10月句会結果発表
兼題の部(柿)
作 品 互選 選者選 都道府県 作者
7リヤカーに園児六名柿日和10茨城県申 女
51柿熟るるお客一人の村のバス10埼玉県桜 子
10柿熟れて母の忌日を迎えけり7愛知県コタロー
2比良山を孤高となせり吊し柿7滋賀県泥 亀
16平凡に生きる喜び柿二つ7静岡県えいちゃん
63干柿に訛り添えたる宅急便7千葉県風 聲
69歩こうかバスにしようか柿日和7福岡県宮内和彦
50柿垂るる庄屋屋敷のなまこ壁6神奈川県ドラゴン
14道を聞き枝付き柿をもらひけり6東京都小石日和
34家々に柿を灯して奈良のくに6北海道小 幸
22柿干して子ら居ぬ家の広さかな5岡山県原 洋一
58廃村やかつては柿の名産地5埼玉県立山 嶺
23甘柿や内弁慶の子は長女4沖縄県繭 子
27干柿や笑わぬ父にわらい皺4神奈川県毬 栗
78渋柿やなれど朱きは貫きて4滋賀県百合乃
80熟れ柿の落ちて歩道の抽象画4静岡県さくら
74柿を剥くちあきなおみの歌聴きつ3福岡県
15吊し柿先に野鳥に味見され3大阪府藤岡初尾
19犀の耳小さく動く柿の秋3和歌山県茫 々
33一連の数はまちまち柿簾3千葉県こごめ草
35柿の木や祖父の出自の此の辺り3北海道篤 道
38山柿の食うてみよとて背の高さ3広島県山野啓子
56柿もぎる爺のたくみな竿の先3滋賀県和 久
60月食はいま皆既なり柿の色3宮城県栗駒子
77蒼天に映ゆる白壁木守柿3兵庫県大谷如水
85晩学の実り豊かに柿の秋3神奈川県二 モ
53ぽんと置く柿のランプのごときかな2神奈川県夏 雨
1柿泥棒闇夜の村を過りけり2静岡県指田悠志
4富有柿ひと山買うて友を訪ふ2栃木県垣内孝雄
31富士を背にひとつの柿が枝残す2埼玉県郁 文
39柿食ふや子規の日記を読む夜半2東京都梧 桐
65父の里干し柿のれん伊勢街道2三重県琴 美
66山の辺の道眼下開けて柿畑2茨城県西川富美子
6和太鼓の腹に響きて柿の落つ1大阪府森 佳月
11富有柿やコントラバスの重量感1京都府せいち
17身の程を知るか知らぬか富有柿1静岡県彗 星
18山柿や法に積まるる醤油壺1三重県すかんぽ
21裃を脱ぎ「熟柿でも」義父と婿1兵庫県峰 乱里
24枝ひいて渋柿の実のほしいまま1千葉県あけび
28約まりし命梢へ子守柿1千葉県光雲2
29一瞬のさざめき聞こゆ熟柿落つ1神奈川県阿部 文彦
30おすそ分け柿の取り持つお付き合い1埼玉県祥 風
32柿を剥くにもまさかりや杣の妻1岐阜県近藤周三
36亡きあとも結ぶ柿の実数知れず1神奈川県みぃすてぃ
37叱られて泪みせまじ木守柿1神奈川県ひろ志
40山の辺の道行くどこも柿たわわ1大阪府レイコ
41廃屋にもたるる如きたわわ柿1愛知県茶ぼくさ
43貼紙に落柿注意の路地抜けり1東京都水谷博吉
46啄まれ遂に完売木守り柿1埼玉県イレーネ
47つるっぺたっ柿の実赤子のほっぺ1兵庫県幸 栄
57木守柿背なに大空控へさせ1奈良県陶 生
59楽しげに介護の話熟れ柿1東京都星 女
62柿渋を抜く間に終わる恋ひとつ1大阪府紗紗希 大河
67臥せる子に柿のお見舞ひ本家より1千葉県須藤カズコ
70渋柿の熟すを待つか鴉ども1奈良県よっこ
79土産買う温泉町の柿日和1兵庫県ケイト
81柿剥くやひたすらといふ母の背ナ1愛媛県牛太郎
84献上の身知らず柿は太郎かな1千葉県山 女
89カーテンを引けば落ちさう柿の秋1大阪府椋本望生
90妻作りたる干柿の甘さかな1広島県一 九
自由題の部
作 品 互選 選者選 都道府県 作者
143道問えば返事しそうな案山子いて20埼玉県桜 子
106身の丈の終の棲家や菊日和14東京都小石日和
152栗拾う縄文の世も今の世も11宮城県栗駒子
