9月句会投句一覧
兼題の部(渡り鳥)
1携帯に通話圏外渡り鳥2伊吹嶺を越えてしなやか鳥渡る
3渡り鳥群れてはなれてまた群れて4渡り鳥コロナのことを知らぬげに
5渡り鳥羽を休むる干潟かな6渡り鳥薄暮の湖に影となる
7暮るるには間のある湖に渡り鳥8湖のひかり目指して鳥渡る
9ゴッホの絵広重の絵や鳥渡る10鳥渡る利根の大空切り取りて
11引綱で参る守護神渡り鳥12渡り鳥等間隔に欄干に
13地図に描く赤き道筋鳥渡る14被災地の空一杯に渡り鳥
15涼新た砕氷艦の寄港して16海に浮く朱の回廊や鳥渡る
17渡り鳥地軸は少しずれてをり18北海の波遥かより渡り鳥
19生来の露西亜贔屓や渡り鳥20山煙る田にせかせかと渡り鳥
21賀茂の風この地この川鳥渡る22裕さんの笑顔で待ちぬ渡り鳥
23枕にも一夜の風や渡り鳥24渡り鳥別れを惜しみこゑ細る
25敷島の水ある処鳥渡る26鳥渡る白地のままの広告塔
27生ありて望郷の地へ鳥渡る28尾根道は一人の道や鳥渡る
29渡り鳥いつ故里へ帰るやら30渡り鳥つかず離れずてんでんに
31パスポートなどは要らない渡り鳥32天空の雲のさざ波小鳥来る
33しののめの新宿御苑鳥渡る34旅心誘いよせるや渡り鳥
35鳥渡る紙飛行機の型をして36渡りくる鳥に勢い水面たつ
37暁のアルプス越ゆる渡り鳥38鳥雲の影濃くなりくるや北の空
39補陀落の山のあたりや渡り鳥40鳥渡る雲行き速しオホーツク
41震災の煉瓦遺構や鳥渡る42鳥渡る茜の空を曳きながら
43陣立てに躊躇い見せて鳥渡る44渡り鳥ステイホームの軒掠め
45リハビリの我を見やるか渡り鳥46大海は宇宙の涙鳥渡る
47学校へ揺るる吊橋鳥渡る48燦々と端山の落暉鳥渡る
49頼もしや先頭を行く渡り鳥50渡り鳥南さしたる羅針盤
51暮初むる北の大地や鳥帰る52北国やたんぼに群れし渡り鳥
53空に描く幾何学模様渡り鳥54「アッ」と子が空に叫ぶや鳥渡る
55鳥渡る投句箱置く無人駅56野良の背を伸ばせば遥か鳥渡る
57ギターの音流れる丘に鳥渡る58渡る鳥クレーンは伸びて示しおり
59人生に余生など無し鳥渡る60鳥渡る銀座和光の時計塔
61年毎に何か変はれど鳥渡る62動き出す体内ジャイロ鳥渡る
63園児らの指呼する空を鳥渡る64大阿蘇を越へて一群渡り鳥
65渡り鳥ひたに翼をはためかせ66鳥渡る望遠レンズの列なして
67長旅や子らは覚悟の渡り鳥68鳥渡る横田滋氏悼むとき
69車椅子に妻と土産や鳥渡る70渡り鳥雲の深きを突き抜けて
71まるちゃんと叫ぶインコに小鳥来る72玄海の茜の空へ鳥渡る
73桟橋の揺るる入り江や渡り鳥74鳥渡るいま残照の前穂高
75鳥渡る自粛の窓に写る顔76赴任地の異国の朝を鳥渡る
77サックスのベルの向かうに渡り鳥78秋風に今年は古い寺で逢う
79コンビニのおでんの表示鳥渡る80失恋を抱きしめる日や鳥渡る
81雨も風も承知ひたすら鳥渡る82円墳に登りて立てば鳥渡る
83鳥渡る長の消息聞かずとも84渡り鳥見えぬ高さにやつて来る
85新宿も人種のるつぼ鳥渡る86再会の登山電車よ鳥渡る
87灯台のほとんど消えて渡り鳥88藩公の大きな墓石鳥渡る
89鳥渡る山の端離れがたきかな90鳥渡るふる里で待つ母のをり
91思ふまま生きて夕暮れ渡り鳥92渡り鳥今年も同じ場所に来る
93大敗の試合終盤鳥渡る94大夕日影絵の如く鳥渡る
95空色の湖の日和や鳥渡る96見たきもの大空をゆく渡り鳥
97海青し空また青し渡り鳥98籠り居る小さき窓や鳥渡る
99夕焼けの雲に消ゆるや渡り鳥100渡り鳥日光浴に集ひけり
101修理屋のにわか繁盛鳥雲に102原発を月夜に越ゆる渡り鳥
103渡り鳥空に切れ目のあるごとく  
自由題の部
104秋暑し草の匂へる散歩道105蜩や鎮守の森の子ら帰る
106人生の紆余曲折やみみず鳴く107青春を刻みし街の地蔵盆
108秋気澄む九頭龍神の手水かな109秋の灯やオンザロックにスロージャズ
