9月句会投句一覧
兼題の部(秋の水)
1秋の水やはきところとかたきとこ2神棚に深井戸よりの秋の水
3秋の水澄む産土の手水鉢4まろびつつ一途に走る秋の水
5洗顔に触れて手のうち秋の水6阿弥陀池仏も映る秋の水
7秋水にすすぎほぐれし石頭8詩才ある彼に脚無し水の秋
9神職の父の祝詞(のりと)や水の秋10せせらぎに顔を洗へば秋の水
11石橋に秋水はしる朝の市12水郷やひたしたる手に秋の水
13水切りの音軽やかに秋の水14秋水の盥に沈むシーグラス
15秋水のほとりのつひの住処かな16川魚の動きすばやき秋の水
17氏神や秋水満たす榊立て18秋水の日を通したり反したり
19秋の水動かぬ鷺の白さかな20この地球青き星なり水の秋
21まず飲んで庭木にかける秋の水22海こそなけれ湖魚すめる秋の水
23吊り橋をゆらゆら渡り水の秋24奥山の便りを運ぶ秋の水
25汽水湖や街に広がる秋の水26一石に広がる波紋水の秋
27秋水を今朝掬びし手胸に寝る28底石の文様しかと秋の水
29秋の水山々映す空に似て30露座仏の手窪の水に秋あふる
31石影に隠るる魚や秋の水32川底の小石踊らす秋の水
33枕辺のせせらぎ高め秋の水34秋水や昔の歌を口ずさむ
35石投げの石跳ねてゆく秋の水36支笏湖や小舟過ぎ行く秋の水
37水の秋船頭のさす竿の反り38なめらかに岩肌撫づる秋の水
39日々願ふ夫の快復秋の水40傷心の惑い来たりて秋の水
41残さるる身に広き家や秋の水42吊橋の足下透けて秋の水
43水澄むや室生の里の朱の橋44下山道切れて秋水踏み渡る
45朱の小橋佇み見やる秋の水46杣道の細き剣(つるぎ)や秋の水
47水の秋はや灯を入れし水車守48起き抜けの歯に染み透る秋の水
49水切りの弾み鋭き秋の水50笹舟の果ては何処や秋の水
51石切りの波紋一瞬秋の水52徹夜して油彩10号秋の水
53秋水の流る縁下抹茶受く54御点前の釜に注ぎし秋の水
55老境のゆらりと映り秋の水56澄むほどに流れの消えし秋の水
57木漏れ日に尾びれの見ゑて秋の水58五百年守る神社の秋の水
59秋の水流れ速きぞ鯉跳ねる60調教終へ馬に飲ませる秋の水
61山深しただ風の音と秋の水62秋なれや水神さまの水甘し
63奥入瀬や秋水の音(ね)も濁りなく64秋水や米研ぐ音の懐かしき
65朝まだき浸す手ぬぐひ秋の水66秋の水色づきし葉の流れゆく
67子規の忌や喉仏過ぐ秋の水68手を胸に歌う歌あり秋の水
69寛永の小さき地蔵や水の秋70投網打つ漁師の影や水の秋
71秋の水登りし山も夢の中72百草の中に埋もれて秋の水
73秋水を手に触れそして頬に触れ74.秋の水沈みゐるものみな美しく
75山塊の奥のおくより水の秋76秋の水けふの青空すがすがし
77蹲に紅き実二つ秋の水78秋水の藻草に鯉の見え隠れ
79星影を正しうしたり秋の水80樽前山の噴煙雲へ水の秋
81秋の水口に含みて知る季節82秋水や定年夫婦車旅
83鐘撞けば音色に揺るる秋の水84川舟の棹より垂るる秋の水
85山葵田の小石ゆるがせ秋の水86柔らかにチャツボニゴケに秋の水
87秋の水さざれ石まで日の届き88秋水や水面に覗く人面魚
89幼子の諸手に掬ふ秋の水90底なしの忍野八海水の秋
91つくばいを覗きこみたり秋の水92朝つぱら砥石に垂らす秋の水
93澄む色や億万画素の秋の水94秋の水供えし写真の妣に似て
95秋の水指を濡らさず見つめたり  
自由題の部
96草の花村の岐れの石地蔵97投了を告げて閉ぢたる秋扇子
98見晴るかす野辺を覆ひて鰯雲99とんぼうは天辺が好き池の杭
100白雲やぶらり蔓ひく烏瓜101ディア・ハンター無償の愛に秋の風
