5月句会投句一覧
兼題の部(新茶)
1香を運ぶ新茶手揉みの匠技2新茶汲む妻との卓袱台四畳半
3香り立つ新茶頂く畳かな4新茶淹れ離れ住む子の話題など
5デパートの新茶の試飲で用を足す6華寿超えて無言の朝の新茶かな
7特攻の遺影に知覧の新茶そへ8新茶汲む静かな雨のひとときを
9饒舌の言葉のみ込む新茶かな10いつとなく老躯うるほふ新茶かな
11地方紙のインタビュー受け新茶飲む12走り茶の朝に生きある一盛り
13品評会新茶嗅ぐ手に歴史あり14七十のとし噛しむる新茶かな
15新茶摘む老婆の背の一生かな16蘊蓄を聞く羽目となり新茶酌む
17空き巣に注意村中が新茶摘む18お茶漬けの茶も新茶なり宇治の茶屋
19ほの甘き香の立つ八女の新茶かな20染付の湯吞みに注ぐ新茶かな
21客迎へ新茶ほのぼの話のはずむ22楽屋裏新茶楽しむ出番まえ
23茶渋つく湯呑みに注ぐ新茶かな24山と盛り溢し新茶の秤売り
25水出しのガラスコップの新茶かな26ごめんねの目に仲直り新茶酌む
27存へて二人朝餉の新茶かな28子の嫁の里は駿河よ新茶着く
29すがしきは新茶の頃の空の色30新茶摘む伝統ありきわが母校
31詠みし句の推敲なりて新茶酌む32きつかけは君の失せ物新茶淹る
33新茶淹れ二人笑顔で別れましょ34杭州の新茶贖ふウェブサイト
35仕舞ひたる湯呑とり出し新茶かな36手土産は鳩サブレなり新茶汲む
37酒かつを初物が好き新茶買ふ38無口なる父と新茶を汲む母と
39得意気に夫の汲みたる新茶かな40母さんの居さうな雲や新茶摘む
41新茶飲む海をめでつつ和三盆42添書に息災の二語新茶汲む
43寛解に一服新茶を注ぎにけり44和菓子添へ先づ仏壇に新茶汲む
45季寄せ手に独り遊べり新茶の香46信楽の壺で届きし新茶かな
47嫁と妻けふはなかよく新茶汲む48大福をほおばる父の新茶哉
49一滴に込める色香や八女新茶50新茶飲む席題とする句会かな
51物産展先づは新茶のおもてなし52新茶入れ会話の弾む二人かな
53長編読了ゆっくりと汲む新茶54そそぐ湯の加減はかりて新茶汲む
55新茶汲むひとりの時間いとほしむ56貴婦人の透ける障子や新茶の香
57京言葉かける催事の新茶買ふ58新茶淹れ平和行進もてなせり
59新茶入れむまずは汲みたる富士湧水60商店街殊に新茶の幟かな
61健診の朗報ありて新茶かな62新茶とて汲めば一同見守れり
63月出でて雨ふりそむる新茶かな64一番茶摘む手に空の碧さかな
65まず眼よりいただく新茶ほどけゆく66新茶いれ抹茶スイーツ食べて居る
67また一つ茶筒の増えて新茶かな  
自由題の部
68今宵宿山桃香る四畳半69本棚の「幸福論」や花は葉に
70何処までも白詰草の大地かな71一車線続く県道麦の秋
72夕立と駝鳥頭の孫が来る73万緑の山押し寄せてたたら踏む
74さくら貝運命線の上に置き75隣家より子等の声止み夏終る
76老農の見据える眼麦の秋77緑立つ風ゆたかなる庭に立つ
78麺つゆの薄まつてくる遠蛙79尻尾から川鵜も鮎を飲み込めず
80押し寄する色ひときはの藤の波81みちならぬ恋の小道具白日傘
82高速道おんおん長き五月闇83競べ馬一騎無双の由々しさよ
84帰宅して飛び出して行く夏帽子85万の苗万の水輪の植田かな
86遊ぶ子の蛇口に列をつくる夏87新樹光受けて史跡の野点傘
88初蝶来ひらひら舞いていづこ消ゆ89空き缶のならぶキャンプ地閑古鳴く
90待ちわびし甘露泉水新茶汲む91木洩れ日に池の花藻の揺れており
92海峡の潮の目に立つ卯浪かな93神鶏の砂浴び続く若葉蔭
94いまからは頑固封印更衣95アルバムに若き妻をり風薫る
96水郷に水の匂ひや花菖蒲97夏めくや光りを掬う銀の匙
98藤棚の下に男の長話99幽玄や水田に映る天の川
100大和碓海保の船へあいの風101仲見世の異国の言葉色団扇
102夏の雲萱で葺きたる水車小屋103マンションの灯り揺らめく植田かな
