1月句会投句一覧
兼題の部(寒卵)
1寒卵四週間の処方箋2一点に空気張り詰め寒卵
3鍋うどん真中へ落とす寒卵4寒卵今朝またもらう命かな
5我といふ小さきひかり寒卵6茶碗蒸しせがむ子の指す寒卵
7敷き藁に湯気立つ朝や寒卵8一歳のうまく割たる寒卵
9寒卵母が遠路の土産とて10陽にかざし命透かすや寒卵
11卓囲む童の笑顔寒卵12寒卵飯の窪みに落としけり
13寒卵ひときわ黄身の盛り上がる14手に受くる産みたてと言ふ寒卵
15一瞬の覚醒喉に寒卵16寒卵手に蘊蓄を聞かせらる
17寒卵パンと一菜モーニング18寒卵鳥インフルの流行りけり
19木曽谷の杣目指す子や寒卵20マーラーを聴き寒卵茹でており
21いただくや命の連鎖寒卵22起上がり小法師の一日寒卵
23四つ焼くよりの戻りて寒卵24新妻の半熟固き寒卵
25寒卵納豆めかぶ免疫力26寒卵手に乗る命温かし
27寒卵産みし鶏(にわとり)庭駆ける28ばあちやんはいつも味方よ寒卵
29記念日の男の子の朝餉寒卵30床につく母に一口寒卵
31寒卵己の来し方むきてみる32寒卵ひかりの黄身の重きこと
33寒卵黄身のひかりを透かし見る34寒卵木々の高みへ猛禽来
35頂きの今日でなくなる寒卵36寒卵割る指先に黄身の比重
37炊き立ての御飯の上に寒卵38今朝もまた圧力鍋や寒卵
39童女の手にぬくもりつつむ寒卵40寒卵の黄が口の端に児が笑ふ
41鳥小屋にまだ温かし寒卵42寒卵両手温めし幼き日
43朝採りの光り集めて寒卵44我が朝の定番料理寒卵
45寒卵口を拭って見得を切り46身に適ふ一と日一個の寒卵
47寒卵弁当箱と母の声48シンボルの塔の灯消えぬ寒卵
49寒卵並べてステイホームかな50寒卵そーとそとと三つ置く
51筋トレを励みてあとの寒卵52親指に殻の疼きや寒卵
53コロナ禍の免疫強化寒卵54フライパンダンスしている寒卵
55食卓に滋養つけよと寒卵56寒卵殻割る音のいさぎよき
57寒卵割つて飯粒輝かす58頬を染めて子らの採りくる寒卵
59校庭の隅の鶏舎の寒卵60宇宙より軌道外れて寒卵
61平らかに二人の暮し寒卵62てんこ盛り熱々ご飯寒卵
63寒卵二つ置かれる老いの朝64初卵の温もり残る寒卵
65生と死のはざまに揺れし寒卵66寒卵寒さのせいか縮こまり
67鞍馬越え暗き小祠に寒卵68鶏小屋の寒の卵を手につつみ
69渡されしゴディバの袋寒卵70父母逝きて半世紀過ぐ寒卵
71寒卵のこの地に降りて人助く72麦飯に落して今朝の寒卵
73けふも食ぶ異国の暮らし寒卵74玻璃越しの海にびいろに寒卵
75寒卵八十路の坂は孤独なり76素饂飩の盆にふたっつ寒卵
77古里の朝日を奢る寒卵78寒卵のせて日の丸飯となり
79嬰児の頬の明かりや寒卵80寒卵良い音のして良い日和
81平凡を楽しむひとひ寒卵82二十三度傾く地軸寒卵
83手の中に温み残して寒卵84老妻の腕の細さや寒卵
85吾も割る幼児握れる寒卵86けふも又言はず語らず寒卵
87朝食の熱々ごはんに寒卵88小躍りす二子の黄身や寒卵
89熱ッ飯に黄身隆々と寒卵90出勤を励ます固き寒卵
91手のひらに残る温もり寒卵92寒卵亡き母の味かけご飯
93爺の飼ふ鶏は元気や寒卵94気まずさを割れば無心の寒卵
95寒卵はんぶんこしてあねおとと96産みたての微かな温み寒卵
97朝採りの黄身盛り上がる寒卵98寒卵ひとつを立ててコロンブス
99親鶏にも親心あり寒卵100寒卵飽きたといえぬ弁当に
101寒卵飯にかけ早朝勤務102今年古希なる妻や寒卵
103牡蠣ソース掛けて寒卵が主役104山あひに呑気に暮らし寒卵
105寒卵割る講宿の馳走かな106いざ決戦飯に生み立て寒卵
自由題の部
107連れ立ちの表参道初詣108枯れ枝で世間笑うや群れ鴉
109庭石の凹に光るうす氷110年の瀬の闇夜に走る赤バイク
111毛皮の子銭湯に来てしまひけり112雪掻きや何処に捨てても白ばかり
113木漏れ日を集めて一処初箒114雪折れの水仙の香のひとところ
