7月句会投句一覧
兼題の部(南風)
1楸邨忌南風のかよふ虎の耳2海鳥の餌を銜へて大南風
3荒南風や浜に甘藻の打ち上がる4南風に乗る白帆はためく太平洋
5ニアウト満塁九回南風吹く6南風に幟はためく分譲地
7白南風のサイクリングや瀬戸大橋8南風野山や街を洗ひけり
9黒南風に立ち尽くしおる嘴広鸛(ハシビロコウ)10南風(みなみ)吹く流るる煙桜島
11白南風や漆喰著(しる)き姫路城12那須の嶺に南風さやか観覧車
13この星のいくさはやまず大南風14二月堂生駒望めば南風
15ゴーギャンのタヒチの女南風吹く16荒南風に戻り来るなり島の猫
17黒南風や暗き速報流れたり18瀬戸内の海は眠らず送南風
19南風吹く吾子の背中の薄黒子20行たしや南風ふくあの時の町
21南風や紫煙くゆらす老漁師22窓開けて南風に吹かるる新任地
23みなみ風古井戸までは土階段24南風や頂上目指し靄の中
25黒南風や外っ国見つめ竜馬像26白南風や海を眺むる山に受く
27燈台の白さ眩しや大南風28北窓に机ある部屋南風かな
29白砂の砂紋美し南風30南風や土手に自転車横たへて
31菩提樹の葉音鳴らして南風吹く32南風(みんなみ)や髪ひっつめて厨ごと
33ゴメが啼き崩れる波頭南風34大南風渚に復習ふ旅役者
35荒南風や鳶の高舞ふ船溜り36武蔵野に南風逆巻けば鯉跳ぬる
37踏み入れし大南風からカレーの香38南風吹く鍬の手休め腰伸ばす
39白南風や同行二人足早に40大南風浪の騒立つ布良(めら)の海
41辻店の旗に重たき南風42水音の混じる青空南吹く
43ひとしきり南風へシャドーボクシング44南風やけさは無人の九十九里
45仮設事務所にぶつかつて大南風46白南風や出掛ける父の目となりて
47南風や豪雨と共にインフレも48南風吹く漁夫待つ妻の波止場かな
49南風受けて白帆のふんばれる50君を目で追ふ砂浜や南風
51南風抜くる谷中の築地塀52南風や筆走らする和便箋
53南風吹く弔意の列のどこまでも54白南風タオルケットの気持ちよく
55南風に魚干されて浜のひる56白南風や旅の始めの滑走路
57ゆらゆらと親亀子亀みなみかぜ58四阿のようなバス停南風吹く
59陸と海つなぐ大橋大南風60動き出すディーゼル列車南風
61南風吹く中庭をカラス居座りて62南風や瀬戸の白波舟を押す
63南風吹く手櫛に透けるうなじかな64はえ優し連絡船の母を待つ
65南風竹しなやかに弾みけり66ふる里の逝きし慈母へと南吹く
67青島の椰子の葉ゆらす南風68朝市の跡に日暮れの南風吹く
69俎板にのこるは匂い南風70鳶の舞ふいしぶみの丘南吹く
71山の端に雲一つ置き南風吹く72千枚の棚田煌めく大南風
73南風吹きて汽水に数多帆曳船74南風吹くすずりの海の向かうより
75南風庭の一樹にバスタオル76南風吹く海へ向き立つ英霊碑
77黒南風や一句詮無しこの悲憤78甲板に妻と輪投げや南吹く
79南風吹くや原子炉計器起動せず80風死すや張子生まれるビオトープ
81大南風母と腕組む襟裳崎82砂浜で拾ふ貝殻南風
83南風や高い高いと嬰をかかぐ84白南風やテニスコートの靴あまた
85背に荷物坂登る足南風の吹く86わくわくを数多乗せくる南風
87素通りの幸せの鐘南風吹く88南風や黙食に慣れ孤にも慣れ
89南風吹く市場に競りの余韻かな90南風ペリー通りの光る海
91南吹き君の元への一歩かな92南風吹く灯ともし頃の茶碗酒
93白南風やまさをの空をヘリの浮き94老いの身に流離ひ誘ふ南風
95南風霞ヶ浦に帆掛け船96南風にむかひゴジラのドラミング
97白南風や砂鳴らし行く漁夫の妻98南風庭には来ない猫である
99南風の朝首手拭いの柄選ぶ  
自由題の部
100天井に朝が来てゐる帰省かな101キヨスクのビールを抱へ発車前
102深閑やそこはかとなく水を打つ103モナリザに悋気の悪事パリ―祭