110不器用な着地いじらし秋の蚊よ111ひらがなのごと雲流れ野分後
112先生は純情なひと赤とんぼ113朱に燃ゆ千本鳥居秋麗
114葛嵐ごめの幼鳥顔寄せて115遠き日の父母のしぐさや盆の月
116五メートルの海抜表示草の花117敬老の日の祖父目の前のケーキ消す
118山々を超えて連なる入道雲119潮待の浦に月待つ渡船かな
120口笛で冷やかしてやる穴惑い121禁札のこれよりの先秋蛍
122いちおうは敬せられおり敬老日123原爆忌海水浴中合掌す
124玻璃越しの面会終えて萩の風125故郷に納税するや新米で
126杖の身を引きずる道や椿の実127渡り鳥世間を狭く老いゆけり
128コスモスの風の余韻といふ揺らぎ129源流の大夕焼に発つ大河
130黄昏て生をかみしめ干す新酒131葡萄呑む幼は黒き瞳もつ
132あんぱんの餡は粒餡子規忌かな133ソの音の歪むハモニカ赤とんぼ
134独り居の玻璃戸を叩く秋簾135宵闇や逢ひたき人に逢ひにゆく
136洋館の重き扉や星月夜137争いも生きる証や柿紅葉
138をかつぱの一人二役赤まんま139神苑の手水に覚ゆ秋便り
140梢吹くそよぎも見えぬ夏の夕141笛の音の澄みわたりける良夜かな
142賛美歌とステンドグラス秋高し143秋場所や隅田を渡る振れ太鼓
144空ばかり見ないでと君良夜かな145木戸を押す風の軽さや秋の朝
146鱗雲見上げて尿の出るを待つ147手捻りの歪な器新酒酌む
148「山月記」閉じて見上げる月に虎149廃校の夜の静寂や稲光
150布団干し年並みにくる辛さかな151釣船草底まであをき山の池
152杉の香や山霧はしる県ざかひ153栗の皮剥く指痛し栗おこは
154掌にメモの二文字秋彼岸155味噌蔵の梁の煤けや新走
156夕月夜シェイクスピアの生家かな157泥沼に蓮の花咲く俗世かな
158百号の裸婦入り口に美術展159少年にまた追い越され秋の蝉
160新米に偲ぶ父の背母の胸161みちのくは色づく紅葉二人旅
162鐘楼の柱踏ん張る野分かな163新涼や一匙ずつの離乳食
164北斎の樽絵の富士や秋の風165旧家ある街に迷ひて鶏頭花
166雲海の底に明けゆく阿蘇の郷167定刻に船笛響く秋彼岸
168秋天や芝生に二つ白い椅子169手を振れば蜜柑色なり秋夕焼け
170秋雷や声を掛け合ひ雨宿り171絵馬に見る浮世憂き世や虫時雨
172「何糞」を座右の銘に夜学生173虫喰いの過去帳見つけ盆支度
174山彦の渡る広野の男郎花175ボサノバの流れ阿寒湖水澄めり
176手作りの魚扠もて鰍追ひにけり177連れ添へる孫の背高し秋彼岸
178銀河濃しさがす名水上総掘り179ブランコを風だけがこぎ曼殊沙華
180花野行けばニ短調の風吹けり181稲架を組む茜の富士を隠しつつ
182息を止めコオロギになる草の原183札束を手提げ袋に秋暑し
184テキーラの似合ふ妄想朝月夜185鳥眠る夜も働くや鳥威し
186薫風や花頭窓より見る羅漢187旅の衣の甲斐無く冷ゆる下半身
188朽ちかけた水車の屋根に草の花189寒蝉や幼なじみの自死の報
190台風過棋友の孫に揺さぶられ191ポケットに持ち帰られし秋ひとつ
192昇開橋だんだん上がり震災忌193芋煮会流木の束積み上げて
194初潮や年中無休の渡し舟195夜半の秋辞書に馬齢の文字探す
196母待つや園庭脇の秋桜197初秋や超えてはならぬ事もある
198草の花生きる単位を測りかね199秋分や大きな秋はまだ遠く
200台風や無口な起居の日となりぬ201秋晴れの空に届けや子らのこゑ
202東京に村あり石榴割れてをり203曼珠沙華思わぬ人と逢いにけり
204秋津群るるや母と子は鬼ごつこ205窯の火にピザ育まる秋暑し
206赤とんぼ止まる石垣野づら積み207マヤ文字の丸く尖るや唐辛子
208九月尽原稿用紙使い切る209道端に線香とぼる盂蘭盆会
210祖母の忌の近づき秋の草が伸び211唐辛子うそはつかねど真っ赤なり
212敬老日水より淡きオブラート213ロープウェイ粧ふ山に溶けこめり