115枯蓮や水面の空は青一色116水鳥や一巨の花を湖に置き
117降る雪に確かな重さ埋もれ草118初夢や機上の日付変更線
119読み返す賀状恩師の筆の文字120粕汁を啜り明日へ昂りを
121茶の花の宵の香りに母逝きぬ122ただ今と寒さをつれて帰宅せり
123雪を漕ぐ一列の黙愛しみけり124枯れに枯れなほ美しき枯れ木かな
125消防服滑り込みたり成人式126石垣の隙間を抜け来る冬の声
127一月の風に吹かれてみだれ髪128凍空に松本城の勇み立つ
129酔覚めの水を頒ちて室の花130若菜摘じじばば揃ひの頬被り
131書初めや子の指先も墨の痕132妻に問ひ傾き直す初暦
133初ミサや鉤鼻のいて丸顔も134長堤に跳ねる魚の絵冬の雲
135初御空降りてきさうな七福神136みぞれ降る今朝の静かき厨かな
137花頭窓白侘助の影おきて138月冴ゆる小さき窓の無人駅
139煌めきのシャンパングラス冬銀河140元朝の弦を離るるへろへろ矢
141一本の氷柱となりぬ雫かな142月刊誌届く日の朝実千両
143着ぶくれと嘘つく夫の太鼓腹144腕まくりの妻が新巻介錯す
145大晦日鉛筆けづる肥後守146お降りのにはかが嬉しくつろぎぬ
147瞬く目や初霜の陽の光148温かき言葉を載せて年賀状
149万両にふんわりそえた綿帽子150巻きぐせを直して掛くる初暦
151神頼む見切りをつけてどんど焼き152冬ざれの街を揺らして救急車
153枝渡る羽音のありて春近し154別れ文混ぜてけむたし落葉焚き
155昼の酒咎めは無しの三ヶ日156片折れの耳も好ささう雪うさぎ
157王陵の谷の深さや笹子の鳴く158亡き人のふと紫煙の香春浅し
159大寒の潮膨らみて崩れけり160亡き家族思い浮かべて初詣
161真つ先に連休さがす新暦162白梅の飛び込みそうな雄蕊かな
163遠き日の酔ひたる父の謡初164晩節の余白に彩や薬喰
165母親の悲願受け継ぎ毛糸編む166初みくじ女難の相を持ち歩く
167竹林の葉擦れこまやか春立ちぬ168シュールにも写実の世界冬木立
169落ちてなほ微笑み返す寒椿170エレベーター春着の娘等は目で話す
171紙縒りで結ぶ黒髪初鏡172冬の夜の三味の音きこゆ」家路かな
173幾度も同じ問ひ掛けちやんちやんこ174初茜大地あまねく恵み受く
175空海へ運ばるる食寒の雨176髪束ね弓引く乙女淑気かな
177寒晴れのスカイツリーの細身かな178風花や露天の風呂に迷い来る
179一番の下足の札や寄席開180精霊の雪また雪の富士の山
181裸木が聴く風のこゑ闇のこゑ182河川敷のリトルリーグや日脚伸ぶ
183凍蝶の夜の奥までうごかざる184郵便函(ポスト)より紅(べに)ひとひらの姫椿
185重なりが湖のようなる落葉かな186天よりのバッハが揺らす黄水仙
187娘来て妻やわらかき松の内188山城の崩る石垣寒椿
189弟の供えて行けり寒造り190宅配の弁当を待つ春を待つ
191引鶴の大海の翳北を指し192病院のめでたくも無き四日かな
193参道は静かなりけり寒椿194火桶抱き弱るわが身を嘆く老母(はは)
195冬麗を纏いて大し比叡山196たくあんのほのかな甘み春隣る
197このあたり生家ありけり冬木立198剣躱す一瞬のすき寒稽古
199忘れもの取りに戻れぬ去年今年200指からめ眠る乳飲み児春隣り
201地吹雪や津軽三味線かきならす202コロナ禍の見えぬ収束龍の玉
203冬木の芽少し膨らむ気配かな204極寒や蟹の甲羅に走る傷
205雪見酒やがて消えゆく命かな206春浅し日当たる枝葉の風軽き
207足元に歯科の加湿器五日なり208たとへれば小さな宇宙寒卵
209ナポリタンにバジルの味付け冬日燦210ずんどこ節のかかと落としや冬うらら
211被災地の復興願ふ福達磨212逆さ富士の頂辺り浮寝鳥
213傍らの妻の屠蘇もて古稀を受く214沢庵を噛めば昭和の音がする
215実千両流儀なくとも花籠に216年惜しむコロナコロナで何もせず
