8月句会投句一覧
兼題の部(蜻蛉)
1赤蜻蛉閑かにしずかに余生なほ2夕まぐれ郷愁誘ふ赤蜻蛉
3外にも出よ子供らを待つ赤蜻蛉4牧の空蜻蛉の国となりにけり
5蜻蛉や故郷遠き阿蘇の空6蜻蛉や池に流るる水の音
7蜻蛉やユンボ静かに頭垂れ8廃村のとんぼ風吹くたびに増ゆ
9タッチアンドゴー蜻蛉は池にご執心10とんぼ追ひ友の幼児化進みけり
11蜻蛉採り父の追憶掬いけり12十字架に八丁蜻蛉育つ池
13蜻蛉や水を流るる水の影14答案に赤ペン花丸蜻蛉来る
15色褪せしトンボ取り網納屋の隅16九十九里の海の青さや秋あかね
17世界遺産の明日香の里に来る蜻蛉18蜻蛉や今年御霊の道しるべ
19風に乗り風と遊べる蜻蛉かな20夕暮れの街をつらぬく赤とんぼ
21目玉まで筋肉質の鬼やんま22絵手紙の空にすいと赤蜻蛉
23散歩する前を後ろを赤蜻蛉24もう既に余生と言われ赤蜻蛉
25蜻蛉に重さのあるや風となる26赤蜻蛉来て夕空の整ひぬ
27寄らばさあこの指止まれ赤とんぼ28ペダル漕ぐ部活の列に赤とんぼ
29月山や木道跡の鬼蜻蜓30ふるさとの水恋しかり塩蜻蛉
31蜻蛉の信号まもるかの如く32大蜻蛉蒼天貫く幼き日
33ゆふつづやあの子いづくへ蜻蛉釣34先だちて蜻蛉の覗く駅ノート
35そよ風や卓球帰りに赤とんぼ36火の粉飛び翅焼かれし蜻蛉かな
37母は今蜻蛉に生まれ代はりしか38つぎつぎと二連蜻蛉の川を打つ
39少年の追う姿なく鬼ヤンマ40蜻蛉よジパングかつて絹の国
41公園に風と光の蝶とんぼ42蜻蛉や絵葉書ふわっと舞い上がり
43糸紡ぐ町がふるさと夕蜻蛉44蜻蛉舞う空戦終えてホバリング
45先回り採餌特技の蜻蛉かな46風に乗り道案内か赤蜻蛉
47蜻蛉を追ひかけてゆく三歳児48群れなしていて寡黙なり赤とんぼ
49蜻蛉増ゆ夫を見舞ひし帰り道50赤とんぼ薄き影置く更地かな
51止まられて払ふも出来ぬ蜻蛉かな52蜻蛉の影水にあり沼暮るる
53おはぐろやいのちあるもの嫋やかに54赤蜻蛉風の流れに抗ひて
55銀やんま風道づれの切り通し56とんぼ追ふ少女の帽子風に舞ふ
57蜻蛉の群れに包まれ歩む土手58とんぼうのおのがじし飛ぶ夕まぐれ
59シーソーに鍵つ子と塩辛蜻蛉60とんぼうの草の城には花が咲き
自由題の部
61広島忌車窓に遠き鐘の音62捨て船に白鷺一羽夕まぐれ
63熊蝉やどこかと見れば飛び立てり64オホーツク沖の真闇や流れ星
65只今にお帰りと声ちちろ虫66稲の葉の頬刺す朝の田草引き
67桔梗の折り目清しき濃紫68終戦日今はわが子の名もわすれ
69葉の露を照らす朝日は真横から70刀工やまたも刃を折る夏痩せて
71「お帰り!」と群るる蜻蛉や廃校の72島原の飛び地の岬小向日葵
73おそらくは死ぬことも下手けいとう花74茄子味噌や里の厨の深庇
75折り鶴の願いむなしい夏が来た76海峡に留まる夫や小夜砧
77そら豆剥く自立をすると言う子かな78羽化の蝉無情を知りて初期微動
79日の匂ふハンカチの角揃へけり80海にでてだんだん太く鰯雲
81朝顔や間口の狭き京町家82秋風の連れ来る雲や高きこと
83遠き日の登山懐かし古写真84秋爽や露天に上がる波頭
85人絶えること無く墓参合祀墓86「ヤッホ~」が「ヤッホ~」を呼び秋に入る
87病棟の窓一杯に揚花火88忘れがたし峠の茶屋の走り蕎麦
89カレールウくにゃり秋暑のワンルーム90子を抱きし汗の乳房や長崎忌
91流行をとおく眺めて夕端居92酷暑蹴り大空照らす向日葵や