102窓あけて良夜へ追ひやる秋の蝿103東京の月が置かれてある鏡
104蝉ちちろ小さきものが季節変へ105銀の波すすきの揺れに風を見ゆ
106秋出水泥中の写真の笑顔107抜け道にしつかり根付く秋さくら
108高圧線ゆるり超え行く花野かな109待ち人の広き背中や照紅葉
110小津映画酒あたためて称へ合ふ111澄みし空響く鹿笛どこまでも
112種取りて入るる小瓶は祖父譲り113豊穣の予感に里の赤とんぼ
114雨靴の触るる草より飛蝗かな115月を待つ汐待港の常夜灯
116秋深し淋しがりやの眼鏡たち117台風の記憶の奥に磯馴れ松
118乙女子の手の平サイズの扇風機119あはれ鳴く生惜しむごと法師蝉
120霧の中白銀の日を拝む121霧晴れて合掌屋根の浮かびをり
122ジャスミンティー一人の朝に小鳥来る123地図を手に小江戸佐原や水の秋
124CM(コマーシャル)毎に栗を剥く手を休めたり125加齢てふ不可逆なもの蓮枯るる
126赤き服傾げ案山子のもへじかな127初紅葉ケーブルカーの分け入りて
128新妻の心根のあぢ栗ごはん129秋灯下カバーは銘菓の包み紙
130郵便のバイク去りゆく秋の暮131友の住む天また仰ぐ夜半の秋
132摘籠に日の斑揺れをり葡萄棚133満月やスカイツリーのその上に
134オホーツクの海へとつづく大花野135歳とれど知らぬことあり草の花
136終章は変調で止む法師蝉137ななかまど母に由来を聞きし頃
138お題目流れてをりぬ萩の風139それぞれに鳴りて一音葛の雨
140蜩やわらべ眠りに誘えり141矛先を躱(かは)してあふぐ秋扇
142カフェの窓銀杏黄金の鈴を振る143両眉の均等に描け爽けしや
144蟷螂の恋文覗く窓ガラス145菊の香やくつと開けらる乳鋲門
146トランペットここにいたのか鳥帰る147従兄弟より栗と野菜と近況と
148秋声や避けて通れぬ別れあり149俳句といふ言葉の遊び秋灯下
150口元に当てて味はふ秋の風151前売りの夜間飛行や銀河行き
152鈍色の大屋根見ゆる柿の里153橋の下瀬に立つ鳥の秋涼し
154一陣の風や乱るる虫の闇155敬老日優先席を譲り合ふ
156冷も良し燗も又良し月見酒157露の玉一つ一つに日のひかり
158孫の絵の謎を解きたる敬老日159断崖の海の紺青天高し
160素風立つ浅草寺の大提灯161まだ恋を知らぬ少女や西鶴忌
162耳聡く犬のふりむく桐一葉163秋燕日に三本のバス路線
164店脇に手入れの届く草の花165君と待つビルの向こうの今日の月
166「さりんじゃー」上梓されるや秋の雨167消灯の部屋に差し入る月今宵
168芒原兵士運びし錆鉄路169透析の友の電話や秋の蝉
170稲架組んで日影生まるる峡の村171長雨のけふは何処に秋の蝉
172水澄むや光と遊ぶ魚の影173天高し噴気地を這ふ地獄谷
174秋刀魚喰う古武士の貌の親父かな175草叢の堰の水音澄みゐたり
176自転車の車輪に絡む秋の風177長い列たどり名物栗饅頭
178鰯雲昭和の記憶甦る179老々介護妻細りゆく夜の秋
180爽やかに透明な風吹き抜けり181ガラス越し母の笑顔に秋風寂し
182つり橋は無人となりて夕蜻蛉183モノクロの無声映画や秋深し
184工場の跡地原つぱ赤蜻蛉185露茂き高原無人販売所
186コロナ渦でだんじり走るマスク付け187かはたれの月直行の救急車
188夕立の去りてさやけき夕日かな189秋空に雲の筏のゆったりと
190草紅葉車の警笛小刻みに191夜の秋引き込み線の果つる町
192ひもすがら松になりたり松手入193木犀の香るわが街空き家増え
194たつぷりと女将の活ける草の花195子の顔に引き抜く秋の紙芝居