214秋の夕帰宅促すチャイム音215月白や変わらぬ時を漫然と
216名月や御用御用と子のさけぶ217日が射してゐる台風の水たまり
218手に馴れし歳時記ひらく夜長かな219花野より色褪せ夫と犬現るる
220あな嬉し今宵くっきり天の川221月朧風の電話の君の声
222繋がってハートを描く蜻蛉かな223渡り鳥壊れしままの村の橋
224手影絵のこんこん狐良夜かな225唐辛子筵一面夕日色
226秋野菜イベント一つテント村227天近き辺りに花や古ル木槿
228台風禍鳥の巣だけは覗かれず229還暦の一喜一憂秋の風
230会う度に慣れましたかと秋入社231二人ずれ一人遅れて落葉蹴る
232きつつきや杖のかつかつ山の磴233コスモスの咲けば途端に揺れ始む
234重陽の湯船に揺らぐ齢かな235十月や時空を超えて読書旅
236回転の重き地球や野分後237鬼貫の句集繙き新酒酌む
238右手では掴めぬ右手月の雨239一陣の風が友達蕎麦の花
240銀色のリボン束ねて天の川241十六夜や人体模型瑠璃光り
242耳に入る郷のなまりや菊供養243朝顔にたつぷり水撒き退院す
244夕さりに風もちくるや秋の声245あの庭に此の庭に咲く百日紅
246早稲の秋棚田に落つる夕陽かな247天高し村にひともと大欅
248コスモスの道をたどりて里神楽249この村にむかしの暮し秋立てり
250無花果の裂けて故郷を思いけり251木漏れ日や森の底なる毒茸
252売り切れし無人スタンド芙蓉盛る253白杖を導く雀秋彼岸
254妻を待つ暫しのベンチ金木犀255夕月夜川霧揺らぐ旅の宿
256秋風裡蔓人参の白き鐘257子規の庭九月の風を綾なすも
258敬老の日や衣服断捨離箱二つ259尼寺のうすき日影に秋の蝶
260夕暮れの棚田の畔や曼殊沙華261秋鯖に塩振る指の節くれて
262久々の幼馴染や金木犀263霧雨や集落けぶる白川郷
264鰯雲恋の欠片のあれやこれ265とりあえず「はい」と応えて敬老日
266母を看る弟と酌む夜の秋267朝顔やカラフルな傘一列に
268オホーツクの海へとつづく大花野ダイハナノ269長き夜や哲学者めくベーシスト
270野に描く音符の如し吾亦紅271さはさはと揺るるさ緑竹の春
272無蓋車の一団去りぬ秋祭273台風過ほかほか飯にとく卵
274青信号先頭すすむあきつかな275桜葉の落ちて広がる空の色
276虫の音にひかれて歩む夢路かな277師の技を盗む弟子の眼松手入
278職歴はサラリーマンや鳥渡る279草ぐさを活けて月待つ息づかい
280つらなりて鯉ぬふてゆく秋の水コイアキミズ281厨より火種もろうて苧殻焚く
282日没の迫る畑の残りの蚊283望の夜や円窓覗くナルキッソス
284高層の煙を立てぬ秋刀魚かな285グランドにへのへのもへじ運動会
286風を待つバンジージャンプ身にぞ入む287赤とんぼ夕陽に染まり空となる
288値を下げて売らるる供花や漫ろ寒289初孫の生まれし午後や小鳥来る
290黙すほど胸騒がしき夜長かな291自粛して変化なき日々百日紅
292朝寒の階段なだる通学生293草の実や今年の記憶たどる色
294お笑ひと食歩きの国すきま風295手短に無沙汰を詫ぶる盆の月
296地下街の出口間違え十三夜297ばんからも逝ってしまへり酔芙蓉
298綿摘の恵比寿のごとき袋背に299法要の終る菩提寺昼の虫
300敬老の日や連れ合いの靴磨く301一本の遊び道具や猫じゃらし
302初秋の嬉しい便り読み返す303接戦の大玉送り秋高し
304銀の波すすきの揺れに風を見ゆ305秋灯や万年筆の黒き軸
306秋冷の音楽会やオンライン307あぶれ蚊に刺され日曜座禅会
308新米の一噛みごとの和みかな309メール来てうれしかなしや敬老日
310磯の香の道を過ぎれば盆休み311秋夕焼かんぬき軽き土蔵かな
312野分来て別れ話を蒸し返す313九月逝く七枚全て使い切る
〔選句方法〕 選句数が変わりました!!