104満塁のピンチ投手は汗拭かず105明け易し昨日の嘘を早悔やみ
106大花火しづくを風になびかせて107雨雲の群れのはびこり蓮の花
108送り梅雨読書三昧蟄居せり109梅雨夕焼友へメールの明日の山
110向日葵の蕾の中の宇宙かな111晩鶯の聞き納めてふ早や三たび
112秋の風郷土力士のいない場所113白杖の婦人の洒落た夏帽子
114揚花火闇を深めて果てにけり115草原を遊覧したる揚羽蝶
116軒先に小さき密林釣忍117鹿の子が島ふところに守護仏
118深まりてますます早し祭笛119じゃがいもにトマトのような花実る
120ポマードの匂ひかすかに籐寝椅子121供養塔峠にありて夏の雲
122炎天下コンテナを飲む貨物船123蝉しぐれ世間揺るがす大事件
124盆飾り胸去りやらぬ喪の心125七変化静かに浮かぶ夕ごころ
126おさらひを麦に聞かすやハーモニカ127梅漬けの三日目の香や八百屋行く
128黒百合や一会の花か峰高し129白玉のつるり話をはぐらかす
130廃屋の屋根を被いし秋の草131土壇場のキャンセル三つや日雷
132駒鳥はナースの声か麻酔覚め133鍵つ子と向き合ひ過ごす出目金よ
134南風の思ひのほかの波高かな135祭笛東山へと吸ひ込まる
136夏の海傘と名前を砂に書く137古傷の痛み堪へし梅雨曇り
138雲の峰あと一息の峠茶屋139蘇るデジャヴュ窓辺の走馬灯
140手料理の一つではある冷や奴141夕焼を里に残して合歓の花
142夏野菜サラダにひかり和へる朝143湯上りの妻の香ほのと白団扇
144麦笛の父畑より見下ろして145羅や婦人は楚々と落暉浴び
146蜘蛛の囲を払い払いて杣の径147文庫本腹に一緒の昼寝かな
148鉾動く三年復習ひし囃子かな149宿の名の派手に書かれし浴衣かな
150炎天や影の貼り付くアスファルト151寝つくまで母の優しき団扇風
152明易しベツトの下は日本海153健やかに八十路最後の衣更え
154風鈴の鳴らぬ風にもしおらしや155赤富士や雲も散らばる面構へ
156汗ぬぐふ一本道のレストラン157ほつほつのうぶ毛金色大西日
158うつくしくうつる鏡や月涼し159雷鳴に力入りたる厨事
160間延びして町内花火打ち上がり161窓口の声弾む子や夏休み
162予定表カラフルに貼り夏休み163草道を鱗滑らせ蛇よぎる
164ふるさとの母待つ駅に貝風鈴165背にゆらり駱駝に近き雲の峰
166朝刊の入る音届く熱帯夜167一匹のはぐれ蛍とすれ違う
168恋予感視線ぶつかり雨蛙169南瓜など絶対食はぬと九州人
170心身を晒して歩む炎暑かな171聞き流す妻の小言や古浴衣
172コンチキチン四条通へ入れば夏173全身で晩夏の端を蹴る赤子
174三輪山を隠す一雨驟雨過ぐ175蝸牛内に息衝く青き海
176日は落ちて涼風あいて一人酌み177妻さそひ射的と輪投げ夏まつり
178かんしやくをかんしやにかへすこほりみづ179奥能登の奥まる村の夏祭り
180終農の決心揺らぎ田草引く181白南風や稜線美しき讃岐富士
182緑陰をくぐりてお宮参りかな183白鷺の二羽鈍行を追ひ抜きつ
184午睡覚めセピアの歌まだ耳の奥185クーラーの切れて等閑電話口
186独りですひとり住まいの目地に黴187深層筋鍛ふる講座カタツムリ
188白杖は路面センサー油照り189家を継ぐ人なき里の栗の花
190まだ残る君のメアドや晩夏光191振り返る道はもうなき夏野行く
192落蝉や手足からませ天仰ぎ193校庭を包む歓声鳥雲に
194日の盛り畳の上で見得を切り195台風に期待のまじる少年期
196梅を干す染まりの悪き粒ひとつ197泉源を除いて丘を下りて行く
198モンキチョウ月見草とペアコーデ199だぼだぼのYシャツ涼しさうな君
