2月句会投句一覧
兼題の部(寒明)
1朝まだき鳥のひと鳴き寒明くる2寒明やフランスパンにジャムのせて
3寒明けの馬の横顔撫で回す4下漬けの樽洗い伏せ寒明ける
5寒明の消息として里便り6胸の痞へ取れたる思ひ寒明くる
7樽一斗食い尽くた今日寒明ぬ8家々の屋根カラフルに寒明ける
9亀甲を晒す亀をり寒の明け10貝殻の螺旋まどかに寒明くる
11寒明の空洗はれて目に痛し12丸い皿四角に洗い寒明くる
13セコイアの枝の日差しに寒明ける14借景の岐阜城に日矢寒明くる
15濡れ色の杉玉光る寒明くる16神鏡のくもり拭はれ寒明くる
17寒明けて祝杯あげる齢(よわい)かな18寒明けや繋ぐ手ぬくしリハの賑
19喜びを分かち合う人寒明けや20寒明や服をだしたりしまったり
21寒明けや関節全て動かして22俎板の小気味良き音寒明ける
23寒明やまぶたを閉じて深呼吸24寒明や今日は良い日となる予感
25寒明けや今日より違ふ散歩道26せせらぎの音軽やかや寒明くる
27寒明けの街の賑わひ我楽多市28寒明や北の玻璃戸を拭きあげて
29寒明やこころ震へる鐘の音30春立つや色の溢るる花屋かな
31カフェラテのハートの歪み寒の明け32寒明やSNSに初返事
33パタパタとインコの走り寒明ける34寒明や槌音ひびく路地の奥
35目覚ましの鳴らぬ日の朝寒の明36鎌倉や切通し抜け寒明くる
37寒明の玻璃戸の光やはらかく38寒明の飛沫光らせ着水す
39寒明や雀百羽の飛び発てり40寒明や喜寿の旅路計りをり
41関節の軋み弛びて寒の明42寒明けて金銀銅の音がなる
43寒明けや転勤内示ありしより44寒明けや湖上のテント釣り終わる
45シルバーの夢はみちくさ寒明くる46朝練の掛け声柔し寒の明け
47寒明やマリアの頬にひかり差す48墨の香や走り出す筆寒開くる
49寒明や手水の尖りほどけたる50寒明や二冊持ち込むブックオフ
51碁会所に数多の笑顔寒明くる52寒明けや田んぼは未だ眠りおり
53集中治療室の開く寒明よ54しくしくと宿痾の腰や寒明ける
55寒月や胆石一つ腹の中56寒明けの厳しき気配受験生
57寒明を知らすかに馬嘶けり58寒明や二番ホームの遅延また
59寒明や修繕工事の幕開ける60豆腐屋のいつもの朝寒明ける
61ひと纏め日捲りめくり寒の明け62寒明けぬ一輪挿しに花一輪
63寒の明け門出の先の出会ひかな64寒明けや人も草木も目を覚まし
65次次と園に友達寒明くる66うぐひすとおぼしき鳥や寒明くる
67寒明くる付箋の色を空色に68寒明けや湯治荷物の良き軽さ
69寒明の川の流れのくねりかな70寒明や酒蔵巡りの招待状
71園庭に明るき声や寒明くる72おいごゑの講釈長し寒の明け
73寒明くる独り暮らしの一人旅74寒明けて朝の紅茶の湯気優し
75寒明のみづや石畳の窪み76薄紅のマニキュア光り寒明ける
77寒明けの日差しに結ぶ御籤かな78寒明けやご無沙汰分の長電話
79寒明や森林の木に泥が付き  
自由題の部
80朝霜や荒れ庭覆ひ静寂満つ81春泥に囚われてゆくスニーカー
82単身の任地は宰府梅開く83薬てふ指の妖しや毛糸編む
84焼山の色を沈めて御嶽山85きざはしに躓く詣冴返る
86凍てる路滑り転びて投票へ87砂山の黒松林安吾の忌
88水鳥の水を羽搏く水の音89たんぽぽや仔羊の目に水平線
90仲代の逝きし日からや虎落笛91炊き上がる白米ニ合や風光る
92走り根の続く山道春浅し93古民家に本籍移し朝寝癖
94きさらぎの陽ざしに透ける猫の耳95雪の窓小学唱歌みな文語
96くるりんと子犬の尻尾春立てり97雪上を地球の自転より早く
98りくりゅうの歓喜の涙風光る99梅の花二輪三輪詰めあって
100節分や心の鬼は胸の内101磨かれし仏具の奥の涅槃絵図
102粕汁は夫の好物また今日も103稲取の街みな雛の色に染め
104木の芽吹くうぶすなの山清々し105春の昼金平糖の溶け初むる
106所在無く小銭数ふや草餅屋107蕗の董たしか去年もこの辺り
108月光の白き御堂や猫の恋109ポスターのリップはピンク春立てり
110紅梅へ脚んから躍り込む夕日111海苔弁当いつもの駅のありがとう
112さくら耳恋を忘れて窓の辺に113飼ひ猫の出払ひてをり春立ちぬ
114お天気に誘われし買ふ春の服115春浅し暖簾くぐれば味噌仕立て
116神無月神を呼ばむと鈴緒手に117早春の風となりたる群雀
118不要なるたつた一言冴返る119須磨寺の花供曽甘き涅槃の日
120浅き春少し固めの茶屋の蕎麦121輝いて1月3日雪の華