196秋の雨読みふけるかな銀の匙197電線に揃ひ帰燕の拝辞かな
198敬老の日の耳かきの飴色よ199手のひらの大きさ比べ山清水
200こほろぎの一匹鳴きて庭閑か201うす青き信濃の山なみ大花野
202トンネルを出て補陀落の秋に逢ふ203一人居や群れ赤蜻蛉見てをりぬ
204爽やかや氷点橋に独り居て205天高く賞罰無しの手を洗ふ
206水落とす農夫安堵の実りかな207フォークソングオカリナ秋の川秋の川
208田の隅を刈られしままに秋の雨209病む星のなほ美しき秋の色
210秒針の音に眠れぬ夜長かな211手招きでダンスに誘ういぼむしり
212わが歩む瀬音にまじる虫の音213出帆の銅鑼の音哀し震災忌
214歩荷の背とんではとまる蜻蛉かな215芋の葉の真中に集ふ露の玉
216おしゃべりの途絶えて霧の奥信濃217二人ゐることのしあはせ温め酒
218県境の大橋けぶる秋黴雨219揺れ動く踏切脇の彼岸花
220ニュートンの原理こつんと榠樝の実221鉦叩望み掛けたる宝くじ
222夜学果てメールチェックの帰り道223萩芒下からすくと彼岸花
224赤のままコップに挿して二人かな225一つとて同じ色なき落葉かな
226富良野旅ちらりと車窓初紅葉227花野行く犬のリードを長くして
228気に入りの新車ドライブ天高し229名月や天国の酒おいしいですか
230大和柿暮色に溶ける鐘の音231秋刀魚買ふ生の二文字拘りつ
232生き残る人に会いたし秋彼岸233説法の袈裟の由来や木の実降る
234身に入むや万語を呑みて古語辞典235鈎裂きの網戸の増へし夏の果
236さんざめく思ひ出のごと天の川237鳥の群カナリア色へ秋残照
238秋の夜や賢治のセロを弾くゴーシュ239野分あと末成り胡瓜下がりおり
240よろず屋の秋の風鈴舌のなく241マスカットハリもツヤをも物にせり
242秀麗の旅や孫等にせがまるる243カラフルな女子も経読む秋遍路
244よき明日来る事願ふ厄日かな245名月を土産替りに病窓に
246くだものが板場にあふれいて9月247大楠に零れてきたる望の月
248秋彼岸丹精込めて筑前煮249名月やまなこの脈が停まるほど
250海霧晴れて豪華客船現れにけり251裏山の池の水面の今日の月
252仏舎利の塔の闇より蔓珠紗華253停電の太古の闇に今日の月
254新米炊く一升釜のランプ宿255はららごの紅鮮やかや輪つぱめし
256少年の面影残し祭笛257秋晴や大工寡黙に墨を打つ
258長き夜や知らぬ相手とウェブゲーム259この年も墓参かなわず過ぎゆける
260子供らが秋日回せりフラフープ261実石榴やしみの残りし割烹着
262絣模様空に拡げて秋つばめ263星月夜佐渡より見ゆる漁り船
264迷ひては再び出会ふ金木犀265五合目の霧の中へと手紙出す
266月白く仰げり魚鳥供養塔267一塊の雲去りやらず秋彼岸
268蚯蚓鳴く熔岩樹形闇の中269秋風や「ゴンドラの唄」「笠智衆」
270十五夜や「結婚してくれてありがとう」271山並みに夕日の薄る秋の暮れ
272雲の間を抜けたる月の明るさよ273過去形の母は美し曼珠沙華
274鍵穴の向かうは蒼き秋の海275おしろいと呼ばれて黒き実となりぬ
276黄色へとお色直しのイチョウかな277ひび割れの田んぼ並びて石たたき
278廃校はカフエとなりぬや彼岸花279足元に鳩の飛び来る終戦日
280蟲集く同級生の通夜の席281ひつじ田に雀遊びし一休み
282ゼブラーゾーン棉の高さに旗振つて283視界みな棚染めゆけり大夕焼
284歩いてみるただ秋の中息深く285蛍草効果発揮の葉の肥料
〔選句方法〕