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「選句」を選び、
  兼題より  2句
  自由題より 4句
   計    6句
を選択し、都道府県名・氏名(俳号可)を明記の上、「送信する」
ボタンを押してください。

選句〆切:10月27日(火)、発表は10月31日(土)に行います。

なお、一部の漢字はネット上では正しく表記されず、
「?」で示されますので、読みを入れてあります。
        
8月句会結果発表
兼題の部(残暑)
作 品 互選 選者選 都道府県 作者
32電柱の影でバス待つ残暑かな4大阪府
42夏暑し少し濃い目に眉を描く4埼玉県桜子
84秋暑しゆるゆる回る風見鶏4熊本県蕗の薹
56寸借の厠に残る暑さかな3岐阜県色即是句
35弘法の湧き水旨き残暑かな3東京都藤方昭男
43蛇口から残暑放ちて水を撒く3東京都千晴
81芝居跳ね残暑の中へ押し出さる3静岡県かいこ
96焦げくさき踏切渡る残暑かな3滋賀県和久
100理不尽に怒られてゐる残暑かな3群馬県
93居座りの小言幸兵衛秋暑し2千葉県珍竹
17秋暑し城の櫓の黒き影2和歌山県茫々
62子には子の憤りあり秋暑し2兵庫県峰 乱里
109幾重にも蜘蛛の巣かかる残暑かな2広島県新宅 俊
2秋暑し鉄の匂ひの鍛冶屋かな2愛知県草木
6始業式学舎に残る暑さかな2千葉県玉井令子
9奥津城の供花の朽葉や秋暑し2兵庫県除門喜柊
18秋暑し一日おきの畑仕事2兵庫県鈍愚狸
21秋暑しいびつに丸のつく暦2静岡県指田悠志
33秋暑し高架の下にスプレー画2神奈川県ひろし
37志望校決めかねている残暑かな2三重県déraciné
45古書店にばら積みの本残暑なほ2神奈川県ドラゴン
52秋暑し鏡のわれのムンク面2岐阜県近藤周三
55豚骨の匂ふ店先残暑かな2神奈川県風神
58槍穂高載せて残暑の見舞あり2神奈川県横坂 泰
59ぎしと鳴る空家に残る暑さかな2茨城県申女
66何べんも妻の顔見る残暑かな2奈良県陶生
70秋暑し影絵の街の屋形舟2神奈川県みぃすてぃ
78熱き茶を啜りて残暑やり過ごし2埼玉県まこ
80残暑にも入口あれば出口あり2三重県八郷
82鋭角に肌突き抜けて来る残暑2群馬県劔持 志楽
99被災家具まだ片づかず秋暑し2兵庫県大谷如水
106この年は身にひときわの残暑かな1奈良県たにむら
4孫と風呂じゅげむじゅげむと残暑かな1滋賀県百合乃
7通過するエレベーターの残暑かな1奈良県風来
11夕暮れて息吹き返す残暑かな1茨城県逸光
12草の葉の細くなりゆく残暑かな1京都府花子
14廃棄物積み上がりゆく残暑かな1京都府せいち
15青春を刻んだ街の残暑かな1滋賀県正男
19電線の鳥は尻向け秋暑し1千葉県あけび庵
24ジグザグに前髪切りて残暑かな1長崎県みんと
26須弥壇の忿怒の仁王秋暑し1静岡県彗星
36キューピーのパンツ一枚残暑かな1栃木県あきら
46曇天へ爆音鈍き残暑かな1神奈川県たかほ
49コロナ禍に追い打ちかける残暑かな1神奈川県阿部文彦
50古本屋の漫画の反りや街残暑1静岡県
68牛飼ひの娘の化粧秋暑し1静岡県
76原発の外壁(かべ)の白さや秋暑し1神奈川県志保川有