200美杉村杉の林の涼しけり201夏つばきノストラダムスの大予言
202砂日傘陣取る囲い二メートル203式典へ女王陛下の夏帽子
204朝涼や家の四方を開け放つ205農小屋の脇より虹の吐き出せり
206風鈴や記憶の中の原風景207天翔ける飛行機雲や雲の峰
208渓流にかかる川床鮎祭209水槽の金魚の揺らぎ平和なり
210満目の青田平らに最晩年211縄張りの意識の強さ夏鶯
212若造と呼ばれし時代柿青し213見えぬ風見えてくる風合歓の花
214屍を陽射しに晒す油虫215百合の花手向け冥福祈りけり
216瀬戸内は遠き火振りの海の闇217洗濯のすすぎは二回花みかん
218木漏れ日を受けてひと息苔の花219モネの絵のごとくくるくる白日傘
220蜜豆を混ぜて切り出すあの話221青蜥蜴出で入りしては隠れたり
222一日中動き放しの扇風機223ハイビスカス失われ行く戦禍跡
224うんざりだとつとと失せろ戻り梅雨225譲られて戸惑ふ座席百合の花
226向日葵の茎の太さや背くらべ227仰ぎ見る大雪渓の碧き空
228幕間にふはりと香る扇子かな229流星を集めて妻の首飾り
230ひまわりや軽便鉄道残る町231着信のオカリナの曲夏の宵
232手花火の照らす鍬胼胝シングルファーザー233広島忌夾竹桃の白さらに
234二十歳の夏「イタ・セクスアリス」を読みし235泳げぬと言えず誘ひを断れり
236サボテンやこれからここが我が住まい237白百合やいつのまにやら九十歳
238岩鼻の陰の沐浴夏の果て239一瞬の静寂に万緑押し寄せる
240一村をダムに沈めて油照241油照痩せたる象の影太し
242ビルの間に明星さがす夕端居243横歩きして玫瑰の実を齧る
244革細工買ふ北国の夜店かな245方丈の静寂にひらり黒揚羽
246蝉しぐれ蝉に疫病なかりけり247野路の雨濡らす田の神夏薊
248別荘に誰もをらずや夏深し249線香花火指に寂しさ残りけり
250美しき鎖骨あらはにサンドレス251同人の挨拶涼し祝賀会
252星祭り短冊はみ出す願い事253道あやしそろそろ里の夕蛍
254惜しみつつ惜しみつつ聴く蝉の声255夕顔や卒寿の母のアイロン台
256若き日の記憶うっすら青簾257朝顔のつる具象から抽象へ
258日除けして構へるカメラ芝生席259病葉の隠れもせずに堂々と
260余生とは余分にあらず落し文261冷房や仏間に僧のくつろげり
262夏座敷の人形展の人形展263アルバムに残るちちはは走馬灯
264あめんぼう瞬き忘れ見入る顔265梅干してざるに残りぬ紅丸き
266夜店はや好みの皿と出合いけり267悪女たらむででむしの角押しいたり
268狭庭に気怠き午後の揚羽蝶269交番に迷子の姉妹走り梅雨
270少年に犬は弟てんとむし271扇風機声を震わす昔かな
272ひとり居の血中酸素秋を待つ273背曲がりの胡瓜いとほし己が背な
274青年の背中黒々泳ぎゐる275夏座敷大絵図ひろぐ正太郎
276三年(みとせ)ぶりコンチキチンと京の夏277敗者泣き勝者の涙かち氷
278野のみちを行き交ふ光鬼やんま279幻の滝の報道日本地図
280呆けゆく先のその先月涼し281青簾口へちょんちょんお食い初め
282掠れたる声ひた隠し冷やし飴283生々し殻捨て蝉は青春す
284軒樋の穴二つ三つ戻り梅雨285死後のこと茶飲み話しに心太
286子に託す大きな夢や枇杷の種287音のなきダム湖の流れ時鳥
288青田走る在来線の訛りかな289夏菊を足して清らに花手水
290「シェルブールの雨傘」を観に梅雨の晴291日焼けせしかひな競へる子らの声
292木下闇暫しまどろむ迷ひ猫293雲の峰グングングンと背伸びして
294戦火無きことの幸せ鉄風鈴295空蝉は祈りの形爆心地
296落蝉や車の下は暗き世界297儚さを天に咲かせる竜舌蘭
〔選句方法〕