217霜焼のまま東京に来てしまふ218初雁の目指すは空の薄明り
219西窓に冬至の落暉またたく間220店頭のペットボトルの寒の水
221大根がやっぱり主役おでん酒222記する事普通に平凡初日記
223酒パックぐしゃりと潰す七日かな224除雪車の後ろに鉄路浮かびけり
225粕汁や帰宅の遅き娘待つ226祖父の箸銀細工なり小春風
227あたたかや母の一言上手だね228外仕事一息ついて小豆粥
229早暁のオンステージは寒鴉230レコ大と配信はしご小晦日
231額に入れ永久保存師の賀状232往年陽を吸い尽くし枯れ尾花
233薙刀の初稽古なり乙女らの234荒星の襷掛けして最上川
235寒晴や地熱発電鳴動す236足先は宗谷岬ぞ寒の夜
237歌がるた得意の札は小町かな238龍のごと炎巻き上げどんど焼
239もやひづな弛みて暮るる雨水かな240一羽だけ遅れ飛び交ふ初すずめ
241電飾の聖樹高層ビルの窓242仕舞風呂夜深き冬の独り言
243奏楽のゆつたり流れ初社244漉水は葛湯のとろみ紙を漉く
245春近しホットミルクの薄き膜246冬ざれやサーファー皆立ち上がり
247ゲレンデの朝日まぶしき淑気かな248時雨るるやテニスコートの白き椅子
249皸の指に形見の指輪かな250ポケットえ焼き石懐炉通学路
251皹の紅穿つ指哀し252冬薔薇詰まり溢るる排水口
253カーテンをねぐらとするや冬の蠅254里山や一村あげて薬喰
255火の島の燃ゆるがごとき初日かな256どんど焼き馴染み待つ間の背の熱さ
257寒き朝掌窪に滴らす化粧水258風花や磴行きて鐘撞堂
259ざはめきてさみしきバレンタインの日260末日まで生きむと買ひぬ初暦
261田平子の高さに小さき命かな262コロナ禍や手水所の寒の水
263柏手の木霊は杜に初詣264日向ぼこ子猫に譲る一等地
265成人式鳩一斉に空へ発つ266元朝や茶柱立ちてなほめでた
267寒晴へ欅は梢打ちあげて268初旅の枕に届く波の音
269仕舞湯を上がりて妻の葛湯かな270餅搗きし電気の釜の火照りかな
271男気のせめて運び屋小正月272玻璃越しの空の青さや春立つ日
273竜の玉太古の海の色をして274石投げて年の始めの水の音
275畳打つ音響かせて初歌留多276ハチ公の吐息塞ぐや白マスク
277のら猫よどこをねぐらに寒の内278紫を明るく描きて冬ぬくし
279街かどの小さき天神梅ふふむ280公園の放置自転車寒の雨
281夫と行くウォーキングコース恵方とす282湯豆腐や人遠くなり鍋の音
283悴みて走り出す子のランドセル284牛舎にも小さき飾りや年初め
285そなれ木の枝の白骨もがり笛286この大河ありて吾あり冬銀河
287雪便りラインデビューの傘寿より288冬薔薇の針ざわめくや罪のごと
289薔薇色の雲一つあり冬青空290余生には眩しきしずく実南天
291唐梅に足を止めたり阿弥陀様292毛皮帽並べ露店のロシア人
293面一本竹刀はじける寒稽古294熊よりもはるかに多し注意札
295老いてなほLサイズ喰う寒卵296日脚伸ぶ補助輪はずす三歳児
297とんど焼く火付け役なり歳男298大寒の夕食牛すじ煮込み鍋
299コロナ禍や世界呑込む寒の波300寒の水飲んで六腑の在り処
301雪霏々と海へ越後の出雲崎302雨垂れの雫ふくらみ春立ちぬ
303下駄の歯をキュッと鳴らして初の雪304冬晴れや女子マラソンの足かろし
305みぞれ止み対の鳩らし草を喰む306乳をのむサフォークの子や寒明ける
307深雪晴のっぺらぼうの山の襞308子規堂の虛子の筆塚寒椿
309氷上に釣れると見えて動かざる310老ゆといふ尊さ想ふ冬銀河
311冬山やトンネルの灯は一点に312雪解の道の浅瀬を下校の子
313冬満月や粛々と雲往き来314早梅や風呂場に事件が有る如し
315新聞のクイズにトライ日脚伸ぶ316関取に抱かるる赤子初御空
317雪解富士熔岩丘の地鎮祭  
〔選句方法〕