177秋冷や墓誌に幼き命の記8神奈川県二 モ
96正面に妻を据ゑたる温め酒7栃木県垣内孝雄
153木造の村の教会秋桜6神奈川県佐藤けい
121脇役が味を出し合う根深汁6神奈川県阿部 文彦
124補助犬の拾ふ消しゴム夜学生6岐阜県近藤周三
206後ろ手に閉める障子にある秋思6岡山県原 洋一
97秋光や円きステンドグラス窓5千葉県玉井令子
119広げたるみちのくの地図翁の忌5神奈川県毬 栗
130益荒男の菊提げて降る停留所5広島県山野啓子
148寒さうに猫がすり寄る一葉忌5滋賀県和 久
150縁側に「飛車」の競り合ふ星月夜5埼玉県立山 嶺
159日輪のいたずら心帰り花5千葉県須藤カズコ
168野仏に季節を告ぐる曼殊沙華5三重県八 郷
181山に入る茸博士のやうな子と5大阪府椋本望生
191腕組みの庭師の視線松手入5茨城県申 女
241石鹼はハートの形小鳥来る4奈良県陶 生
270秋澄むや神なる山の大鳥居4奈良県たにむら頼迪
99秋冷の空へ弔砲十九発4茨城県申 女
133穏やかな主治医の訛り秋惜しむ4愛知県茶ぼくさ
146空少し借りて三日月輝けり4神奈川県風 神
157秋の蝶付かず離れず恋路行く4三重県琴 美
173元気よき嬰の泣き声竹の春4愛媛県牛太郎
188秋桜一両列車通ふ里4栃木県垣内孝雄
234朝粥の白き輝き秋の坊4神奈川県ドラゴン
264秋雨やジャズ流れたる峠茶屋4静岡県さくら
266病む犬の温み哀しも後の月4東京都半 歩
98振り返る参道長し紅葉寺3大阪府森 佳月
108かといって固きままではおれぬ桃3静岡県えいちゃん
113さらさらと流れる水に鰯雲3兵庫県峰 乱里
122介護する喜び覚ゆ天高し3埼玉県祥 風
129痩せたるも秋刀魚じゆぶじゆぶ焼き上がる3神奈川県ひろ志
138ここかしこ外国語飛ぶ秋祭り3埼玉県イレーネ
182訓練の放水へ虹かかる秋3広島県一 九
186野の墓に日の温みあり彼岸花3滋賀県泥 亀
189秋の雨子に伝はらぬ親心3千葉県玉井令子
203無為の日や柿喰ひながら一日終ふ3和歌山県茫 々
210小さき手のそつと目隠し秋思かな3神奈川県ひろし
212鬼やんま渡る一条戻り橋3千葉県光雲2
215秋抱く山なみ静か鳶の笛3埼玉県郁 文
216秋惜しむ妣のミシンを拭き上げて3岐阜県近藤周三
238焼酎柿包む福島民報紙3神奈川県風 神
256夕されば裸木風に泣かさるる3神奈川県りゅう
166秋深し隣り木魚を叩く音2福岡県
227老いの歩を急かせるがごと赤とんぼ2東京都水谷博吉
274応援の子らの喚声天高し2広島県一 九
100風の盆ゆめまぼろしの一夜かな2千葉県山 月
103柿食へば子規の横顔ちちの顔2京都府せいち
110長き夜や来し方を鋤く魔物をり2三重県すかんぽ
112泡立ち草故郷ここに決めたのね2栃木県あきら
120牧牛の眸(め)に吹きぬけり秋の風2千葉県光雲2
123うろこ雲空のカンバス埋めにけり2埼玉県郁 文
132露寒や野々宮奥のうすあかり2大阪府レイコ
136新蕎麦を持たせて吾子を送り出す2神奈川県たかほ
145うそ寒や父の忌日の近づきて2神奈川県夏 雨
149天高し未だやつぱり無神論2奈良県陶 生
156林檎むく単身赴任の夫のもと2山口県ももこ
165白砂に散る山茶花や夕日影2長野県倉田詩子
170三井寺の鐘の一打に秋思かな2滋賀県百合乃
176目印は玄関の横酔芙蓉2千葉県山 女
183青蜜柑自然の滅ぶ一区画2愛知県いきか
187萩こぼれ来し方行く末思はるる2千葉県えだまめ
194配達員紅葉一枚連れて来る2愛知県コタロー
197挽き立てのコーヒーの香や秋深し2兵庫県葉 月