77秋暑き山門に吊る大草鞋1静岡県春生
83飼い猫も居場所を探す残暑かな1大阪府光吉元昭
86銭湯の暖簾の垂るる残暑かな1三重県正耕
89秋暑し父の繕ふ四手網1千葉県みさえ
95山にゐて海を眺むる残暑かな1東京都
98筆圧の強き作文秋暑し1広島県林 己紀男
101過ぎ去れば懐かしくあり残暑かな1東京都谷澤 慎一郎
105をちこちに白き曳き波秋暑し1広島県一九
108歳をとるほどに応える残暑かな1兵庫県ぐずみ
自由題の部
作 品 互選 選者選 都道府県 作者
166草をまづ抜くことよりの墓参かな6岐阜県色即是句
122ほどほどのよき一日や酔芙蓉5東京都小石日和
234秋簾あたりさはりのない話5滋賀県正男
259木の実降る村の混声合唱部5福岡県宮内 和彦
201新涼や乳房の重き牛の群れ5静岡県さくら
208道草の確かな証し牛膝5広島県林 己紀男
264夏蒲団干されて村はがらんどう5栃木県荒川三歩
214夕焼けの終わりの色を惜しみけり4北海道沢田千賀子
117露草の藍をのこして暮れなずむ4埼玉県アポロン
136割り算の余りの二つさくらんぼ4静岡県彗星
281酢加減の決まりて母の胡瓜揉4千葉県須藤カズコ
328大川に渡しの石碑銀やんま4兵庫県ぐずみ
295爽やかやインコを肩にスクワット3北海道小幸
205七曜を蓑虫ぶらりぶらりかな3東京都
173草笛を響かせ過ぐる野球帽3埼玉県グレイス
180蜩や病衣畳んで仰ぐ空3神奈川県みぃすてぃ
181すれ違ふやはらかき胸夏帽子3埼玉県夜舟
187新米を抱いて定時の帰宅かな3静岡県春生
218大正のいくさ話や西瓜切る3兵庫県ぐずみ
255すすき野を出でて丹沢そして富士3東京都藤方昭男
279駅弁は母への土産涼新た3茨城県申女
326山の湯に身を委ぬれば虫時雨3奈良県たにむら
188庭石菖陽射しの中の雀どち2埼玉県まこ
276立秋や尾根きはやかに比良比叡2岐阜県色即是句
111ジーンズのなぜに穴ある秋の風2愛知県草木
112秋暑し伊根の舟屋の物干し場2栃木県垣内孝雄
113閂のかるき菩提寺盆の月2滋賀県百合乃
120蟷螂や頑固親父のごとく生き2茨城県逸光
127暮れ残る日にひぐらしの山家かな2兵庫県鈍愚狸
133空襲のあとは噴水令和二年2長崎県みんと
137藍染の暖簾を架けて秋に入る2東京都水谷博吉
138正調も破調もをりし法師蝉2神奈川県松 良雪
143蜩や森の奥へと誘はれて2神奈川県ひろし
145落ち蝉を土に戻して優しき子2東京都藤方昭男
149叱られて海月になって消へにけり2福岡県宮内 和彦
151大噴水ぐいと天空押し上げて2京都府しげお
157鬼灯や日に老班の浮かび来る2広島県山野啓子
182銀河より電波の有りや猫の髭2長野県宮澤俊幸
185友の訃報日に日にさみし無月かな2北海道小幸
186啄木も太宰も知らぬ老いの秋2神奈川県志保川有
194漱石も超えし峠や竹の春2熊本県蕗の薹
206鎌倉をこぞつて鳴ける法師蝉2滋賀県和久
221蜩や猫は何度も顔洗ふ2愛知県草木
229朝涼や鉄の門扉の黒光り2千葉県えだまめ
235孫悟空飛んで来そうな雲の峰2愛知県コタロー
267腕時計要らぬ暮らしや麦の秋2広島県山野啓子
274処暑の朝うなじを撫でる風のあり2大阪府レイコ