下の〔草ネット投句〕ボタンから送信するようにお願い致します。
「選句」を選び、兼題より2句、自由題より4句の計6句を選択し、
都道府県名・氏名(俳号可)を明記の上、「送信する」ボタンを
押してください。

選句〆切:2月26日(金)、発表は3月1日(月)に行います。

なお、一部の漢字はネット上では正しく表記されず、
「?」で示されますので、読みを入れてあります。
        
12月句会結果発表
兼題の部(数へ日)
作 品 互選 選者選 都道府県 作者
65数へ日の牛の陣痛待つ厩舎10岐阜県近藤周三
8数へ日や予備校の灯は煌煌と6千葉県玉井令子
30数へ日や人待つように豆を煮る6栃木県あきら
94数へ日の空席多き夜行バス6静岡県さくら
2数え日や路地に遊べる子らの声5栃木県垣内孝雄
5数へ日を過ぎゆく夜半の消防車5静岡県指田悠志
11数へ日や足湯の指のグーチョキパー5東京都大江深夜
15数へ日のときめき失せて久しけり5東京都水谷博吉
40数え日の込み合っている理髪店4京都府せいち
1数へ日や今日も着信無く暮るる4千葉県えだまめ
7数へ日や門に出されし古紙の嵩4愛知県草木
9数へ日やテレビは名画流しをり4東京都小石日和
22数え日や解体工事家抛る4東京都良健
41数へ日やビル窓拭きの命綱4神奈川県ドラゴン
51数へ日や窓の明るき理髪店4三重県正耕
84数へ日のひと日よ母の肩叩き4愛媛県牛太郎
72数へ日や片付かぬ部屋あと一つ3茨城県申女
81数え日の町に雀のかまびすし3東京都一寛
3数え日の航跡刻む海の紺3千葉県良仙
14自堕落を決めて数え日昼の酒3広島県山野啓子
18数へ日や水を見てゐる橋の上3兵庫県夢想庵主人
24数へ日の旧友と遇ふ古本屋3大阪府藤岡初尾
27山里に銃声数へ日の熊騒動3神奈川県ひろし
28数へ日や嫁の本音の見え隠れ3三重県déraciné
34数え日やまだ今生に未練あり3埼玉県桜子
43数え日の行き先違ふ夜行バス3神奈川県ほたか
47数へ日や残せしことを一つづつ3神奈川県風神
63数え日の静かに過ぎる年もあり3埼玉県夜舟
64数へ日や天地無用の箱届く3滋賀県和久
87数へ日の脚立の高さ背の高さ3大阪府椋本望生
95数へ日や縁者なき郷墓じまひ3静岡県こいちゃん
100数え日に衝動買ひの宝くじ3長野県幸々
16数へ日の風呂場より十かぞふる声2千葉県柳風
38数へ日や外で遊べと子に怒鳴る2福岡県みつぐ
29数へ日や南の空の晴れ渡り2長崎県みんと
37数へ日の断捨離妻の匙加減2京都府福井茶衣
39数へ日や振子時計の刻む音2千葉県みさえ
42数へ日の大富士へ雲奔りだす2静岡県
45数え日や写経の筆の止め払い2北海道篤道
46数へ日や人出の減らぬ歌舞伎町2東京都藤方昭男
55数え日や泣くも笑ふもひとつ顔2三重県八郷
56数へ日や失くせし夢の数ふたつ2千葉県光雲2
57数へ日の妻の指図はつぎつぎと2兵庫県喜柊
69数へ日や四肢ゆったりと仕舞い風呂2東京都一八
75数へ日や郷から届く土産物2神奈川県みぃすてぃ
76数え日や漂流日誌つづきおり2兵庫県ケイト