198暮れ急ぐ屋久の渡し場牡鹿鳴く2東京都小石日和
199原っぱの工事は進む草紅葉2大阪府藤岡初尾
200鰯雲手帳の文字の小さきこと2静岡県えいちゃん
201露草や人を疑ふこと知らず2静岡県彗 星
209日本史の講義抜け時代祭かな2岐阜県俳ネン
211木守柚子季語は一つで足りにけり2神奈川県毬 栗
221散紅葉箒目あとを辿りつつ2神奈川県ひろ志
229口喧嘩どちらともなく栗を剝く2神奈川県ようこ
230早早と向かいの軒に吊るし柿2埼玉県イレーネ
236日本の香りの一つ今年米2神奈川県横坂 泰
242悪友来煮っころがしと今年酒2埼玉県立山 嶺
243きれいねとやつぱり言へぬ鳥兜2東京都星 女
253思い出を十一月の波が消す2福岡県宮内和彦
259ポストへと野菊の道を急ぎたる2三重県正 耕
261芒原ひかりを揺らせ風走る2兵庫県大谷如水
93蕎麦の花村をすつぽり包む風1静岡県指田悠志
95新蕎麦を告げる貼り紙町外れ1千葉県えだまめ
101転倒の友慰めん零余子飯1栃木県荒川三歩
102ささやかに一日流るる秋の雲1愛知県コタロー
105目を覚まし一句授かる夜長かな1兵庫県葉 月
109いつまでもすったもんだの青蜜柑1静岡県彗 星
114爽やかや鎖骨に揺れるガーネット1岡山県原 洋一
115いつせいに裏返る葉や燕来る1沖縄県繭 子
117秋天やフェリー航き交ふ沖つ海1岐阜県俳ネン
118旅の夜の月や腰なき伊勢うどん1神奈川県ひろし
135街灯のともるや浮かぶこぼれ萩1東京都水谷博吉
140偏頭痛転がし霧の道走る1山形県柴五郎
141縄文の藁小屋けぶる文化の日1千葉県岩 魚
147列りて無念の桔梗手向けけり1兵庫県瞳 人
151橋数へ川底のぞき秋惜しむ1東京都星 女
154身に入むや朝から探す羽織りもの1大阪府紗紗希 大河
155秋色の風や色づく山河へと1千葉県風 聲
160朝寒をまた首横に振るニュース1愛知県ほのる
162細りゆく葉裏に菜虫太りをり1奈良県よっこ
164おでん酒二人称にて語り合ひ1神奈川県りゅう
171山茶花や給食袋鳴らしゆく1兵庫県ケイト
174鵯のひとしきり鳴き秋の風1東京都半 歩
175秋夕焼け鐘楼の景モノクロに1埼玉県千葉美知子
184カマキリの暫くの見栄蜘蛛の巣で1静岡県なな古
193老境の愚痴呟きぬそぞろ寒1栃木県荒川三歩
195新走り口当たり良き誉め言葉1京都府せいち
202熾火の香漏れ来る小径星月夜1三重県すかんぽ
207旅鳥と鷺草原をはんぶんこ1沖縄県繭 子
214芋堀やリュックに成果先生も1埼玉県祥 風
220秋澄むやここで見得切るお家芸1神奈川県みぃすてぃ
226黙々と母山積みの栗を剝く1三重県déraciné
228落書きの「mementomori」冬に入る1神奈川県たかほ
235日向ぼこ昔はよかったひとり言1埼玉県桜 子
237職人の姿は見えず松手入1神奈川県夏 雨
239睥睨し猛るは鵙の気宇なれば1兵庫県瞳 人
240落鮎の簗より跳ねて生きんとす1滋賀県和 久
244朽ち橋を渡るふるさと野紺菊1宮城県栗駒子
249天高しスマホ通信黄泉の人1三重県琴 美
250白秋忌卒業写真見返して1茨城県西川富美子
251興に入り主振る舞ふ濁り酒1千葉県須藤カズコ
254炊きたての香りも甘し今年米1奈良県よっこ
260毬栗や脛に傷もつ二つ三つ1三重県八 郷
262斧正請い眼裏に浮かぶ芒原1滋賀県百合乃
263冬めくや街ゆく人の急ぎ足1兵庫県ケイト
269眉月の追うや羽田へ最終便1神奈川県二 モ
273前山の柞紅葉に合ふ暮らし1大阪府椋本望生
275蟋蟀の足が外れて土撒かれ1愛知県いきか
選評 選者:草の花俳句会 同人会会長 服部 満