275空を手でつつむがごとく蓮の花2神奈川県風神
283たまさかの風に流され墨とんぼ2埼玉県グレイス
286シャンプーの香り仄かや夜這星2奈良県陶生
288八月の蛇口湯を噴く夕厨2静岡県
297わだつみの声を聞きゐる赤のまま2静岡県春生
300秋耕の今年限りと鍬を執る2三重県八郷
319庶民には口には出来ぬ秋刀魚かな2兵庫県大谷如水
270母ここにゐますがごとく盆祭1静岡県
114初蝦蛄を圧力鍋に放り込み1北海道三泊みなと
115流星と見紛う宇宙ステーション1千葉県玉井令子
116地下出れば方向失せぬ西日かな1奈良県風来
118今年また結び直して願ひの糸1兵庫県除門喜柊
123八月やページ繰るごと重くなる1京都府せいち
128思い出も妻の手のなか蝉の殻1千葉県あけび庵
134籐椅子に深きへこみの父の跡1埼玉県郁文
144原爆忌祈りを捧ぐ母子かな1兵庫県夢想庵主人
146おしろいの花の前あるポストかな1栃木県あきら
156ベランダの影入れ替わる星月夜1神奈川県たかほ
158秋暑し人語を運ぶ夜風かな1北海道篤道
161汗かきの僧のひと息さるすべり1京都府福井茶衣
164八朔の朝の打ち水下駄の音1大阪府レイコ
165海峡の銀河渡るや連絡船1神奈川県風神
169等分に切れぬ西瓜や子供会1茨城県申女
170昨夜の雨宿し犬蓼撓みけり1福岡県みつぐ
172君が住む島へ流るや天の川1兵庫県峰 乱里
190滴りの岩根を穿つ静寂かな1三重県八郷
191孫膝に昔話や天の川1静岡県かいこ
193熊蟬の大往生やビルの谷1大阪府光吉元昭
195木下闇猫の集まる昼下がり1愛媛県牛太郎
196旅客機の減りたる空や秋茄子1三重県正耕
198富士仰ぎミルクたつぷりかき氷1静岡県こいちゃん
204河鹿笛水琴窟の高き音1静岡県えいちゃん
212愛国でなく憂国のとろろ汁1千葉県蘆空
213繰り返すニュースに飽きて虫の声1大阪府椋本望生
215送り火や英霊のこゑ今もなほ1広島県一九
216望郷の想ひの空の流れ星1奈良県たにむら
219人絶えて久しき庭や草いきれ1広島県新宅 俊
222道のべの地蔵つつまし花木槿1栃木県垣内孝雄
224耳に手を添へて初蝉聴きゐたり1北海道三泊みなと
225ひと房のずしりとしたりぶどう狩り1千葉県玉井令子
227名刹の鐘の音にぶき晩夏かな1埼玉県アポロン
233静寂を耐へかねたかに鉦叩1京都府せいち
243入道雲モデルハウスの跡地かな1長崎県みんと
253総出して水たつぷりと墓洗ふ1神奈川県ひろし
260関節にほのかな湿り感じ処暑1埼玉県ささき良月
265何もなく過ぐるひと日や敗戦忌1神奈川県ドラゴン
266子供らに水のにほひの夏祭1神奈川県たかほ
277大夕焼け整備士手を振る滑走路1福岡県Shin
287雨上がり錆の匂いの厄日かな1兵庫県ケイト
291霊前に塩一つまみ新ばしり1埼玉県夜舟
303寺田屋の畳み涼しや足の裏1大阪府光吉元昭
304赤のまま汀女愛せし江津湖畔1熊本県蕗の薹
307竜胆や墓に雀の足の跡1福岡県蛍川
316桐一葉かすかな音を立てて落つ1滋賀県和久
323走り来て秋の風受くロダン像1大阪府椋本望生
選評 選者:草の花俳句会 副主宰 鈴木五鈴(すずきごれい)