93数え日や溜まりし本の重さかな2東京都けいこ
99数へ日や忘れ物あるバスの椅子2北海道沢田千賀子
21数へ日やもういくばくもなき余命1和歌山県茫々
23数へ日や父母亡き家の置き時計1北海道三泊みなと
26数え日や気ばかり逸る昨日今日1大阪府レイコ
35数え日の赤子抱く母手に荷物1千葉県山月
48数え日やインコに買ふて温度計1北海道小幸
52数へ日や御山の坂に灯のともる1栃木県荒川三歩
53数へ日や飛び出す絵本また開く1静岡県えいちゃん
54数へ日や手持ちぶたさに街歩く1静岡県彗星
60数え日の穏やかなりし御空かな1愛知県コタロー
61数へ日の髪洗はるる美容院1千葉県須藤カズコ
68数え日やただひたすらに待つ老爺1神奈川県志保川有
70数へ日や「よきお年を」と口々に1岐阜県色即是句
71数え日や切迫感の薄れゆく1群馬県志楽
74数へ日や啄む鳥の忙しなく1東京都千晴
78数ヘ日の酒買にゆく筑後まで1福岡県蛍川
79数え日の並木の影の長かりき1千葉県珍竹
82数へ日の今にも鳴くや群鶏図1東京都藤田雅明
90数へ日も犬の散歩がまず最初1千葉県相良 華
96数え日のドライブスルー楽しめり1千葉県しろみそら
97数へ日や数字消しゆく子の暦1広島県一九
自由題の部
作 品 互選 選者選 都道府県 作者
253忘れゆくことの幸せ日向ぼこ10静岡県えいちゃん
131虎落笛最終便のフェリー待つ9愛知県茶ぼくさ
118うたたねをする妻のゐる炬燵かな8兵庫県夢想庵主人
139手のひらに余る錠剤ちやんちやんこ8千葉県みさえ
227陶工の絶やさぬ窯火山眠る8神奈川県ひろし
151水脈曳きて番ひの鳥や冬入日7三重県正耕
167風花や遠き昭和の大時計7福岡県宮内和彦
226摩尼車回して春の遠からじ7大阪府レイコ
148漱石忌左右目の色ちがふ猫7北海道小幸
185土塊も捨菜も乾き冬ざるる6熊本県蕗の薹
246愚痴を言う人の湯豆腐崩しおり6東京都藤方昭男
267孫が来て我が家ふくらむ三が日6福岡県宮内和彦
285大冬木寂しい時は星宿す6熊本県蕗の薹
216におどりの水輪広げてそれつきり5千葉県柳風
297一陽来復まな板の音心地よき5広島県一九
108柚子湯にて熱唱したる第九かな5千葉県玉井令子
125出稼ぎや孤閨の外は雪煙5埼玉県祥風
153小春日や少し微笑む観世音5静岡県えいちゃん
169幼子の足したたかに落葉ふみ5東京都一八
171上州の風尖りだし虎落笛5群馬県志楽
213青空を絞ってみたき冬旱5滋賀県正男
224帰任する子を見送りて冬の月5大阪府藤岡初尾
283しめ縄の稲穂ついばむ雀かな5兵庫県大谷如水
103どちらへと白いマスクの運転手4千葉県良仙
140鈍き日を背に受けて行く冬至かな4京都府せいち
144森閑とシリウスの音響きくる4埼玉県まこ
147火の神の叫びのごとき冬の雷4神奈川県風神
182冬天に一矢報いてスカイツリー4東京都藤田雅明
223冬萌や心張り棒のわが生家4北海道三泊みなと
247銃声のこだま山野にしづり雪4神奈川県風神
286裸木を抱けば聞ゆる我が鼓動4静岡県