下の〔草ネット投句〕ボタンから送信するようにお願い致します。
「選句」を選び、兼題より2句、自由題より4句の計6句を選択し、
都道府県名・氏名(俳号可)を明記の上、「送信する」ボタンを
押してください。

選句〆切:10月27日(水)、発表:10月31日(日)に行います。

なお、一部の漢字はネット上では正しく表記されず、
「?」で示されますので、読みを入れてあります。
        
8月句会結果発表
兼題の部(木槿)
作 品 互選 選者選 都道府県 作者
91隣り合ふ本家と分家花木槿11愛媛県牛太郎
17白木槿われに水子の兄ひとり9静岡県指田悠志
56枝々に今朝の花あり白木槿7千葉県浩 英
70公園に兵器庫の跡木槿咲く6神奈川県風 神
30迷路めく路地の目印花木槿6大阪府レイコ
45移りゆく刻の速さよ夕木槿6静岡県雪 子
54一人づつ座るベンチや白木槿5埼玉県桜 子
78馬の目はなにやらさみし花むくげ5兵庫県峰 乱里
19禅寺のあしたゆうべの花木槿5愛知県丸 吉
44木槿咲く今は昔の暴れ川4静岡県有 希
11満開の白き木槿や妻老いぬ4埼玉県郁 文
12塵取にきのふの木槿けふの塵4大阪府藤岡初尾
55老犬に合わせ行く道花木槿4埼玉県イレーネ
61遺されて重き余生や花木槿4福岡県宮内和彦
101野良猫に抜け道ありぬ木槿垣4滋賀県和 久
104一本に千の夕日や花木槿4滋賀県正 男
71木槿咲き父逝きし日の来たりけり3北海道小 幸
20花嫁のレースのベール木槿咲く3神奈川県ひろし
26鐘楼の茅葺き屋根や白木槿3千葉県みさえ
27花木槿庭の主は長き留守3埼玉県立山 嶺
33一周忌早も来りて白木槿3大阪府森 佳月
41白木槿想い出ありて途中下車3愛知県茶ぼくさ
80尼寺や未練を絶ちて花木槿3兵庫県こうせい
99白木槿故郷の荒家守れかし3千葉県広瀬美保
1苔寺の心字池より木槿かな2栃木県垣内孝雄
5ひなびても木槿の花の明日はまた2千葉県あけび庵
6路地裏に五輪の歓声木槿咲く2千葉県山 月
8手鏡をかざし紅さす花木槿2東京都小石日和
13門閉じて校庭の隅白木槿2兵庫県大谷如水
18在日のひとを知己に得(う)白木槿2京都府しげお
29人好きの犬が尾を振る木槿垣2愛知県コタロー
31花木槿バザーに集ふ車椅子2神奈川県ドラゴン
35朝茜しじまに染まる白木槿2東京都水谷博吉
38雨の日はぽつたり落つる紅木槿2静岡県彗 星
43慶州のどの村々も花木槿2神奈川県ほたか
47年ごとに増える投薬白木槿2愛知県さ と
50久々に嘘つきました白木槿2茨城県申 女
59アンニュイな老後の話花木槿2千葉県須藤カズコ
68借景の哀史の城や木槿垣2岐阜県近藤周三
69絵手紙へはみ出してゐる花木槿2群馬県志 楽
72一生にひと日を開く花木槿2神奈川県阿部文彦
81散り落ちて蕾に戻る木槿かな2兵庫県やよひ
85白木槿白を離るる雫かな2三重県八 郷
88木槿咲く寺の裏道仄暗し2和歌山県茫 々
97故郷も友も疎遠に白木槿2山口県ももこ
100リハビリの妻の手を引く白木槿2大阪府椋本望生
7今日もまた訪はれぬままの花木槿1兵庫県鈍愚狸
10裏庭へ槿垣から案内さる1栃木県荒川三歩
15木槿垣三々五々と女学生1京都府せいち