下の〔草ネット投句〕ボタンから送信するようにお願い致します。
「選句」を選び、兼題より2句、自由題より4句の計6句を選択し、
都道府県名・氏名(俳号可)を明記の上、「送信する」ボタンを
押してください。

選句〆切:8月27日(土)、発表は8月30日(火)に行います。

なお、一部の漢字はネット上では正しく表記されず、
「?」で示されますので、読みを入れてあります。
        
6月句会結果発表
兼題の部(泳ぎ)
作 品 互選 選者選 都道府県 作者
36泳ぎ終へ子らは夕日と帰りけり9神奈川県ドラゴン
90泳ぎても泳ぎてもなほ琵琶湖かな8滋賀県和 久
16遠泳子水ごと浜に上がり来る7東京都小石日和
13大瀞に潜る山の子息長し6栃木県荒川三歩
4仁王立ちゴールを守る立ち泳ぎ6埼玉県祥 風
30今はもう誰も泳がぬ川流る6大阪府藤岡初尾
69海軍で鍛えし父の横泳ぎ6神奈川県佐藤けい
78一息の長さで終わる泳ぎ下手6千葉県須藤カズコ
35島めざし泳ぐ卒寿の足さばき5三重県déraciné
65四万十を泳ぐ百旒鯉幟5千葉県光雲2
20美ら海やマンタと泳ぐダイビング4千葉県玉井令子
28ひた泳ぐ岸を離れて岸恋し4兵庫県喜 柊
7原発の海と知りつつ子ら泳ぐ4滋賀県泥 亀
14背泳ぎの右へ左へ曲がりけり4茨城県申 女
15山国の子等砂浜の初泳ぎ4長野県倉田杏
26父といふ島に向かって泳ぎけり4愛知県コタロー
46泳ぎゆく息つぎといふ命綱4愛知県ほのる
81南の島牛も泳ぐや島渡り4茨城県西川富美子
821キロを泳ぎて今日のノルマ終ふ4北海道小 幸
2行き先を訊かれて浮き輪指す子かな3静岡県指田悠志
6首伸ばし泳ぎ寄る亀睡蓮花3兵庫県葉 月
17泳ぎたる人遠くして島近し3兵庫県鈍愚狸
19泳ぎをり神輿清めし海岸に3京都府せいち
29水面を砕くが如きバタフライ3宮崎県黒木寛史
62耳に石あてて水出す泳ぎあと3岐阜県俳ネン
70泳ぎ来し娘の黒髪や潮匂ふ3和歌山県茫 々
8犬かきを得意げ披露母の海2千葉県山 女
9背泳ぎの空や輪に舞ふ鳶(とび)一羽2岡山県原 洋一
21眉一つ真っ直ぐに阿修羅の泳ぎ2愛知県丸 吉
27しがみ付く吾子を乗せたり泳ぐ背に2千葉県こごめ草
33四肢老いてもう叶わざる泳ぎかな2広島県柚木啓子
34逆境を泳ぎ通してきた人魚2神奈川県阿部文彦
49遠き日の父に習ひし平泳ぎ2京都府花 子
54エラーせし捕手ふつきれる迄泳ぐ2岐阜県近藤周三
59星の下全裸で泳ぐ童かな2神奈川県毬 栗
64きらきらと泳ぎの子らの声髙し2三重県八 郷
68休みなく立ち泳ぎしていま八十路2東京都素 夢
84立泳ぎする子に母の大むすび2神奈川県りゅう
86泳ぐかな水平線の盛り上がり2静岡県渡邉春生
88ゆるゆると半時ばかり平泳ぎ2愛媛県牛太郎
10一体のシンクロナイズ美の泳ぎ1埼玉県郁 文
11潮風に泳ぐといえど九十九里1千葉県あけび庵
12大水槽鰯の群れの泳ぎかな1千葉県山 月
18遠泳や赤ふんどしを掴まれて1大阪府森 佳月
25媼かなジュゴンのように泳ぎおり1栃木県あきら
31遠泳や海の子となる赤褌1神奈川県ひろし
39羽ばたきを夢見て吾子の泳ぐかな1北海道篤 道
40泳ぐ子の波に隠れるたび背伸び1東京都水谷博吉
41泳ぐかに四万六千日の宵1千葉県みさえ
47思い出の明治の祖母の立ち泳ぎ1大阪府レイコ
50濡れ髪のカールしたるや泳ぎの子1神奈川県風 神
57泳ぎたる海の青さが目にしみる1神奈川県しゅう
61遠泳の子らに合はせて息遣い1三重県正 耕