122枯れ路地や水の地図描く春時雨123朝摘みの木の芽和え盛る備前焼
124狛犬の吠え出でむとす猫の恋125孤高なる我の心に冬田打つ
126鳥の影大きく開ける春障子127永き日や卓に終活情報誌
128春テニス老いて動きを競ひ合ふ129やはらかく春のにがあじ蕗のたう
130流氷の唸り波打つウトロ崎131東雲の空に残りぬ朧月
132風邪の子の尻にちっきん撫でる医師133早々と五色に決めて雛あられ
134町歩き延べて並木は初桜135天蓋は春の星空露天風呂
136田を畑をけぶらし終はる野焼かな137口重き少年の笑みクロッカス
138授乳終え吾子の睫毛に差す春暁139紅白の梅咲き揃ふ神の庭
140水際より春雪消ゆる鴨の池141雪解けや捨てた鉢花色づきぬ
142入院に寒き背中よ梅の花143福豆を撒く人の笑み拾う笑み
144うるはしき二上山望む春の宮145薄氷の動けば動くボールかな
146淡雪のほどろほどろや土の赤147三才と告げる墓前のお中日
148少子化を嘆く役所や桜草149郡山城址秀長という盆の梅
150春光や相模の海へ続く道151福は内唱へ唱へて役は鬼
152汽笛聴くミモザ溢るる異人館153雛よりも前髪気にする孫中2
154うすらひのうへへ羽毛といふ平和155春めくや昭和歌謡の生ライブ
156女雛折るベトナムの娘(こ)の長き髪157廃屋の板塀越しに笑む桜
158枝伐られ春薔薇昔の思ひ出に159冬の雷騒ぐ湖面を渡り来る
160薄氷を割りて水替え妻の墓161寒風やふわりと鳶の無重力
162ラボットに一目胸キュン冬帽子163野良猫の影ひきずりて寒の月
164撒き餌に口あけて鯉水温む165厳寒地生焼け肉を食む旨し
166春来る日の出の光差す厨167心理士の柔和な顔や春隣
168天色の玻璃の文鎮良寛忌169初蝶の影降り立てり泥のうへ
170オルゴール鳴らずそのまま春の雨171遊覧のバスが吐き出す春帽子
172聴く者なき街頭歌手や雪降り来173立春大吉ベランダに二羽の鳥
174やはらかく盛りあげていく春の土175西行忌未踏の駅に降りてみる
176朝霜やああ歩けたなあの頃は177二人ゆえ歓喜の金や二月尽
178立春や翳りやさしきヴィーナス像179雪解待つ底の見えたるダム湖かな
180菜花漬け四十過ぎから好物に181寒肥や小さき芽を出す植木鉢
182ぶらんこや代はる代はるに風うけて183春風に耳ピクピクとうさぎの子
184ふらここ漕ぐ幼き日々の揺れ揺れて185木の芽道尽きて郷土民藝資料館
186圧勝の猫も杓子も春寒し187軽トラの家財一式初音かな
188春立つや子の夢乗せて縄電車189名残り雪そうして人も消へてゆく
190旅立ちし娘の箪笥雛飾191淡雪の静かに積んで雪の嵩
192春浅し庭にもぐらの覗き穴193窓際の苗床の芽や顔を出す
194梅祭葷酒燻らす屋台かな195節分や鬼も呼び込む独りの夜
196水色のシューズの駆けて春立ちぬ197長崎の美しき孤島や絵踏みの世
198踏み入れば青き闇かな山椿199大鯉の浮かび来る背や水温む
200蠟梅や夕陽に透けてなお香る201春暁や霜無き落ち葉風のまま
202雪雫襟首濡らす軒の下203ゆくりなく手を添ふ妊婦春の風
204卒業の証書丸めて観る社会205薄氷や失恋の傷そのままに
206木々の芽の昨夜の雨のほぐれかな207ほろ苦き思ひ出バレンタインの日
208咲き誇り湯宿の庭の桜かな209彼岸西ちぎれし雲の間のひかり
210春泥や汲み上げられぬレアアース211春の蠅八十路の肩に降りにけり
212知らぬ間に蕨を探す目のありて213窓明かり路地に夕餉の匂いあり
214AIに頼る試験や春寒し215教会に残る寒さやミサの朝
216九十歳のリハビリけふもヒヤシンス217いかなご煮送ったからと母の声
218悴みし指で数へる五七五219オリンピック昼うとうとと春炬燵
220丹頂の番う雪原広すぎて221忙しなき鳥や河津の桜吸ふ
222梅祭り目耳口鼻満ち足りて223春立ちぬ五畿7道にあまねく日
224春月やキラリキラリと煉瓦径225薄氷やお菊の皿はどれも丸
226春疾風野辺の送りの裾乱し227合格す大時計のある学校
228児等はしゃぐ大山の雪の滑り台229つややかに朝の雨受け牡丹の芽
230須臾の間の読書春雪かくも積む231春夕焼け明日は遠くへいく人と
232肩組みて懐かしの校歌風光る233苔の間の地蔵を濯ぐ春の雨
234春深しハートアートの喫茶店235梅東風のニューヨークへ嫁(ゆ)く四十路かな
236サイレンの音澄み渡る白銀夜237あたたかし腹減り易く二食食べ
〔選句方法〕