157冬至湯にはしゃぐ兄弟つつがなし3兵庫県喜柊
102路地裏に灯る割烹蕪蒸3栃木県垣内孝雄
105炬燵の間かつては田子の浦が見ゆ3静岡県指田悠志
123千鳥飛び箍外れたる日本海3北海道三泊みなと
129どこからか鳥のつぶやき青木の実3長崎県みんと
132掘炬燵しぶ茶で暮るる老夫婦3埼玉県郁文
142ベル鳴らし聖夜の星と交信す3静岡県
143棺へと入れる数多の古日記3神奈川県ほたか
149無人駅降り立つ里の冬木立3神奈川県阿部文彦
154コバルトの光りの雫竜の玉3静岡県彗星
168癌転移咳(しわぶき)ひとつにも怯ゆ3神奈川県志保川有
176コロナ渦を蜜柑と源氏物語3兵庫県ケイト
191凩のあつけらかんと人を食う3千葉県うだがわくん
203電線に搦め捕られし冬の街3千葉県良仙
208子には子の予定ありたる冬休み3千葉県玉井令子
215冬ざれや放置自転車集積所3東京都水谷博吉
222バイブルをひらきて聖夜更けにけり3東京都良健
292おちこちに水輪重なる鴨の群3広島県林 己紀男
294冬ざれの獄舎に赤き煉瓦塀3静岡県さくら
298失ひしものもありけり冬銀河3東京都カツミ
299炉話に猫のまばたきゆつくりと3北海道沢田千賀子
127凍つる夜のバイク疾駆の排気音2神奈川県ひろし
104短日や凶器のごとき夕日受く2愛知県秋ひろ
106熱燗や耳朶おさえほくそ笑む2滋賀県百合乃
111唄ふ子に鈴の鳴りたる聖夜かな2東京都大江深夜
113幸せを天に伸ばしぬ冬木の芽2滋賀県正男
115山鳩の鳴く声忙し日短か2東京都水谷博吉
116冬蝿とにらめつこする四畳半2千葉県柳風
117[また来るね」強く握る手外は雪2埼玉県立山 嶺
119佐渡望む渚に揺れる浜千鳥2長野県倉田杏
133マスクせぬ人をマスクの目が咎め2神奈川県毬栗
138診察の順番進まず暮早し2福岡県みつぐ
150縮まった心を伸ばす柚子湯かな2茨城県逸光
155灯点して聖樹にありぬ木の匂2三重県八郷
156玉砂利を歩む鴉の除夜詣2千葉県光雲2
159里山に三密なくて日脚伸ぶ2奈良県陶生
165笛になる竹に日のある小春かな2岐阜県近藤周三
166落葉踏みのんのん様に児らの声2埼玉県グレイス
175葱刻む朝餉の支度母の声2神奈川県みぃすてぃ
178ポインセチア戦ばかりの三国志2福岡県蛍川
189土大根提げて険しき家路かな2広島県新宅 俊
193室生寺の階に降る時雨かな2東京都けいこ
204冬ごもり生返事して本めくる2愛知県秋ひろ
209星冴ゆるすつと吸ひ込む星一つ2東京都小石日和
211新聞の集金早き師走かな2東京都大江深夜
218欄干に隊列を組むゆりかもめ2兵庫県夢想庵主人
219白砂に山茶花の白重ねゆく2長野県倉田杏
232雑炊の究めと落とす生卵2埼玉県郁文
241寒造杜氏は母から娘へと2神奈川県ドラゴン
249麦の芽や明日は踏まれること知らず2神奈川県阿部文彦
254山峡の青き万燈隼人瓜2静岡県彗星
258でことでこあはせるははのてのりんご2兵庫県峰 乱里
263母の文今年の蟹は小さいの2埼玉県夜舟