67「えんゃこら」しまなみ泳ぐ帽子列1千葉県風 聲
77平泳ぐ丸し地球を抱くやうに1大阪府椋本望生
79泳ぎつつ水の声聞く怖さかな1兵庫県ケイト
80いつの日や自由に泳ぐ世の中に1奈良県よっこ
92近寄れば泥立てて蝌蚪泳ぎけり1広島県一 九
94蒸し暑さ飲み込み泳ぐ鯉の群1静岡県なな古
自由題の部
作 品 互選 選者選 都道府県 作者
155ふるさとの風はひらがな合歓の花15福岡県宮内和彦
104夏燕村に二便の福祉バス15岡山県原 洋一
191錠剤のひとつ転げて夜の秋14愛知県草 木
154泣きたいほど海は真つ青沖縄忌11神奈川県毬 栗
242古里を沈めてダム湖夏燕11千葉県岩 魚
142余生とはいつからだろう心太11大阪府レイコ
151蟻の列反体制のやつも居て9奈良県陶 生
254不器用に生きて八十路や雲の峰9三重県八 郷
115理不尽なことばかりあり髪洗ふ9千葉県玉井令子
170肩車花火のたびに揺れる足8神奈川県みぃすてぃ
222大病の話切り出すソーダ水7神奈川県たかほ
96祭笛三代揃ひ橋渡る6愛知県草 木
101丁寧な暮しを少し花山葵6兵庫県葉 月
119故郷は北の海辺や祭笛6北海道みなと
122葭切や閉じて久しき赤水門6千葉県こごめ草
158空き瓶の転がる机桜桃忌5神奈川県ようこ
280島々のくれてゆくなり夏料理5滋賀県和 久
111羅の重なりにある青さかな5東京都小石日和
262廻廊に梅雨の重みや東大寺5静岡県えいちゃん
261山の端に雨の気配や立葵4東京都一 八
102花菖蒲ゆらりと昼を生きている4滋賀県泥 亀
121業平の色となりゆく杜若4愛知県コタロー
217何もかも違えど夫婦柿の花4千葉県こごめ草
219代掻きや畦で昼餉のカレー食む4宮崎県黒木寛史
249老鶯や採石場の昼休み4神奈川県毬 栗
264雷鳴や耳直立の秋田犬4静岡県彗 星
275古傘も玩具となれり水遊び4千葉県文 武
97一閃の雷議事堂を一喝す3静岡県指田悠志
114捩れ花素直に拗ねて愛されて3京都府せいち
117山小屋の雑魚寝にいびき明易し3静岡県かいこ
123遠泳の赤帽めざす近江富士3兵庫県喜 柊
124水まけば畑に小さき虹のたち3宮崎県黒木寛史
130はたた神むかし質屋の三和土土間3三重県déraciné
143夏つばめ移住の便りいきいきと3神奈川県横坂 泰
148居酒屋に墨字新し心太3神奈川県ひろちゃん
157引潮にさらはれてゆく子蟹かな3岐阜県俳ネン
174銀山の入り口魔界の滴り3兵庫県ケイト
185客船の長き片蔭神戸港3滋賀県和 久
200蛍去り闇に残るや沢の音3埼玉県郁 文
209空の藍すべて奪いて濃紫陽花3京都府せいち
218土用波桂が浜に竜馬像3兵庫県喜 柊
221風となる水に生まれし糸蜻蛉3神奈川県ひろし
246夏草や過去のすべてを清算す3奈良県陶 生
255点と線飛交ふ蛍闇を抱き3千葉県光雲2
268夏雲や白波立つる遊覧船3千葉県須藤カズコ
99泳ぎ終え黒髪覆う白タオル2埼玉県祥 風
105雨残る葉を傾けり蝸牛2埼玉県郁 文
107夏草に挑む老女の腰曲がり2千葉県山 月
108縁台の日向に仰臥六月来る2栃木県荒川三歩
128存分に太るまで待つ初胡瓜2広島県柚木啓子
137岩手富士稜線寫し田植え唄2宮城県栗駒子
139更衣パステルカラーの交差点2埼玉県立山 嶺
147遠雷や夜の町並み浮き彫りに2千葉県岩 魚
161姫女苑下校の列の伸び縮み2三重県すかんぽ
177白牡丹一輪切って供花とす2北海道小 幸