104鯉のぼりカメラ構へて風を待つ105赤鬼がくぐっていくよ茅の輪かな
106春陰や猫も焼きもちを焼くらし107風光る若き女性の選挙カー
108葉桜の風に腰掛く齢かな109はぐれたる風船ひとつ宴の天
110竹落葉音といふもの和らいで111はつ夏の風こそ渡れ帆をあげよ
112青葉木菟昼なほ暗き奥の院113バス停にヒジャブの人や風若葉
114名山も名もなき山も新樹かな115三階は子供の名入り鯉幟
116草蝉や雨を見ながら雨宿り117薔薇匂ふ丘のチャペルの婚の鐘
118ハンカチの木の花胸のポケットより119少女らに少女のにほひ夏来る
120お茶室の軸は薫風席入りす121サッカーボールひとつ残りて夕薄暑
122吊り橋のここが真ん中青嵐123教会の日曜礼拝薔薇の門
124ゆるゆると水面に夏の雲ひとつ125水音に押されて帰る蛍狩
126街薄暑監獄島の坂登る127炎昼やアンデスミイラカーキ色
128少年の手足すらりと夏来たる129古民家のテラスに薔薇の赤・白・黄
130豌豆の粒のふくらむ雨上がり131二沢のあうてわかれて春の沢
132夏夕陽最後に点となり消えて133万緑や風に乗りくるカレーの香
134夏の雨「ち」の入れ忘れに気付きけり135婚家より届く新茶の甘きこと
136風まかせゆらり船を漕ぐ芥子坊主137花の雨鞄にしまふ旅ガイド
138五月雨や傘持つ母が立っている139新しき手甲八十八夜かな
140レジ袋割き破れて新馬鈴薯(しんじゃがいも)の141蒲の穂や太古に帰る信濃川
142区切りよき令和の断酒五月来る143いつも行く店見当らず夏休み
144万緑や千手を伸ばす観世音145柿若葉やさしき風のこゑを聴く
146指先に潰せし蛾の滑りかな147此れよりの佐渡行く船や卯波風
148山藤や母の遺したアメジスト149さみだれに殺されてゐる三日かな
150おとなへば植田広ごる道に出づ151葱坊主日ごとふくらむ立夏かな
152棚田百準備ととのえ夏つばめ153廃村の青峰を越えて廃村へ
154五月雨や龍の眼睨む天井画155老鶯や夜明けの団地潤せり
156一木の大樹新緑憩いの場157薫風や手話する妻のしたり顔
158ストローに偲ぶふるさと麦の笛159老いの春頂き物の多きこと
160阿蘇五岳涅槃となりし新樹晴161厨より子等呼ぶ声や麦の秋
162お遍路をせねば余生がもつたいない163翡翠の一瞬時間止めにけり
164新緑をひらくボートの舳先かな165夏兆す色とりどりのガラス瓶
166竹皮を脱ぐ放置田のさるるまま167里帰り土産に母は新茶淹れ
168梧桐や野風となつてゆく電車169車窓から光る立山水張田
170青蛙真つ只中の反抗期171三方は家並となりし植田かな
172寝仏の顔は根子岳阿蘇は夏173陰日向境目にある薄暑かな
174嫌はれて嫌はれてなほ藪枯175旋回す今年初めの巣立鳥
176ふるさとの風の草笛聞えくる177犬の背にたんぽぽの絮ほころべり
178浜風を好きになつたる潮干狩179新緑を少年鼓笛隊のゆく
180雹降るる野辺の小道を狭めつつ181甲斐もなく百足虫を逃がし疎まれり
182若草を空へゴルファー風を読む183ハーレーの咆哮きこゆ五月の夜
184夏日向煙草畑のもえぎ色185ぼうたんの仰角三十度の笑み
186空高き風に乗る香や花樗187衣替へて二の腕風をとらへけり
188薫風や犬には犬の矜持かな189若葉風手にする図書館廃棄本
190なりゆきにまかせる余生蓮の花191川沿ひの門前町よ風五月
192恋文を胸ポケットの虹の道193分校やピアノの上の麦ほこり
194ほうたるやワイングラスの香り立つ195怪なるは芋虫毛虫蝶幼虫
196万緑や近つ飛鳥の古墳群197銘柄の増えた焼酎村興し
198卯の花や土にこぼれてなほ白し199春雲をつなげるごとく飛行雲
200巣から落ち小雀騒ぐ初夏の庭201そこにいる君に届かぬ若葉風
202二人とも眼科に行つて夏の雨203花水木たゆたふ緩き風の中
〔選句方法〕