269人も木も素描のような枯木道2東京都一八
272極月や木星土星寄り添ひぬ2茨城県申女
278ひとひ終へ神といただく蕪汁2福岡県蛍川
291誰の目にも映らうとせず枇杷の花2千葉県うだがわくん
101短日やあちこち雨戸閉める音1千葉県えだまめ
110黒いやぎガブリと食べる枇杷の花1千葉県あけび庵
121火葬場は漁村の外れ冬怒涛1和歌山県茫々
122鯖焼かる骨まで鯖の滲み付きて1東京都良健
126山眠る釈迦も一言主神も1大阪府レイコ
128いつに間にか抜けざる指輪冬深む1三重県déraciné
130冬晴れの赤城の山は薄化粧1栃木県あきら
135早足の女に抜かれる時雨かな1千葉県山月
136冬休み親子こもれるひざがしら1愛知県丸吉
137雑炊や隣る会話もぬくもれり1京都府福井茶衣
145痩せ狐藪に入り日の温かさ1北海道篤道
160名曲に紅茶の美味しクリスマス1愛知県コタロー
161初日記表紙は白と決めにけり1千葉県須藤カズコ
162ぎりぎりの夕日突き刺す枯尾花1沖縄県繭子
163街角の祠に菊とお人形1埼玉県夜舟
164河豚鍋や道頓堀に灯の浮かぶ1滋賀県和久
172三密の熱気懐かし一人鍋1茨城県申女
173磨きあぐ車の上に散紅葉1静岡県かいこ
180漁終へてコップ酒うまし浜焚火1山口県ももこ
183子供らとテレビ電話の大晦日1兵庫県大谷如水
184日向ぼこするほど日射しなきベンチ1愛媛県牛太郎
190寝返りに一夜明ければお正月1千葉県相良 華
194木枯しや虫歯の疼く寝入端1静岡県さくら
197連れ添ひて初となり二人正月1広島県一九
198一人酒ひとりカラオケ年暮るる1東京都カツミ
199聖菓売る皆が笑顔になるように1北海道沢田千賀子
201また増えし喪中葉書や年暮るる1千葉県えだまめ
202凩やラーメンすするターミナル1栃木県垣内孝雄
207花舗の前ポインセチアの混みあへり1愛知県草木
221将門の軍馬疲るる冬田かな1和歌山県茫々
234落葉踏む聞いておくれよ独り言1埼玉県桜子
236青空に声するすると障子あく1愛知県丸吉
239凩を去なす皇帝ダリアかな1千葉県みさえ
242キャリーバックの音の続くや年の暮1静岡県
243時雨とは過ぐることよと京の母1神奈川県ほたか
244猫二匹好きな時間の日向かな1埼玉県まこ
248天へ声丹頂の眼のけはしさよ1北海道小幸
256瞬きて沁みる寒夜の星の黙1千葉県光雲2
260年越蕎麦遺影の母に手を合わせ1愛知県コタロー
271縁側の温き座布団日向ぼこ1群馬県志楽
273年用意俄庭師で脚立上1静岡県かいこ
275還暦やピンクの表紙の日記買ふ1神奈川県みぃすてぃ
280数へ日にまさかの人に会ひにけり1山口県ももこ
284手袋を外しそのまま置いて来し1愛媛県牛太郎
288藤原とインド独立の夢隙間風1愛知県いきか
295天職を全うするや日向ぼこ1静岡県こいちゃん
296電球色変えて巣ごもり師走かな1千葉県しろみそら
300凍てる耳に温か過ぎる貴方の手1長野県幸々
選評 選者:草の花俳句会 副主宰 鈴木五鈴(すずきごれい)