《兼題の部:残暑》

★寸借の厠に残る暑さかな

 どちらへか観光にでも出かけられたのでしょうか。「寸借の厠」は、冷房の完備されたホテル等は想定しづらく、
寺社や公園などに設置された厠のように思われます。あまり風通しも良くないのでしょうね。むっとする暑さを思い
ます。こうして説明すると品が落ちますが、掲句の良さはそれを感じさせずに残暑を詠みきった点にもあります。

◎居座りの小言幸兵衛秋暑し

 ぐちぐちといつまでも小言を言い続ける癖の人はいます。いやですねえ。かといって言い訳でもすれば藪蛇。
しかし、「秋暑し」とは感じつつも、この小言幸兵衛氏は作者と近しい関係の人のようにも思えますが。

◎この年は身にひときはの残暑かな

 毎年、掲句のような思いに捕らわれるのは作者だけではあるまいと思います。今年の八月は猛暑日のオンパレード。
まさに「ひときはの残暑」でした。

《自由題の部》

★爽やかやインコを肩にスクワット

 こうした句を読むとほっとします。体調を維持するためのスクワットに励みつつも「インコを肩に」。微笑ましい
景ですね。「爽やかや」がとても優しく働いており、読み手の心をも癒してくれそうです。

◎ほどほどのよき一日や酔芙蓉

 おそらく殆どの人の日常は「ほどほどのよき一日」のはずです。なかなか小説等の題材になるような事件の当事者
になることはめったにないことでしょう。それでも朝方に白く咲き出した酔芙蓉が、夕暮れには何事もなかったかの
ように赤みを帯びて美しく変じている姿を見るにつけ、「ほどほどによき一日や」がふと口をついて出てきたのでは
ないでしょうか。

◎七曜を蓑虫ぶらりぶらりかな

 「ぶらりぶらり」のオノマトペが良いですね。ぶらさがりの人生を生きる蓑虫の日常が思われます。そしてその日
常を「七曜」という言葉で表しました。鯛焼き君の歌ではありませんが、「毎日毎日・・・ぶらりぶらりかな」なの
です。とても素敵な切り口の句でした。


添削(ランクアップのために)

相変わらず今月も「し」の誤用が目に付きました。もう一度、ご注意申し上げます。
かつては過去から現在までの時間を表す助動詞が「き、けり、ぬ、つ、たり、り」の六種あったものが、近代になると
「~た」一つになってしまったための弊害ではありますが、今の人たちは現代語の「~た」を、単純に「~し(き)」
で良いのだと思ってしまっているようです。皆さまは、是非「し」の病を克服されるようお願い申しあげます。

・廃棄物積み上がりゆく残暑かな → 秋暑し屋根を越えたる廃棄物

廃棄物の山は、見るだけでも暑苦しいですね。単なる暑さよりも「残暑かな」は共感できます。しかし「積み上がり
ゆく」はどうでしょうか。「積む」「上がる」「ゆく」のように動詞の連結が句をだらけさせるのです。複合動詞で
説明するよりも、具体的な景で示す方が説得力は増します。添削句を参考になさってください。

・原爆忌狂ほしきほど蝉鳴けり → 原爆忌狂ほしきほど蝉の鳴き

元の句は、原爆忌「なので」蝉が鳴いている、というように、理屈・因果を感じさせてしまいます。それを排除する
ためには、「原爆忌」を一句の主役として自立させ、下五まで読んだら、再び「原爆忌」へと思いを戻させることが
重要となります。そうなのです、この型は、何度でも循環運動が可能になる手法なのです。下五で読み捨てない型だ
とご記憶ください。

・君が住む島へ流るや天の川 → 君の住む島へ渡らん天の川

元の句では「流る」の主体が曖昧になっています。その原因は「流る」が終止形であり、さらに重ねるように「や」で
切ってしまっているからです。おそらく作者は、天の川が流れている、と詠みたかったのではないでしょうか。それな
らば「流る」は「流るる」として直接天の川につなげるべきだったのです。しかし、評者の添削句は、天の川を見上げ
ながら、渡っていきたいという作者の思いを主体にすべく直してみたものです。参考まで……。
        
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