16傘ほどき開くが如く木槿咲く1千葉県玉井令子
23花木槿嵐のあとの空は澄み1長崎県みんと
24よそよりも遅く咲きたる花木槿1京都府花 子
25晴ればれと老いは知らずや花木槿1栃木県あきら
32白木槿一日の命哀しまず1千葉県光雲2
36雨止むを木槿の花は待ちきれず1北海道篤 道
40木槿咲く一日のけじめ思ひけり1大阪府風 華
42山門の如来に捧ぐ花木槿1静岡県浜 子
49無明なる吾に眩き白木槿1東京都一 八
51木槿掃き六日九日空見つむ1神奈川県横坂 泰
57ほどほどに生きて木槿や風白し1愛知県秋ひろ
58六地蔵に日陰を作る花木槿1茨城県逸 光
62花むくげ自立度調査届きたり1三重県déraciné
64故郷に放棄地多し花木槿1東京都藤方昭男
67思い出の小さな公園木槿咲く1千葉県相良 華
75一族の墓守り続け木槿垣1福岡県みつぐ
76薄暗き茶室に木槿灯りけり1神奈川県しゅう
79登校の集合場所の白木槿1静岡県かいこ
86おおらかに出社見送る木槿かな1神奈川県じゃぐ
89花木槿そこくれなゐの鮮やかに1神奈川県ひろ志
93今日ひと日喜怒哀楽抱き咲く木槿1静岡県みちのっ子
96下校の子声なく別れ木槿散る1神奈川県ひろちゃん
102白木槿暮鐘微かに響きをり1静岡県さくら
自由題の部
作 品 互選 選者選 都道府県 作者
254廃村に一日限り盆の寺12静岡県有 希
271やまびこも秋の色なり阿蘇五岳11福岡県宮内和彦
175ゆらゆらと市電現る長崎忌11神奈川県風 神
120一斉に揺るる吊革原爆忌7京都府せいち
153歳時記が師の形見分け初盆会7岐阜県色即是句
189どの雲に乗つてみやうか夏の山7京都府福井茶衣
207一輪車の翼は両手秋涼し7静岡県さくら
113枝豆や胡坐の中の子にも分け6東京都小石日和
151夏の果ぽつんと水難供養塔6奈良県陶 生
299蚯蚓鳴く崩れ土塀のつづく径6神奈川県ひろ志
312牧草の窪みに子牛涼新た6静岡県さくら
158祭の夜般若の面とすれ違ふ6埼玉県グレイス
202一生を農婦の母や稲の花6山口県ももこ
247闇に浮く白き指先風の盆6兵庫県奈 呂
285廃線の決まりしホームカンナ燃ゆ6福岡県みつぐ
286風鈴の最後の音をはづしけり6神奈川県しゅう
159流れ星落ち行く先に古墳群5埼玉県桜 子
108秋暑し養鶏場の昼下り5千葉県えだまめ
119累代の墓石参りて蝉法師5宮崎県黒木寛史
142B面の如くに生きて蜆汁5兵庫県奈 呂
144全身の汗もろともにシャツを脱ぐ5静岡県えいちゃん
210落蝉のそこかしこなり薬師堂5静岡県こいちゃん
259秋暑し経読む僧の太き首5東京都一 八
225夕べにはかなかなかなと鳴きだす木4京都府せいち
143流星や一瞬にみな過去となり4静岡県彗 星
148最終のバスは出にけり旱星4神奈川県ほたか
206大空に道あるらしき小鳥来る4滋賀県和 久
242蒲の絮神話うさぎの跳び出せり4千葉県光雲2
246帰省子の好みに合わす酒肴4北海道篤 道
160秋の昼山々に向け鐘をつく3埼玉県イレーネ
107水馬懐に雲抱きけり3滋賀県泥 亀
124潮騒や吹奏楽部キャンプ張る3愛知県丸 吉