下の〔草ネット投句〕ボタンから送信するようにお願い致します。
「選句」を選び、兼題より2句、自由題より4句の計6句を選択し、
都道府県名・氏名(俳号可)を明記の上、「送信する」ボタンを
押してください。

選句〆切:3月22日(日)、発表は3月25日(水)に行います。

なお、一部の漢字はネット上では正しく表記されず、
「?」で示されますので、読みを入れてあります。
        
1月句会結果発表
兼題の部(寒月)
作 品 互選 選者選 都道府県 作者
28寒月や碑のみの古戦場12大阪府藤井あつこ
27寒月やまなこの光る鬼瓦11東京都水谷博吉
5古九谷の金継ぎ細し寒の月10石川県翡翠工房
58寒月や隣が遠い回覧板7北海道篤 道
65寒月や深き眠りの弥勒仏7奈良県魚楽子
17詫び状をポストに落とす寒月下6静岡県えいちゃん
41寒月や意志あるごとく石一つ5愛知県牧 子
25寒月や一人占めする歩道橋5東京都小石日和
26茶屋街の格子を照らす寒の月4神奈川県ひろし
36賀茂鶴の煉瓦煙突寒の月4神奈川県ドラゴン
7寒月や産土を去り半世紀4大阪府順 紀
19寒月やひとかたまりの黒き森4千葉県こごめ草
21寒月や剥き出しとなる仕掛け罠4大分県牧野桂一
74寒月の晒す病棟非常口4神奈川県りゅう
34煌煌と空に寒月貼り付けり3滋賀県幸 亀
35寒月やウクライナガザベネズエラ3茨城県申 女
39寒月やもの言ひたげな欅こぶ3神奈川県横坂 泰
54チャルメラの音が似あいし寒の月3静岡県かいこ
64東雲の切っ先しるき寒の月3千葉県須藤カズ子
12寒月下ピアノ置かるる闇の部屋2静岡県指田悠志
20寒月や白川郷の薄明かり2愛知県コタロー
23寒月や気泡ののこる窓硝子2兵庫県毬 藻
29陸奥の寒月白く時を止め2埼玉県夜 舟
38父祖の村沈むダム湖に寒の月2大分県輝 久
42我を呼ぶ母の鈴の音寒の月2岡山県原 洋一
51山道の走り根照らす寒の月2神奈川県阿部文彦
52寒月や無住家屋の増へし村2愛知県み う
57寒月や水盃を割って発つ2兵庫県紀州鰹節
60山小屋にほのかな灯り寒の月2神奈川県梗 舟
61ただ祈るほかなきことよ寒の月2愛媛県牛太郎
76寒月や木立の中に星一つ2茨城県西川富美子
81寒月や孤高の路上生活者2鹿児島県青 猫
82耳遠き客見送りて寒満月2大阪府日野かぐや
83寒月の鶴眠る川蛇行かな2北海道小 幸
1寒月やあまねく空地空家にも1千葉県えだまめ
8寒月や水銀灯が針を刺す1大阪府森 佳月
11寒月や夜の工場めくサキソフォン1神奈川県遠野アルヒ
13寒月や理由なく起こる胸さわぎ1滋賀県百合乃
15寒月の照りのしづけき龍安寺1岐阜県近藤周三
16寒月が南中銀座四丁目1新潟県しーしー
22寒月や納骨終えし墓石にも1埼玉県桜 子
24寒月にまみれ肩組む道祖神1京都府せいち
33寒月にキタキツネ跳び跳ねるかな1兵庫県藤島三郎
37寒月や職辞する日も近かからん1愛媛県海 猫
43突き刺さる彼のひと言寒の月1三重県déraciné
44寒月や朱塗りの橋のくつきりと1埼玉県イレーネ
45寒月や京の町家の仄明り1神奈川県風神ひろし
53寒月の石磴駆くる僧衣かな1神奈川県藤澤迪夫(みちを)
56寒月や攫はれさうになる「ゆ」の字1大阪府椋本望生
63寒月に原爆ドーム照らされて1千葉県美 保