179竹簀子の床に涼める旧家かな2神奈川県りゅう
187マゼンタのグランデーションや大夕焼2広島県一 九
194廃校に水草咲くやビオトープ2埼玉県祥 風
225青田風午前10時の豆腐売り2三重県déraciné
236蟻の道翅一片の墓標なり2愛知県ほのる
256晩学に数ふる余命星涼し2三重県すかんぽ
258御神木樹齢百年新樹晴2東京都素 夢
272薫風やみどり児首をもちあぐる2北海道小 幸
278奥伊予は母の故郷螢飛ぶ2愛媛県牛太郎
103板の間を肉球の音梅雨に入る1千葉県山 女
106身のよじり風鈴すねてあまり風1千葉県あけび庵
118代弁す戦禍の声よ慈悲心鳥1東京都青木典子
125母逝きて部屋にうまおひ鳴いてをり1大阪府藤岡初尾
126梅雨晴や園児大きく腕を振り1神奈川県ひろし
127睡魔来る瞼にいつも合歓の花1神奈川県たかほ
135あさり飯幟はためく薄暑かな1東京都水谷博吉
140眠られぬ夜の歳時記や古茶淹るる1愛知県浅 葱
141草取のはじめにもどる余生かな1愛知県ほのる
146花菖蒲足もとにぬと鯉の口1兵庫県峰 乱里
149ドンマイと肩抱かれしビールかな1岐阜県近藤周三
152海沿ひに椰子の木並ぶ南風1神奈川県しゅう
153また一つ思い出消へて梅雨の星1埼玉県イレーネ
156連れ合ひと娘を見舞ふ梅雨晴間1三重県正 耕
159身の丈の草分け汲むや山清水1三重県八 郷
162蛍火や水面に返す静の音(おん)1千葉県風 聲
163梅雨たのし一坪はたけ蘇る1東京都素 夢
165冷奴近江は汎き湖の国1和歌山県茫 々
175子等の愛持ちて旅立つ母の夏1奈良県よっこ
178早苗田や老人ホーム灯り初む1埼玉県千葉美知子
182籠城の猫反抗期梅雨に入る1京都府福井茶衣
188緑陰にリュック降ろせば背なに風1兵庫県大谷如水
202七夕やはやぶさからのアミノ酸1千葉県山 月
203五月雨の洗ふ三和土や旧家跡1栃木県荒川三歩
210冷やし中華始めましたと定食屋1千葉県玉井令子
212桑の実の踏むをためらふ小路かな1静岡県かいこ
214青鬼灯生かされて旅続きをり1北海道みなと
220塾の子の散らばってゆく五月闇1大阪府藤岡初尾
223老女にも鰻予約のチラシかな1広島県柚木啓子
230梅雨冷や撫でてなだめる傷の痕1東京都水谷博吉
234三メートル四方と決めし草を引く1埼玉県立山 嶺
237足るを知ることの大切麦こがし1大阪府レイコ
238濃紫陽花とりどりつづく傘の色1神奈川県横坂 泰
240子連れに譲る緑陰のベンチかな1神奈川県風 神
245印象派の木洩れ日光る薄暑かな1茨城県逸 光
247万緑や風も緑に染まりたる1神奈川県しゅう
250物増へて余生重たき衣更1福岡県宮内和彦
251なんばんの花に佳き風生まれたり1三重県正 耕
253短夜の夢の続きのうつつかな1神奈川県ようこ
260炎昼を草ながれゆく水路かな1和歌山県茫 々
263ひまはりの萎れし供花辻地蔵1神奈川県ひろ志
265南吹く海岸電車きらめけり1神奈川県みぃすてぃ
266旱星エアコン音の大病院1沖縄県繭 子
273木漏れ日の岩をベンチに栗の花1埼玉県千葉美知子
274海見ゆる坂多き町立葵1神奈川県りゅう
277父の日や媳の選びしマグカップ1京都府福井茶衣
279東雲の光りにゆるぶ古代蓮1静岡県さくら
281老漁夫のアサリ掘る背のスッと伸び1千葉県美 保
282かたかたとワイパー速し虎が雨1広島県一 九
選評 選者:草の花俳句会副主宰 鈴木五鈴(すずきごれい)