《兼題の部:数へ日》

★数え日の込み合っている理髪店

新年を迎えるための用意は人それぞれ。身も心もすっきりとしたいものです。男たちが先ず気にするのは確かに
頭髪かもしれませんね。もさもさ頭では格好がつきません。わたしも年末のどこかでは必ず理髪店に行きます。
終わって店を出るときには、必ず「良いお年を」と挨拶を交わします。「込み合っている」はまさに数え日の実感。
良いところに着眼しました。

◎数へ日の風呂場より十かぞふる声

「数へ日」を忙しなく働く母親?の句でしょうか。遊び回る子を風呂へと追い込み、ちゃんと温まってから出てく
るようにと諭したのでしょう。手足を忙しく働かせながらも子の動静を気にしていると、十まで数える声が聞こえ
てきたというのです。「数へ日」の家庭の一こまが明るく見えくるような句でした。

◎数へ日や外で遊べと子に怒鳴る

「数へ日」ともなると、親たちは様々な年用意をしなければならなくなり、子供たちにかまっている余裕などなく
なります。いらいらもするでしょう。「外で遊べと子に怒鳴る」心境はとても良く解ります。

《自由題》

★水脈曳きて番ひの鳥や冬入日

秋に渡ってきた水鳥でしょうか。相思相愛の相手に恵まれたのでしょう。冬の入日時に、水脈を曳きながら水面を
進む「番ひの鳥」を眺めている作者。きらきらと入日を映す水面には、鳥影とともに、その二筋の水脈も印象的に
陰影を遺しているのでした。静かな景も伝わります。

◎風花や遠き昭和の大時計

昭和も「遠き」と表現されるようになったのですね。確かに、すでに平成も終わり、今や令和の時代。やむを得な
いこととは言え、やや感傷的になってしまう自分がいます。風花の舞うその先にぼんやりと見える、昭和の遺産の
ような大時計に、作者は「遠き」と感じているのでした。淡いベールのような風花効果も見事でした。

◎におどりの水輪広げてそれつきり

よく池や沼に群れているにおどり(かいつぶり)は、見ていると水輪を残して水中に潜り、思わぬ所で浮き上がり
ます。作者はその景(浮くところは強いて無視)を、ぶっきらぼうに「それつきり」と表現しました。確かに、こ
の鳥に関しては、そんな印象があるようです。


添削(ランクアップのために)

今月は「や」「の」の働きを確認してもらいたいと考えました。原句と添削句の違いを感じて頂ければと思います。

・数へ日やテレビは名画流しをり → 数へ日のテレビは名画流しをり

上五を「や」で切り、句末を「をり」で結ぶと、意味的には「や」が「~なので」という理屈めいたニュアンスを
とってしまいます。「をる(連体形)」であれば、再び、そんな数へ日です、という具合になり「数へ日」をテー
マにした句であることが明解になりOKなのですが。むしろここは「数へ日のテレビ」というものは、という切り
口の方が良かと思われます。

・数へ日の妻の指図はつぎつぎと → 数へ日や妻の指図のつぎつぎと

こちらは前の句とは逆に、「や」の切字を活かし、「数へ日だなあ」というニュアンスを全体におよぼすことで、
「妻の指図のつぎつぎと」が働き出すだけでなく、句にも韻文としての締まりが出てきます。

・数へ日のひと日よ母の肩叩き → 数へ日のひと日は母の肩叩き

「ひと日よ」と言いたい気持ちは解りますが、やはりこの「よ」もここに切れをもたらします。ですが、ここは切
らずに「ひと日は」として「母の肩叩き」へと柔らかくつなげて欲しいと思います。新年を迎えることに、どんな
に忙しなくても「ひと日は」とすることで作者の優しい思いが伝わります。

        
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