下の〔草ネット投句〕ボタンから送信するようにお願い致します。
「選句」を選び、兼題より1句、自由題より2句の計3句を選択し、
都道府県名・氏名(俳号可)を明記の上、「送信する」ボタンを
押してください。

選句〆切:6月27日(木)、発表は6月30日(日)に行います。

なお、一部の漢字はネット上では正しく表記されず、
「?」で示されますので、読みを入れてあります。
        
4月句会結果発表
兼題の部(花馬酔木)
作 品 互選 選者選 都道府県 作者
35花馬酔木雨に濡れたる煉瓦道4三重県正耕
50花馬酔木置き忘れたる庭帚4福岡県みつぐ
58雨音を包む山寺花馬酔木4千葉県大信
25石庭の砂紋の渦や花馬酔木3神奈川県ドラゴン
46昃れば水面に影の花馬酔木3三重県八郷
39花馬酔木寺に秘蔵の幽霊図3神奈川県風神
32またの名は首切り峠馬酔木咲く2奈良県陶生
26紅さしてはにかむ少女花馬酔木2東京都一八
9移動図書館待つ間に触れて花あしび2大阪府藤岡初尾
19花あしび茶房の朝にモカ香り2埼玉県祥風
22花馬酔木人去りてなほ揺れ残る2神奈川県ひろし
48街道の馬頭観音花あしび2千葉県みさえ
49湯の宿の軋む枝折戸花馬酔木2熊本県蕗の薹
64分家へは土の小径や花馬酔木2茨城県荻田廿日
1花馬酔木村の地蔵の赤頭巾1栃木県垣内孝雄
5花馬酔木振れば鳴るかも音たてて1滋賀県正男
8花壺の馬酔木地蔵に低くたれ1千葉県あけび庵
11無住寺に今を盛りと咲く馬酔木1京都府せいち
13無邪気げに毒抱きおり花馬酔木1新潟県はるひ
15花馬酔木手狭な吾の骨董屋1三重県倉矢 幸
16耳にジヤズ目に鈴の音花馬酔木1兵庫県柴原明人
20花馬酔木通り抜けたる舞子はん1兵庫県朝顔
21御仏の在わすこの路花馬酔木1大阪府レイコ
27妻の手に小鈴鳴り出す花馬酔木1東京都
34登り来て見上ぐる先の花馬酔木1千葉県須藤カズコ
37花馬酔木猿の親子の毛づくろい1埼玉県さくら子
40叶ふ夢叶はぬゆめも花馬酔木1香川県嶋村紀彦
44花馬酔木母囲まれて子に還る1北海道三泊みなと
47長屋門入れば馬酔木の真珠光1静岡県さくら
52修験者が手甲のほつれ花馬酔木1神奈川県志保川有
53花馬酔木通行止めの塩の道1静岡県こいちゃん
55はじらいの君の仕草に花馬酔木1東京都一寛
60心眼の澄める八十路の花馬酔木1滋賀県正男
61今朝雨の道に散り敷く花馬酔木1滋賀県和久
63月のない荒城香る花馬酔木1神奈川県浅井誠章
65花馬酔木轍は馬の足跡か1愛知県いきか
自由題の部
作 品 互選 選者選 都道府県 作者
70さくら散る一の鳥居は湖の中6滋賀県正男
91漕艇の櫂休めをり飛花落花6神奈川県ドラゴン
105車座に異国語混じる花見かな5神奈川県風神
115春駒の長き睫毛や牧明くる4熊本県蕗の薹
180ぶらんこ漕ぐ彼の日へ時を押し戻し3千葉県みさえ
196うららかや水田に映るラジコン機3茨城県荻田廿日
83二人静終の住処の庭を掃く3京都府喜柊
130葉桜や向ひ合はせの白き椅子3茨城県荻田廿日
147青空を一筆書きに蝶踊る3兵庫県柴原明人
167一村の空に溢るる柿若葉3三重県正耕
181交番の出払ってゐる春の昼3熊本県蕗の薹
109花の名をおそはりながら春さんぽ2神奈川県毬栗