《兼題の部:泳ぎ》

★遠泳子水ごと浜に上がり来る

「水ごと」の措辞が良いですね。長い距離を泳いでいよいよ浜に到着の遠泳子。疲れ切って身体はあたかも水と一
体となったかのようです。そんな子供たちの集団が今上がってくるところ。まさに「水ごと」上がってくるのです。

◎大瀞に潜る山の子息長し

この大瀞は山中を流れる川にある。流れは静かですが、深い。ある意味とても危険な個所でもあります。しかし、
地元の子供たちにとっては楽しい遊び場でもあるのでしょう。潜りを競ってでもいるのかもしれませんね。「息長
し」は潜りの醍醐味の一つでもあるのでしょう。

◎美ら海やマンタと泳ぐダイビング

美ら海、沖縄の海。あこがれます。マンタの海で「マンタと泳ぐダイビング」。そんなツアーもありそうですね。
またしてもコロナ感染者の急増中。羨ましいような、旅を誘われる句でした。

《自由題》

★泣きたいほど海は真つ青沖縄忌

沖縄忌。第二次世界大戦の最末期に戦場となった沖縄。住民の四分の一が亡くなったという。沖縄守備軍壊滅の
昭和20年6月23日。沖縄では、この日を「慰霊の日」と定めました。わたしも摩文仁の平和祈念公園を訪れ合掌
したことがあります。その日も「泣きたいほど海は真つ青」でした。心が震えました。

◎蟻の列反体制のやつも居て

人が列をなして群集することを「蟻の熊野参り」などと言うように、目的を一にして社会生活を営んでいるのが
蟻だと一般的には思われています。…が、豈図らんや、列を乱したり離反する蟻もいるようです。まさに「反体制
のやつも居て」です。面白く的確な表現でした。

◎古里を沈めてダム湖夏燕

ダム湖建設のために、作者は沢山の思い出のある古里を捨てざるを得なかったのでしょう。時折帰ってはダム湖に
沈んでいる古里の村を回想しているのかもしれません。その湖面の上を滑空する夏燕。かつての家々にも勿論燕の
記憶があったことでしょう。


添削(ランクアップのために)

 俳句は十七音で作られています。あまりの短さに、意味不明となるケースも間々あります。助詞一つで意味は
変わってしまいます。投句前には、必ず見直したり推敲されることをお勧めいたします。

・首伸ばし泳ぎ寄る亀睡蓮花 → 睡蓮に亀の近寄る首を立て

兼題の「泳ぎ」は歳時記では「生活」の項に分類されています。つまり人事の季語ということで、人間が対象の
季語なのです。しかし、掲句は睡蓮の句としてはなかなか面白いところに目を当てました。でも「睡蓮花」はど
うでしょうか。五音で収めたければ「未草」もありますが……。ご検討ください。 

・葭切や閉じて久しき赤水門 → 葭切や閉じられてゐる赤水門

「久しき」は不要。ただ「閉じられてゐる」景が目の前にあるばかりのはず。そうした景の中に葭切の声がしき
りに聞こえるのです。俳句では、時々作者の知識が邪魔をすることもあります。念のため。

・庭木から顔出す蜥蜴番いかな → 夫婦の蜥蜴か庭木から顔を出し

最後の「かな」は疑問を意味するのでしょうか。切字の「かな」のようでもありますが・・。蜥蜴の表情が感じ
られるように詠まれると良いのですが。分かりやすく表現しましょう。

        
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