69寒月光入江の波は満満と1大阪府奥村かよん
72寒月やLEDの白々と1神奈川県とん子
自由題の部
作 品 互選 選者選 都道府県 作者
110一畝の土寄せ終えて根深汁12東京都水谷博吉
170組紐のかたき結び目寒椿11石川県翡翠工房
207見舞ふたび遠くなる母星冴ゆる10岡山県原 洋一
134千年を孕み大樹の初御空9愛知県み う
130寒紅をさし越前の和紙を漉く9千葉県光雲2
192赴任地の小さき駅舎寒椿8東京都水谷博吉
216七草のそろはぬ粥を老二人8愛知県み う
225平穏とひと言記す初日記8愛媛県牛太郎
185身体の閂外し日向ぼこ7愛知県コタロー
124買初のこの靴余生しかと踏む7愛知県牧 子
132駄菓子屋の路地に喚声あばれ独楽7神奈川県みぃすてぃ
164冴ゆる夜やページ余白に妣の歌6大阪府日野かぐや
106鳴かぬ鳴き砂大寒の足の裏6兵庫県毬 藻
194双六の上りの先の深き闇6埼玉県夜 舟
188花街の朝の静けさ寒雀5兵庫県毬 藻
102彼の持つ本を予約す春隣5千葉県こごめ草
129蕗味噌や橋の袂の縄のれん5栃木県垣内孝雄
157相州の連山染むる寒夕焼5神奈川県秋山由美子
213雛菊や騎手を目指すと言う少女5兵庫県ケイト
234息吸つて吐くごと餅の焼けにけり5東京都浩 平
224客ひとり終着駅の虎落笛4神奈川県梗 舟
107バスを降りニ尺雪積む山道へ4京都府せいち
111散歩して授かる一句春近し4大阪府藤井あつこ
123妻なれど言葉あらたむ初明り4神奈川県毬 栗
190八十路にてボーイフレンド梅の花4東京都小石日和
214寒紅や迷ふこころのままに引き4神奈川県みぃすてぃ
217左義長の祈り紅蓮のほむらかな4神奈川県藤澤迪夫(みちを)
241雪合戦ひたすら投ぐることが好き4静岡県渡邉春生
93目覚めれば霜一面の田んぼかな3宮崎県黒木寛史
112春近し歯医者ごときにビビるなよ3埼玉県夜 舟
119ハンバーガーショップ混合ふ三日かな3神奈川県ドラゴン
122湯豆腐の二人に戻る普段かな3神奈川県横坂 泰
142掌につかの間の花牡丹雪3神奈川県梗 舟
148夢射んと挑む初射の二十歳かな3滋賀県鶴亀鈍
177元旦のこきつと音のする背中3静岡県指田悠志
197着ぶくれて靴の定位置遠くなる3神奈川県ゆりみ
229水脈曳いて鴨の一群飛び立ちぬ3奈良県魚楽子
233福島の能登の神戸の去年今年3大阪府奥村かよん
239玉砂利を踏みて拝殿淑気かな3神奈川県秋山由美子
85冴ゆる夜や「大丈夫」しか言わぬ吾子2兵庫県丸井ねこ
90温泉の長い廊下の湯ざめかな2大阪府順 紀
95珈琲のほどよき淑気夜が明くる2静岡県指田悠志
101教会に光り射し込む寒落暉2静岡県彗 星
103色鳥の色を零する水面かな2愛知県コタロー
118初春や弁天様に銭洗ふ2茨城県申 女
120七日粥すする一人の音寒く2愛媛県海 猫
127字の読めぬ童と遊ぶ歌留多の夜2埼玉県イレーネ
128花びらの紅を零すや雪の庭2神奈川県風神ひろし
137人妻となりたる妹と年の酒2広島県山野啓子
139八潮なほ陥没のまま鐘冴ゆる2兵庫県紀州鰹節
143玉砂利の響く参道初詣2愛媛県牛太郎
145寒風に白髪忘れて球を追う2千葉県美 保
149粋すぢも華添へ鏡開きかな2岐阜県俳ネン