93滴りを享くる野猫の舌赤し94皺くちやの手指すり抜く今年米
95べい独楽や菓子を分け合ふ路地の暮96酔芙蓉うなづく君のゑくぼかな
97蟷螂の揺れつつ向きの定まれり98よくもまあ衝突の無き群れ蜻蛉
99その本は午睡用にて置きしまま100別れ路の戒壇院に母子鹿
101図書館の四方の大窓秋澄めり102手すり貸す朝顔の花終わるまで
103蕣やアパルトマンの窓格子104流れ星タイムマシンの航跡か
105仏壇のりんの余韻や蝉時雨106航跡波フィヨルドの地を滝流る
107朝顔の水やりをして登校す108終の客送りて仰ぐ盆の月
109風神雷神去りし朝のこぼれ萩110灯籠の揺らぎや大社闇深し
111盗人萩増ゆる花後のぼたん園112汐風の揺るる秋草極楽寺
113夕日より妻提げてくる西瓜かな114蜩や人の気配を消してゆく
115そこいらに夫の気配を昼寝覚116ゆっくりと扇ぐ団扇や町内会
117通院の駅前通り百日紅118蝉しぐれ六合わたる響きかな
119呼吸器を外す八月十五日120露草の生命力に雨が降る
121ホーホーと闇に影なす鵜の篝122朝まだき白磁を包む涼新た
123亡き妻と夢で遊びて星祭124菊膾傘寿の舌の衰へず
125閂の軽き菩提寺濃し桔梗126霧島の高きに登り神の鉾
127シーグラスの艶めく温度秋つばめ128八月のピアノ下着のまま奏づ
129流灯会人目をさける路地のカフェ130「座頭市」を和尚快諾村芝居
131秋深しリングピローは父の黙132磨崖仏足湯に響く蝉の声
133緋のカンナ角まがりたる父を見し134佇めば河風に秋あかり坂
135帰路急ぐ夕日に染まる赤トンボ136店頭にミスト降るかや街酷暑
137蝉時雨百の石段奥の院138酷暑日や犬は毛刈りをせがみをり
139秋夕焼切り絵のごとき富士の影140風の来て野道に人や秋に入る
141馬籠宿色なき風が通り抜く142白露や笹に玉成し煌めけり
143新涼や不意に目覚むる夜明け前144夏雲や背中預けて草を刈り
145夜なべして母の手作る一張羅146数式の解けないままに夏の行く
147秋声を拾ってをりぬ犬の耳148旧市街タクシー止めるパナマ帽
149いつまでも来ぬエレベータ秋暑し150遠き日の子の勲章の日焼かな
151またひとつ消ゆるしがらみ涼しかり152老いわすれ孫の呼ぶ夏暖簾
153ちちははを連れ天翔ける迎馬154こころたび無月の坂を颯爽と
155切株にひと葉萌ゆるや秋に入る156枝豆やポンポンポンと口の中
157繁茂する葉に隠れゐるゴーヤかな158近寄れば翅を構える蜻蛉かな
159「今晩は」と応えた後の夏の闇160竜淵に潜む一番星清ら
161般若寺の風のコスモス乱れ咲く162他が為に飛ぶや真昼の流れ星
163かはりたる雨の匂ひや秋初め164槍投げの締めの雄叫び秋高し
165新刊に季節の栞夜涼かな166白芙蓉気分爽快今日も又
167新涼や海の彼方の伊豫小富士168とびとびに三日続きし盆の客
169法師蝉取説の文字小さくて170秋暑し重たき空に鴉鳴く
171八ヶ岳雲の晴れ行く大花野172小流れを浮きて沈みて葛の花
173神の島てふ壱岐に増え鬼薊174戦場を駆けてきたるか茄子の馬
175野良猫の眼を剝く不信敗戦忌176無言館無言で語る敗戦忌
177近道は路地に階段風涼し178落蝉や道のひと葉に寝るやうに
179むさぼつて蟷螂の碧(あを)濃くなりぬ180猫じやらし踏切り付近に人倒れ
〔選句方法〕

