜葱抜く指に水残る3東京都水谷博吉
104君たちは頑張ってるよ葱坊主3京都府せいち
129散る花の影に重ねし齢かな3岡山県原 洋一
151独り立ち列車待つ間の飛花落花3大阪府森 佳月
155雨の香の田んぼ見回りつばくらめ3宮崎県黒木寛史
161蛇出でて「g」の字の如こちら見る3岐阜県近藤周三
174亀鳴くや自爆しそうなこの地球3東京都小石日和
188ローカル線走る車窓へ花菜風3千葉県光雲2
198朝凪や宿の下駄はき浜の市3神奈川県阿部文彦
75風光る連れ添ひし日々遥かなり2千葉県えだまめ
92吐息めく胴吹き桜をちこちに2広島県山野啓子
107朧夜の樹々は吐息をもらしけり2愛知県み う
134紫を訪ねてみれば山の藤2奈良県魚楽子
138天道虫異国のにほひ連れてくる2大阪府奥村かよん
141すれ違ふひと皆きれい花万朶2大分県晴田そわか
144老桜の七百年を咲きほこる2静岡県渡邉春生
145東雲の谷戸の渡りや百千鳥2神奈川県秋山由美子
157熱すぎて飲めぬ茶を淹れ新社員2静岡県指田悠志
163春光のとけいる水や上高地2兵庫県三 郎
164牡丹咲く崩るるさまに憂いあり2滋賀県百合乃
166公園を独り占めする花見かな2広島県山野啓子
175囀りや路地に朝餉の湯気あがる2東京都水谷博吉
178靴を替へ眼鏡を替へて更衣2京都府せいち
181移住者はシングルマザー花辛夷2愛知県み う
182錆びついたぶらんこ小さき靴の跡2埼玉県夜 舟
183吊床にかすかなりゆく葉騒かな2神奈川県藤澤迪夫(みちを)
186長閑さや音の狂ひし駅ピアノ2神奈川県風 神
201背伸びして整列したり葱坊主2茨城県西川富美子
207老ひ確か十三回忌の桜しべ2埼玉県千葉 美知子
211笛の音のやうな園児の磯あそび2大阪府椋本望生
213下駄音や温泉郷の宵桜2広島県一 九
77花冷えや朽ちたベンチは座れない1大阪府森 佳月
78蛞蝓の道をなしたる登窯1大分県牧野桂一
80刈りのこす畝2メートル雲雀の巣1新潟県しーしー
81青春歌ながれしラジヲ春夕焼1宮崎県黒木寛史
85蒲公英を踏みて登れば鳥の声1大阪府順 紀
96さへづりや樹海に光り射し込めり1静岡県えいちゃん
99山桜「国宝」級の人出かな1愛知県コタロー
105世の中の幸せ運ぶ花いかだ1神奈川県ゆりみ
110クッキーの欠片零れし春愁ひ1神奈川県ドラゴン
112春昼や花の絵競ふ格天井1神奈川県風 神
133帰国待つチャイルドシート夏隣り1埼玉県千葉 美知子
140春風と空中戦の竹とんぼ1神奈川県梗 舟
147楠若葉九十越ゆ長寿会1鹿児島県青 猫
152ガムランの二階に響く春の昼1大分県牧野桂一
160弁当を木影に纏め苗植うる1神奈川県たかほ
165入学の子の制服や袖長し1埼玉県イレーネ
169奥宮は森の中なり百千鳥1静岡県彗 星
170平家琵琶のばち音響く春の宵1静岡県えいちゃん
177日のかげら連れてはじまる飛花落花1愛媛県海 猫
195葉桜や参道跡の小さき碑1兵庫県ケイト
199身を託し舞い上がろうか春疾風1北海道篤 道
202風光る鬣なびく草千里1滋賀県鶴亀鈍
208人去りて木香薔薇が家主に1奈良県魚楽子
210わんさかと双葉競ふや夏近し1千葉県文 武
212藤の花風が舐めゆく逢魔時1大阪府奥村かよん
217噴煙や菜の花明り続く土手1神奈川県りゅう
221聖五月白き教会立つ岬1鹿児島県青 猫
222藤棚を揺する風さえ濃紫1静岡県なな子
草の花ネット句会4月句会 選評 選者:草の花俳句会 同人会 服部 満

≪兼題の部:長閑≫

★のどけしや赤子指より眠りだす

 長い春の日の、のんびりと穏やかな気分が長閑。ここから人の動作やものの働きがゆっくりしているさま、
さらに気持ちののびやかさや平静さにも及びます。赤ん坊の手が温かくなって、眠気を催したところでしょう。
「指より眠りだす」の表現に実感があります。「のどけしや」に母親の穏やかな気持ちも感じられます。

◎長閑さや戸口に護符の角大師

 すべてがゆったりとした春の一日。門口には角大師の魔除けの札が貼られている。正月にお寺でいただいた護
符を張ってから、既に春も深まっています。高僧元三大師が疫病退散のために降魔の像で描かれる角大師の護符
ですが、「長閑さ」の季語で、穏やかな春の昼が眼に浮かびます。元三大師の法力でしょう。

◎のどけしや岬が空へ浮くやうな

 景色ののどかさのみならず、これを眺める作者の気持ちも平静なのでしょう。内海の対岸の岬が、春霞のなか
岬の裾もぼやけて、静かな春の海上に浮かび上がっているように見える。景色のこの大きな把握が良いですね。
作者の駘蕩たる心が映し出されたものでしょう。ゆったりとした春の海を描いた一枚の絵画を見るようです。

≪自由題の部≫
                        
★この畦に母の摘みゐし野蒜かな

 今年もこの畦に野蒜が芽を出した、亡くなる前の母は毎年この野蒜を摘んでいたなあ、という作者の感慨が伝わ
ってきます。母はよく酢味噌で調理してくれたが、今日は味噌を付けて酒の肴にしよう、そんな作者の気持ちを感
じます。畦の野蒜を前に、現在と過去が交錯し、亡き母への思いに至るようです。


◎奴凧胸をそらして睨みをり

 奴が袖を張った形に作られたのが奴凧。凧糸を繰り出されて風をとらえ、空へ登ろうとする瞬間の景でしょう。
奴が、さあ行くぞというように胸を反らし睨みつける。奴凧の奴の目玉は大きく迫力がある。風をとらえて登って
行く凧は力強く、糸を持つ手にも重量感が伝わります。


◎むらさきの雫したたる藤の雨

 藤棚に降る晩春の静かな雨、藤房を伝わった雨が雫となって滴る。その雫が藤の花を伝わることで、紫色に染ま
っているように見えたというわけです。それを「むらさきの雫したたる」ときっぱり表現したことで、連なる棚に
下がる藤の紫色がいっそう強く印象づけられました。


        
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