151初春や指揮棒振れば新世界2大阪府奥村かよん
162住まぬ家の庭賑わせる紅白梅2静岡県なな子
181雪しまき尾灯の続く出勤路2新潟県しーしー
208寒紅や玉虫色の恋心2三重県déraciné
220ひととせの一日の早さ去年今年2大阪府椋本望生
235煮凝りの茶色の沼に箸を入れ2愛知県いきか
243水仙の何か言いたげおちょぼ口2神奈川県佐藤けい
87人日や剃刀を研ぎ髭を剃り1神奈川県たかほ
88何もかも言えず鯛焼きおちょぼ口1石川県翡翠工房
89新春や山も川面も清々し1京都府花 子
94葉は銀の葉脈残し冬深む1神奈川県遠野アルヒ
96淑気満つオーガニックの珈琲かな1滋賀県百合乃
104綾取りの指の先より川流れ1大分県牧野桂一
105その一言悴む心ゆるみゆく1埼玉県桜 子
113不在票溜まるポストと冬の薔薇1秋田県不知飛鳥
115いい湯だな指1本で雪化粧1神奈川県ゆりみ
117大枯野地に新しき騒きあり1滋賀県幸 亀
125支へ合ふ余生の活計納豆汁1岡山県原 洋一
138描き起こす語り部まんが阪神忌1大阪府椋本望生
144路地角に四時開店の焼き鳥屋1神奈川県ひろ志
147積読を己に許し春を待つ1奈良県魚楽子
150凩にキャラメルの紙立ちあがる1大分県晴田そわか
154凍蝶のトボトボ歩く鉢の縁1神奈川県とん子
155楓花舞う君の後れ毛花飾り1兵庫県三木信雄
156落暉へと消えゆく橇や明日は晴1神奈川県りゅう
158初場所や蒼き瞳が場所沸かす1茨城県西川富美子
161日脚伸ぶスーパー帰りの立ち話1神奈川県佐藤けい
163白梅や咲き始め知る夜の城1鹿児島県青 猫
165朝焼けへ鶴はねぐらをの飛び立ちぬ1北海道小 幸
167引退のエースの笑顔冬の薔薇1兵庫県丸井ねこ
168初春や朝日輝く箱根走1北海道北美膝痛
171用足しに起きる夜半の寒さかな1京都府花 子
172一賀状墨痕鮮やか午一字1大阪府順 紀
175百姓の誇りはなんぞ宝船1宮崎県黒木寛史
176初夢や一度住みたし銀座裏1神奈川県遠野アルヒ
178冬日和カタカタ絵馬のアレグレット1滋賀県百合乃
183手触りのけもののごとき毛布かな1静岡県彗 星
186金柑を煮詰め年金受給の日1大分県牧野桂一
187しつけ糸抜きし春着や二十歳1埼玉県桜 子
189生玉子生麦生米寒玉子1京都府せいち
193姉川の果や伊吹山の雪化粧1大阪府藤井あつこ
195飛行機の窓薄く開け初日の出1秋田県不知飛鳥
196満天の星と語らふ大寒や1千葉県山 月
204日向ぼこ年金たんとあるがごと1神奈川県横坂 泰
205洟垂れのあいさつ光る蕗の薹1神奈川県毬 栗
206張りつめし青空ゆるぶ梅の花1愛知県牧 子
209冬ぬくし背伸びを二回あくび二度1埼玉県イレーネ
212水仙や花首傾げ香を零す1千葉県光雲2
221入院の背中(せな)を追ひけり春の雹1兵庫県紀州鰹節
226黒々と畑を返して春を待つ1神奈川県ひろ志
228神宮の杜忘れられたる落ち葉籠1千葉県須藤カズ子
231見るほどに老いて父似の初鏡1岐阜県俳ネン
236女正月友の一人は仕切り屋さん1神奈川県とん子
238耳奥に沈沈と降る夜の雪1神奈川県りゅう
240元旦の余韻残して父は逝く1茨城県西川富美子
246多捨の果て一句成したり冬椿1大阪府日野かぐや
一月句会 選評 選者:草の花俳句会 同人会 服部 満