77参道は砂利こそ良けれ伊勢詣2愛知県丸吉
93ほらこれがひめじよおんよときみのゆび2東京都
72年輪を刻みて大樹芽吹きけり2奈良県文義
84懐に鳥の巣抱く大樹かな2埼玉県祥風
102蔦若葉香りただようカフエテラス2岐阜県小太郎
113星雲の億の瞬き犬ふぐり2静岡県さくら
116拾はれて眠り続ける子猫かな2福岡県みつぐ
122野良猫のおねだり上手暮の春2愛媛県牛太郎
134長閑けしや山際淡く暮れなずむ2千葉県えだまめ
135筆箱の尖る鉛筆入学す2愛知県コタロー
146春愁やふらっと入る喫茶店2三重県倉矢 幸
149同窓の集ひし都忘れかな2京都府喜柊
157裕次郎のペンキ看板昭和の日2神奈川県ドラゴン
159たましひを乗せていずこや花筏2東京都
165水陽炎生きるサインの心電図2千葉県光雲2
166蝶は羽を静かに開く森の中2千葉県須藤カズコ
178市民税係の窓のヒヤシンス2三重県八郷
179野遊びの帽子にリボン蝶結び2静岡県さくら
66遠足やしつかり結ぶ靴の紐1栃木県垣内孝雄
67初雲雀瀬音高まる日なりけり1埼玉県アポロン
71子巣立つ日最後に飾る雛人形1滋賀県片岡ひまり
75陽炎の中来る人も行く人も1東京都小石日和
80きざはしの隙間すきまに草青む1三重県倉矢 幸
82車座や田の神と酌む花の酒1福岡県伸治
88葬送の出発ホーン花の冷え1神奈川県ひろし
89逃水や豚の犇めく牽引車1沖縄県繭子
94反古捩るわが手わびしき啄木忌1岐阜県近藤周三
95春愁や吾が耳遠くなりにけり1静岡県かいこ
97一献二献当ては菜の花辛子和1兵庫県魚楽子
100空透けて見ゆ白樫の春落葉1千葉県須藤カズコ
104北国の花には重き今朝の雪1埼玉県グレイス
106女より男がさけぶ蛙かな1香川県嶋村紀彦
114芽起こしの雨や木魂の深眠り1千葉県みさえ
117一の鳥居三の鳥居へ若葉風1福岡県蛍川
120尼寺にゆきとどきたる藤の花1神奈川県横坂 泰
141指つなぎ信号を待つ春日かな1東京都小石日和
142イースター踏まれし草の立ち上がる1京都府せいち
144花冷えの後追いの手の冷たさや1新潟県はるひ
145日を浴びて目覚めるごとき花水木1愛知県さと
153もやもやと暮れてゆくなり夕櫻1大阪府レイコ
156泰山の岩の窪みの山すみれ1埼玉県郁文
161春囲炉裏語り部語る悲恋秘話1静岡県かいこ
164石鹸玉独りで吹いて失意の子1奈良県陶生
171あの人にどの色摘まんチューリップ1神奈川県風神
172たはむれの子等の帽子に木の芽風1香川県嶋村紀彦
173雪柳見て在りし日の姉想う1千葉県相良華
174残桜や平成の御世惜しむかに1岐阜県色即是句
177点滴のベットの広さ夏近し1大阪府椋本望生
183五重の塔を流れてゆくや花吹雪1福岡県蛍川
186この川の主客となるや桜東風1神奈川県横坂 泰
187沢山の人生を見た老い桜1東京都一寛
188囀りや疲れ知らずの園児どち1愛媛県牛太郎
189止まり見て振り返り見て山桜1北海道千賀子
190暗号に結ばれている薬の日1千葉県大信
192子雀のこぼせし愚痴を聴いてやる1滋賀県正男
194地球儀の赤道なぞる春日向1長野県油井勝彦
選評 選者:草の花俳句会 副主宰 鈴木五鈴(すずきごれい)