≪兼題の部:柿≫

★リヤカーに園児六名柿日和

里山に近い小さな幼稚園。今日は柿の収穫に園児が揃って出掛けます。それも通園バスなどでなく「リヤカー」で、
というのが面白いですね。「リヤカー」の一語で園の周辺の環境、園の規模などいろいろなことが目に浮かびます。
「柿日和」が、今日の行動の目的だけでなく、静かで穏やかな秋の日差しと園児等の喜びを感じさせます。

◎柿熟れて母の忌日を迎えけり

柿が熟れたこと、母の忌日を迎えたこと、この事実を静かに述べているだけなのですが、読み手の心に染み込んでく
る佳句です。お母さまはきっと柿がお好きで、毎年庭になる柿の実を楽しみにされていたのでしょう。今年も柿の実
が熟れるのを見た作者は、晩秋に逝った母を思い出し偲んでいます。亡き母へのしみじみとした愛情が感じられます。

◎柿垂るる庄屋屋敷のなまこ壁

なまこ壁の土蔵などが古い町並みの一画によく見られます。ここでは庄屋屋敷。立派に保存されているのでしょう。
庄屋の広い庭には大きな柿の木が育っており、たわわに実った柿がなまこ壁に影をなしています。幾時代をも経た大
きな庄屋屋敷にふさわしい、堂々たる柿の数々です。


≪自由題の部≫

★栗拾う縄文の世も今の世も

縄文遺跡からも炭化した栗が見つかっており、その頃から栗は栽培されていたと言われます。夢中で栗拾いをしてい
た作者はふと気づきます、大昔、例えば縄文の人々も今の自分と同じように栗拾いをしていたんだろうなと。腰を伸
ばして、遠くを見やるような作者のまなざしが目に浮かびます。この想像力が掲句を楽しくしています。

◎秋光や円きステンドグラス窓

日差しの透けるステンドグラスを室内から眺めるとほんとうに美しい。ここでは円窓ですから、古い洋館などかも知
れません。作者は窓のステンドグラスの明るい色彩を通して透明な秋日の光りを感じています。この句の「秋光」は
ステンドグラスを介することで洒落た美しさを感じさせます。

◎木造の村の教会秋桜

全国あちこちに残る木造教会には、歴史を経た文化財級のものも多いでしょう。ここは「村」の教会ですから、けっ
して大規模なものではないかも知れません。辺りに咲くコスモスが穏やかな村の情景を思わせ、木造教会を守ってき
た村人の敬虔な信仰心がうかがえます。村の木造教会と秋桜の取合わせが絵画のようです。

        
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