下の〔草ネット投句〕ボタンから送信するようにお願い致します。
「選句」を選び、兼題より2句、自由題より4句の計6句を選択し、
都道府県名・氏名(俳号可)を明記の上、「送信する」ボタンを
押してください。

選句〆切:9月22日(火)、発表は9月25日(金)に行います。

なお、一部の漢字はネット上では正しく表記されず、
「?」で示されますので、読みを入れてあります。
        
7月句会結果発表
兼題の部(睡蓮)
作 品 互選 選者選 都道府県 作者
11無住寺やひしめき合うて未草12兵庫県毬 藻
45咲くたびに光ほどける蓮の花10神奈川県風 神
30蓮池や浄土の風の吹き渡る8神奈川県ひろし
40睡蓮や水より描く画家の筆7愛知県牧 子
33睡蓮や杖の音止む太鼓橋6東京都水谷博吉
24睡蓮の余白の水の澱みをり6静岡県彗 星
38睡蓮に雲の影行く水面かな6滋賀県幸 亀
2睡蓮の点々として太鼓橋5千葉県えだまめ
57睡蓮やまたも届かぬ先にあり5北海道篤 道
12舟の引く波に岸辺の睡蓮花4新潟県しーしー
46未草終ひの一句は妻を詠む4三重県déraciné
70儚さは時に華やぐ羊草4神奈川県りゅう
72睡蓮や折り紙好きな叔母のこと4東京都浩 平
43睡蓮や杣取(そまどり)の音こだまして3神奈川県毬 栗
16睡蓮の白き燈明灯りけり3兵庫県三 郎
18寝袋を持参の絵師や紅睡蓮3岐阜県近藤周三
39睡蓮の色を見にゆく丸木橋2茨城県申 女
9さざ波のキャンバス睡蓮ひらきをり2石川県翡翠工房
15睡蓮や叶えらる夢あと幾つ2神奈川県遠野アルヒ
19睡蓮やぽんぽんぽんとひょうたん池2東京都小石日和
22午後二時の刻打つ鐘や羊草2宮崎県黒木寛史
27睡蓮の葉柄動き鯉動き2埼玉県桜 子
41睡蓮の背伸び真昼の深呼吸2兵庫県紀州鰹節
44睡蓮の風に色ありモネの池2岡山県原 洋一
56睡蓮や風の優しき番外寺2愛媛県牛太郎
66開き初む睡蓮まさに今まさに2埼玉県千葉 美知子
1睡蓮花水のあまねく 鳳凰堂1愛知県佐藤マルキチ
4睡蓮や水輪広ごる池の面1愛知県まち乎
5睡蓮や黙して光る男をり1北海道北郷傘寿
6睡蓮や夕日の染むる雲流る1神奈川県みぃすてぃ
7睡蓮やモーパッサンも誕生花1滋賀県百合乃
8睡蓮の葉の露嬰が手伸ばし1大分県牧野桂一
10睡蓮に風激動の幾時代1静岡県指田悠志
29睡蓮の絵画となりて時を止め1埼玉県夜 舟
34睡蓮やどのベンチにも客二人1愛媛県海 猫
35池の面に雨の匂ひの蓮の花1神奈川県ドラゴン
36出張の手帳に絵文字蓮の花1宮城県ひさを
37雨の日は睡蓮と居る池の端1神奈川県横坂 泰
47睡蓮や藍より深き湖の青1大分県晴田そわか
48まだ里にゐたころの夢羊草1兵庫県ケイト
49風走り睡蓮の影ひるがへる1千葉県光雲2
50睡蓮の淡いピンクに平等院1千葉県山 月
51河馬の眼の睡蓮ずるいほど赤い1大阪府椋本望生
52睡蓮の浮葉の下の憩いかな1滋賀県原茂幸
55睡蓮や水面の余白美しき1大阪府藤井あつこ
58睡蓮や水面きらり亀ぷかり1兵庫県う み
60睡蓮の葉から顔出す魚たち1茨城県西川富美子
64睡蓮の明け方に咲く慎ましき1埼玉県豊 楽
65ひとしきり天泣を受く睡蓮花1広島県一 九
67睡蓮に降り来る雨の水輪かな1神奈川県秋山由美子
68睡蓮の葉陰にありや池の黙1滋賀県鶴亀鈍
73睡蓮にささやく水のしじまかな1大阪府奥村かよん
自由題の部
作 品 互選 選者選 都道府県 作者
117かき氷まだぎこちなき仲直り12岡山県原 洋一
157二の腕の男前なり祭笛11兵庫県毬 藻
84昼酒にもう酔うてはる祭衆10兵庫県毬 藻
91祭笛吹くや余生の一頁9岐阜県近藤周三
113たどたどし母の手紙や蝉しぐれ9愛知県牧 子
214嘘をつく夏帯きりり締め上げて9滋賀県鶴亀鈍
106灯台を火柱と化す西日かな8東京都水谷博吉
153蛍狩り父の軍歌で帰りし夜7滋賀県百合乃
99手花火や爪には星を煌めかせ7京都府せいち
116さりげなく片陰ゆずる紳士かな7神奈川県毬 栗
119曽祖母のなれそめを聞くソーダ水6三重県déraciné
112炎天へ主砲の一打河川敷6茨城県申 女