131ぬばたまの闇ひた走る大文字3千葉県みさえ
138手花火を終えて女は未練断つ3大阪府森 佳月
140手花火や腰引けている得意顔3東京都水谷博吉
141子も孫も来ぬ庭先に草繁る3北海道篤 道
146すぐ馴染む郷の踊りや四百年3愛知県茶ぼくさ
164空蝉の測ってみたき水分量3千葉県須藤カズコ
176湿原の風にしろじろ秋の草3北海道小 幸
180仏壇は団地サイズや盆用意3福岡県みつぐ
199酒交わす兄弟八十路遠花火3奈良県たにむら
214端渓に墨をゆるりと夏書かな3愛知県草 木
217立秋や今朝より変へる散歩道3兵庫県鈍愚狸
220板塀を蜂の腹這ふ残暑かな3栃木県荒川三歩
224慰霊碑の辞世苔むす終戦日3宮崎県黒木寛史
227音読のやがて静寂星まつり3静岡県指田悠志
239蟻群れて獲物を黒く染めにけり3愛知県コタロー
250訪ふ郷の眠るに惜しき星月夜3大阪府風 華
269人間に流行り病や秋の蝉3千葉県須藤カズコ
284夫の一族枝豆好きで饒舌で3神奈川県佐藤けい
296蜻蛉や風を選んで乗りにゆく3神奈川県じゃぐ
106老い深む犬と見てゐる秋の雲2栃木県垣内孝雄
114登山靴きりりと締めて小屋発ちぬ2埼玉県祥 風
116差配せし本家の威厳うら盆会2埼玉県郁 文
122星まつり遠き列車の音のなか2静岡県指田悠志
128どの人もスマホの画面終戦日2長崎県みんと
130小宇宙殺気満ちたるいぼむしり2栃木県あきら
134夕立に球児の夢の果てにけり2愛知県コタロー
137「心など捨てたよ」海月透きとほる2千葉県光雲2
150噴水の時に透明時に白2静岡県雪 子
152決心を促すごときカンナかな2愛知県さ と
161刈り残す虫の住みかや女郎花2千葉県浩 英
162衰えは待ってくれずに夕月夜2愛知県秋ひろ
163行く当てもなき秋の旅かばん干す2茨城県逸 光
168母のこと問わず語りに盆用意2三重県正 耕
173茄子呉れて独り身のわけふと洩らす2岐阜県近藤周三
177干乾びた絵具で里の秋を描く2神奈川県阿部文彦
184新涼の風来る机上何もなく2静岡県かいこ
188稲穂撫で吾の頬撫で風通る2茨城県西川富美子
197爪楊枝梨をつゝけば雨の音2栃木県草 坊
208夜濯ぎのお隣さんの恙なし2徳島県西 教子
211秋の蝶翅をやすむる石の上2栃木県垣内孝雄
230新涼や金子みすゞの一篇を2神奈川県ひろし
253能舞台忘れしままの奈良団扇2神奈川県ほたか
256法師蟬世相に合はせヘ短調2奈良県陶 生
258迎へ火の一つ増へたる戸口かな2岐阜県色即是句
261邂逅の土手に変はらぬ酔芙蓉2神奈川県横坂 泰
263白雲の東へ流れ八月尽2埼玉県グレイス
278運慶の鑿思ひけり入道雲2岐阜県近藤周三
281花芒ふるさと遠くゆれている2北海道小 幸
293髪切りて耳に優しき法師蟬2茨城県西川富美子
304裏戸より我が家の秋は訪れぬ2奈良県たにむら
305青北風や受話器の中に救急車2広島県山野啓子
315校庭のバックネットに蝉の殻2静岡県こいちゃん
109雑音のラジオを囲み終戦日1愛知県草 木
112セピア色になりゆく故郷盆の月1兵庫県鈍愚狸
118秋立つや流るゝ雲のうすかりき1兵庫県大谷如水
121しぶき上げ道行く車秋出水1千葉県玉井令子