≪兼題の部:寒月≫

★寒月やまなこの光る鬼瓦

 屋根にしつらえた鬼瓦の鬼の顔、その鬼の眼が月光に光っている。新しい鬼瓦かも知れない。寒月は、空気が
透徹しているので、研ぎ澄ましたような輝きとすさまじさがあります。「まなこの光る」で、鬼瓦の鬼をまるで
生き物のように把握したところが印象的です。「寒月」ならではの肌を刺す緊張感を感じます。

◎詫び状をポストに落とす寒月下

 詫びねばならぬどんな事情があるのかは分からない。謝罪とともにいささかの後悔もあるかも知れません。身
を切るような冷え冷えとした月光の下、詫び状を投函する作者の心中が「寒月下」の言葉の裏にうかがえます。
「ポストに落とす」という表現も、この心理を巧みに表わしています。

◎寒月や碑のみの古戦場

 戦国時代の合戦場でしょうか。誰もが知る史跡ではなく、今では開けて近くまで住居が迫っているのかも知れ
ません。冷厳で氷ついたような寒月の下、石碑だけが寂しくぽつんと立っています。その昔、戦に倒れた兵士た
ちを悼むかのようです。皓皓と輝く冬の月が美しく冴え冴えとした大気を感じさせる景です。

≪自由題の部≫ 
                       
★見舞ふたび遠くなる母星冴ゆる

 「遠くなる母」が胸に沁みます。病院か施設を見舞う作者。徐々に病状が悪化しているのか、あるいは認知機
能が衰えてきているのか。母と親しく意思を通わせにくくなっているのでしょう。刺すような冬の夜空に星がき
らめく。「星冴ゆる」が震えるような作者の気持ちを見事に表しています。

◎身体の閂外し日向ぼこ

 日当たりの良い縁側やベランダ、公園のベンチなどの景でしょう。腰や膝、肩など持病や老化で日頃気遣い、
注意している部位も忘れてすっかりくつろいでいるのかも知れません。「身体の閂」の表現も面白いですが、閂
を外していちばんリラックスさせているのは案外、体ではなく作者の心かも知れません。

◎赴任地の小さき駅舎寒椿

 新しい赴任の地のホームに降り立ったら、そこは小さな駅舎だった。ここから町の規模とか地域の環境も推し
測れる。勤め人にはよくある経験です。「寒椿」は、寒中にも咲く早咲きのもの、鮮やかな紅か純白か、寒気の
漂う駅舎の一隅に切り花として据えられています。くっきりとした景が浮かぶ映像のような句です。

        
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