142ゆで卵凸凹に剥け夏暑し6神奈川県佐藤けい
81原爆忌電車一駅づつ停まる5大分県牧野桂一
96くちなしの花びらの錆疼きをり5静岡県えいちゃん
108解体の鉄筋曲がる炎暑かな5神奈川県ドラゴン
173朝顔に聞いてもらいし独り言5埼玉県桜 子
188QRコードで頼むかき氷5広島県山野啓子
189蝉時雨耳鳴り消してしまいけり5神奈川県毬 栗
195かたばみや莟ほどけぬ雨の庭5千葉県光雲2
97青蛙三段跳びで消え去りぬ4静岡県彗 星
107腰のばし伸ばしつ田植千枚田4愛媛県海 猫
115菜園の胡瓜の自由奔放さ4広島県山野啓子
130ふる里や夫婦水打つ理髪店4北海道篤 道
134白鷺の頭ひょこりと出る田んぼ4愛知県み う
144のぞき見る蛍袋のなかの闇4静岡県渡邉春生
165短冊の横文字はしゃぐ星祭4東京都小石日和
175古具屋の籐椅子そっと掛けてみる4埼玉県夜 舟
190紙魚多き母の歳時記癖の文字4岡山県原 洋一
150魚屋の髯の主の夏ぼうし3愛知県まち乎
78打水や若き仲居の裾あれる3北海道北郷傘寿
90オリガミで孫に負けたるうれし夏3神奈川県ゆりみ
100神官の祓う幣にも梅雨湿り3埼玉県桜 子
101睡蓮を分けて通るや竿の舟3北海道無 才
135篝火の消えて煌めく二つ星3神奈川県梗 舟
197プール出づ重き地球にしがみつき3大阪府椋本望生
203焼き茄子を好む亭主となりにけり3北海道篤 道
210うちわより優しい風や昼寝の子3埼玉県豊 楽
213大甕に一花開きぬ大賀蓮2神奈川県秋山由美子
74沈黙の古墳の丘や青嵐2愛知県佐藤マルキチ
79糠洗ふ手の甲の皺なすび漬2神奈川県みぃすてぃ
87梅雨明けの公園に子の暮れにけり2神奈川県たかほ
102百合咲いて全ての罪は許される2埼玉県夜 舟
110胴上げの落としてならぬ雲の峰2神奈川県横坂 泰
145別べつの草に揺れをり蝉の殻2東京都浩 平
148ランプ消す山小屋の朝雲の峰2千葉県えだまめ
151磯までも十薬匂う風の筋2北海道北郷傘寿
168水底の足跡深く田草引く2宮崎県黒木寛史
171ハイビスカス校庭に咲く島言葉2千葉県こごめ草
179星祭り父の願ひを問はれけり2東京都水谷博吉
181縦横に空を切る子の捕虫網2神奈川県ドラゴン
205観覧車大き日を浴ぶ夏休み2千葉県須藤カズ子
219峰雲や教会堂の鬼瓦1大阪府奥村かよん
75独り酌み音のみに聞く遠花火1千葉県えだまめ
76影ふたつ伸びる美瑛の夏野かな1大阪府森 佳月
80画家志望彼の友教師に麦の秋1滋賀県百合乃
85ハマナスが照らす一角防砂林1新潟県しーしー
88先ずの一行書き出せぬ文夏の果て1神奈川県遠野アルヒ
89生き難し陰に開くや破れ傘1兵庫県三 郎
103砂浜を歓声走る海開き1神奈川県ひろし
120とろとろとろくろを回す夏の月1大分県晴田そわか
121竜宮の門番たるや鱧の貌1兵庫県ケイト
122富士の影はてなき径を蟻の列1千葉県光雲2
126夏燕腹の底から鳴きにけり1愛知県コタロー
129紫陽花や乗換電車待つ駅舎1愛媛県牛太郎
136地区予選サヨナラヒットで夏終わる1奈良県魚楽子
141竹床几駒に語らせ夢を見る1滋賀県鶴亀鈍
147ヨイトマケいのちの唄の原爆忌1愛知県佐藤マルキチ
156心太いまは硝子のやうな湖1静岡県指田悠志
160靴音に擦り減る街や夜の秋1神奈川県たかほ
162今も咲くダムに沈みし水中花1兵庫県三 郎
170白無垢のあぢさゐの毬雨弾く1静岡県彗 星
174夜勤明け窓のむかふに月見草1北海道無 才
176追ひすがる日を振り切つて夏の蝶1神奈川県ひろし
186滴りのきらりと日輪こぼしけり1愛知県牧 子
187夏惜しむ後期の文字を覆ひつつ1兵庫県紀州鰹節
192風死すや置き屋の闇に聴くタンゴ1三重県déraciné
196巴戦満身創痍雲の峰1千葉県山 月
207初蝉や父亡くなりし日の記憶1愛知県み う
209ブラスバンドの空の広がり七月は1奈良県魚楽子
212ひと串の土用うなぎをセルフレジ1埼玉県千葉 美知子
215腰かがめ葉をかき分けて茗荷の子1神奈川県佐藤けい
216ひとところ雲の湧き出づ桐の花1神奈川県りゅう
七月句会選評 選者:草の花俳句会・同人会 服部 満