125秋の雷無明の闇を切り裂けり1神奈川県ひろし
127和歌を詠む友と連れゆく秋遍路1愛知県淳 和
132かち割りの溶けるに任す九回裏1埼玉県立山 嶺
135貼り紙の「マムシに注意」露葎1大阪府レイコ
136露の玉涙のごとく崩れけり1神奈川県ドラゴン
139少年酷暑を駆ける怯まず1埼玉県夜 舟
147かまの神火焔が覆ふ筒花火1静岡県浜 子
156ごみ出しはアスリートなみ半ズボン1神奈川県横坂 泰
166叩かれて抱かれて割られ西瓜泣く1福岡県宮内和彦
167真結びのするりと解けて今年米1三重県déraciné
170夕涼み惚れた女の膝枕1東京都一 寛
171坊さんと読経争ひ蝉時雨1神奈川県毬 栗
178手提げからこぼれる柿や墨衣1神奈川県みぃすてぃ
181白秋やたてし抹茶の深みどり1神奈川県しゅう
183町育ち大阪弁の轡虫1兵庫県峰 乱里
186径すがら投げくれたるや庭の柿1兵庫県やよひ
190老いてなほ子どもになれる秋祭1三重県八 郷
191かなかなやまだ7回の表なり1神奈川県じゃぐ
192思ひ出の赤のまんまに出会ふ野路1奈良県よっこ
194秋すだれ雨模様なる風を呼び1神奈川県ひろ志
195秋立つや五輪の躁も鬱も消え1東京都柏 松
204車椅子ぶつかる選手の汗美し1千葉県広瀬美保
216原爆忌アウシュヴィッツも忘れまじ1千葉県山 月
218子らの前みるみる積もるかき氷1東京都小石日和
219四阿や宿る新涼川の音1埼玉県祥 風
223手応へのありて西瓜の真つ二つ1兵庫県大谷如水
228親しみし国の名数多夏了る1京都府しげお
229秋暑し上々吉の血圧計1愛知県丸 吉
231秋の昼だあれも居ない漁師村1北海道みなと
233百年後も二百年後も終戦日1長崎県みんと
235空を跳ぶ自転車競技夏五輪1栃木県あきら
236天の川賢治の里の言ひ伝へ1千葉県みさえ
241海原の闇傾くる野分かな1神奈川県ドラゴン
249かたつむり忠敬描く日本地図1静岡県えいちゃん
251墓仕舞ふ郷の先祖に桃を買ひ1愛知県茶ぼくさ
255風よりも光に夏の名残りかな1静岡県雪 子
260富士市とは富士見える街秋晴るる1茨城県申 女
264芒原ネット社会に流されず1埼玉県桜 子
267可能性だけならあった星走る1愛知県秋ひろ
270あらためて白米の味終戦日1東京都カツミ
273語り部の低きつぶやき原爆忌1三重県正 耕
276片恋やかなかなしぐれきりもなく1神奈川県毬 栗
277炎昼や誰も通らぬ大通り1千葉県相良 華
279蜩や生きてその日をたたえ合ふ1群馬県志 楽
283空き缶のカランと飛びて秋の空1神奈川県みぃすてぃ
287秋蛍この世とあの世行き来して1福岡県蛍 川
290ドローンや鳥の目線の運動会1兵庫県こうせい
291唐黍を食ぶハーモニカ吹くやうに1兵庫県やよひ
298遠嶺へ馬柵(ませ)つづく径雲の峰1和歌山県茫 々
301考のこと解る齢に墓洗ふ1愛媛県牛太郎
303転がされ雨に打たるる蝉の殻1静岡県みちのっ子
311新涼やぱらりと外す本の帯1滋賀県和 久
313これ以上灼けれぬ螺旋の外階段1徳島県西 教子
【選評】 選者:草の花俳句会 副主宰 鈴木五鈴(すずきごれい)