《兼題の部:花馬酔木》

★花馬酔木雨に濡れたる煉瓦道

煉瓦道とは煉瓦の敷き詰められた道路のことでしょうか。いわゆる舗道ではあるのでしょうが、懐かしい感じが
してきます。その舗道脇には馬酔木が植栽されているのでしょう。雨上がりの景と思われますが、とても素敵な
町並みを思います。散策も楽しくなることでしょう。

◎石庭の砂紋の渦や花馬酔木

大小の石が配置され、海や湖などの景をダイナミックに、或いはシンプルにイメージさせる石庭。石の間には
白砂などにより流れや渦などが描かれています。そして石の脇や庭隅などには馬酔木の花が…。すっきりとした
句に仕上がっています。

◎またの名は首切り峠馬酔木咲く

もとの名は不明ですが「首切り峠」とは随分おどろおどろした名が付けられたものです。当然、その名に由来する
伝承があるのでしょう。そこにはどう言うわけか、馬酔木が印象的に咲いているようです。あたかも供花のように…。

《自由題の部》

★花の名をおそはりながら春さんぽ

「春さんぽ」という言い方は、普通は評価しづらいのですが、ここではとても味わいのある言葉になっています。
どなたか花に詳しい人とゆったりと野山に散歩に出かけられたのでしょう。のどかで気分の良い「春さんぽ」で
あったことと思われます。漢字は「花」と「名」と「春」だけ。これも成功の遠因のように思われます。

◎さくら散る一の鳥居は湖の中

良く湖を遊覧船などで渡っていると、湖中に鳥居を見かけることがあります。もちろんかなり岸に近いのですが、
その岸の先には社殿が見えます。湖の神を祀っているのでしょう。この句は、そのような景観を想定すれば良いの
かな、と考えました。社殿の周囲には桜が植えられているのでしょうか。今はちょうどその「さくら散る」、
そんな景。静かな景を思います。

◎参道は砂利こそ良けれ伊勢詣

伊勢神宮の参拝で印象に残るものの一つに砂利を踏みしめての長い参道があります。なかなか歩きづらいものですが、
作者は、その砂利こそが良いのだ、と強調します。係り結び「こそ」を活用して、伊勢詣のありがたさを参道の砂利
で語って見せました。巧いものです。

添削(ランクアップのために)

ちょっとした表現上の工夫で、俳句はがらっと変わります。特に今月の句はとても中身が良く、直せば、即、選の
対象になるものばかりでした。惜しいとしか言いようがありません。

・たはむれの子等の帽子に木の芽風 → 子等の帽子にたはむるる木の芽風

元の句では、「たはむれの」の対象は何なのか、本当に「たはむれの」の措辞で正しいのか、が気になります。
とにかく曖昧なのです。取り敢えず、はっきりさせてみました。ご検討ください。

・風立ちてここよとゆるる山の藤 → 風立てばここよとゆるる山の藤

風に揺れる山藤を作者は印象深く眺められたのでしょう。そこで「風立ちて」と詠まれました。しかしここは、風が
立ったという事実を少し強調し、「風立てば」と詠まれれば、より山藤の揺れが見えるのではないでしょうか。
ご検討ください。「ここよとゆるる」は、やや擬人的ではありますが…。

・厩開きドローンで探す放れ駒 → 厩出しドローンで探す離れ駒

元の句が悪いわけではありません。おそらく「厩開き」は「厩出し」と同意で用いられたのだろうとは想像しますが、
やはり伝統的な季語をしっかりと用いて欲しいと思います。季語は文芸上の歴史を背負っているという点にもご留意
いただきたいものです。「放れ」も「離れ」の方が適切ではないかと思います。

        
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