≪兼題の部:睡蓮≫

★睡蓮や杖の音止む太鼓橋

 境内にある池の太鼓橋の中央で睡蓮を眺めていると、その背後で杖の音が止まった。杖の主と橋の中央付近で
睡蓮を静かに見る午後、そんな景でしょうか。互いに言葉を交わすわけでもないけれど、睡蓮の静かなたたずま
いに、心が通い合うような穏やかな時間の流れを感じさせてくれる句です。

◎睡蓮の色を見にゆく丸木橋

 里山などにある沼か池、踏み慣れた丸木橋を渡って行く。睡蓮の花の色は、白、紅、黄、紫等です。今日はど
の色の種類が咲いたのか、あるいはいつもの黄色の睡蓮の色具合はどんなだろう。「色を見にゆく」に、日頃の
生活圏に自生する睡蓮を親しく楽しんでいる日常生活が感じられます。

◎睡蓮や杣取の音こだまして

 杣山にある沼の睡蓮。その静かな水面に木材を伐り出す音が響き、周りの杣山に谺している、そんな景です。
斧を振るう音がふさわしいが、現代ではチェーンソーなどでしょうか。杣取の音が周りに響けば響くほど、山の
沼の穏やかな水面とそこに浮かぶ睡蓮の静かな姿が目に浮かびます。


 ≪自由題の部≫
                        
★曾祖母のなれそめを聞くソーダ水

 ひいばばとひいじじとの馴初めを、おばあちゃんに聞く少女の景でしょう。まだ達者な祖母に祖父との馴初め
は聞きにくく、おばあちゃんも応えにくい。でも今は亡きひいおばあちゃんとひいおじいちゃんとの馴初めは、
おばあちゃんが話してくれるかもしれない。そんな活発で明るい少女の性格と態度を、「ソーダ水」の弾ける泡
と甘味がしっかり支えています。

◎魚屋の髯の主の夏ぼうし

「夏ぼうし」は、野球帽のようなキャップではなくストローハットなのでしょう。丸い山型で、リボンが巻かれ
たりしているお洒落な麦藁帽か。魚屋の主人でありながら、魚市場などで見られるキャップでないところが面白
い。日除けの広い鍔の下から覗く豊かなほうひげが眼に浮かびます。魚屋の主と粋な夏帽の配合が眼目でしょう。

◎峰雲や教会堂の鬼瓦

 むくむくと膨らむ積乱雲と古い歴史ある教会堂との対比。和風建築に近いような教会堂には、瓦葺きで鬼瓦を
設置した文化財級の教会建築が今も各地に残っています。中には鬼瓦に十字架が刻された教会もあるようです。
小規模ながら歴史ある美しい教会堂だけに、勢いのある動きを見せる巨大な峰雲に堂々と渡り合っている感じが
します。

        
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