《兼題の部:木槿》

★木槿咲き父逝きし日の来たりけり

木槿の花が咲き出すと、父の亡くなった日を思い出す作者。人は様々な体験・経験を経ながら人生を歩んでいる。
それを思い出す縁は様々ある。「逢うは別れの始め」という言葉もありますが、何かを切っ掛けに、その思い出が
鮮明に浮かび上がることがあります。作者にとっての「木槿」は「父逝きし日」を思い出す印象鮮明な花であった
に相違ないように思えます。

◎白木槿われに水子の兄ひとり

「水子の兄」の存在を知ったのはいつなのでしょうね。なかなか親は水子の存在を子に伝えることはしないと聞
いていますが、このごろ稀ですが「水子の妹」なども詠まれているようです。でも不思議なことに、兄を思うの
は女性、妹を思うのは男性という傾向があるようです。なぜなのでしょうね。この句の作者は果たしてどちらか。
興味があります。しかしそれよりも、「白木槿」がとても効果的に働いています。

◎一人づつ座るベンチや白木槿

白木槿の前に並べられたベンチなのでしょうか。「一人づつ座る」のは、関わりのない人たちなのでそうなのか。
或いは……今様のソーシャル・ディスタンスを意味するのでしょうか。白木槿の存在が時事の臭いをうまく消して
いるのかもしれませんね。

《自由題》

★やまびこも秋の色なり阿蘇五岳

阿蘇山には中核となる五つの山があり、それらを総称して阿蘇五岳と言うそうです。私は直接そこに出向いたこ
とがないので、その山々がどのような関係性にあるのか不詳ですが、紅葉の秋は美しいのでしょうね。「やまび
こも秋の色なり」の感動的な感覚も、そうした前提があってのことと思われます。

◎ゆらゆらと市電現る長崎忌

長崎市に原爆が投下された八月九日を慰霊の日、長崎忌という。暑い盛りの日。熱波が地上から揺れ昇るような、
そんな日なかを「ゆらゆらと市電現る」。やや不安な気配させ思わせる市電の出現の仕方。坂の町長崎ならでは
なのかもしれませんが、長崎忌と置かれると、何故か足下がおぼつかないような感覚に襲われます。

◎夕べにはかなかなかなと鳴きだす木

かなかなに好まれる木があるのでしょうか。決まって夕べになると、何処からかやってきたかなかなが鳴き出す
のでしょう。別に木が鳴き出すわけではないのですが、そんな錯覚を起こさせる下五。この錯覚が楽しいですね。


添削(ランクアップのために)

一句の中に無駄な言葉はないか、一句が言葉でアップアップしてはいないか、と見直すことはとても大切なことです。

・一族の墓守り続け木槿垣 → 一族の墓を守りて木槿垣

意味的にも、調べ的にも「続け」は不要と考えられます。○○年などと具体的な年数を言いたいのであれば必要でしょ
うが、ここは木槿垣が守ったということなので省略しましょう。

・新涼の風来る机上何もなく → 新涼の風の来てゐる机かな

机上に何かがあっても無くても「新涼の風」は来ているのです。五音も使って「何もなく」とは言いたくないですね。
主役は「新涼の風」。その風をしっかりと見せて欲しいものです。また「机上」も「机」で十分です。

・遠嶺へ馬柵つづく径雲の峰 → 遠嶺へと馬柵つづきをり雲の峰

馬柵のつづくその先には遠嶺が聳えています。そしてそこには雲の峰が壮大に。青・白・緑の織りなす広々とした景に
はとても魅かれます。馬柵沿いにある「径」は実景なのでしょうが、強いて一句に入れる必要はないように思われます。
でも良い景ですね。


        
戻る