12月句会投句一覧
兼題の部(鳰)
1かいつむり比叡の峰へ日の亘る2夕闇に紛れて消えしかいつぶり
3天守閣の影を揺らしてかいつぶり4かいつぶり有らぬ方から浮かびけり
5鳰神出鬼没忍者かな6さざ波にぽつりぽかりと鳰の影
7築港の一羽また増ゆかいつぶり8カイツブリそれとなく寄り離れ行く
9かいつぶり離れ小島のやうな雲10静かさや水面の乱れかいつぶり
11鳰潜りて子等のざわめきぬ12鳰潜る二つ水輪の残りけり
13メルカリはネット沼なりかいつぶり14かいつぶり指輪の披露にこやかに
15鳰潜り吾は待ちをり息止めて16浮き上がる鳰やだんだん遠くなり
17大和路も忙しなく暮れかいつぶり18又一人来て見入る鳰の浮き沈み
19鳰池を見渡す少女をり20落暉いま水面に燃ゆる鳰の湖
21浮くまでは逸らさぬ視線鳰の湖22出る潜るもぐら叩きか鳰
23にほどりや水脈長くひく心字池24かいつぶり顔を出したりずっと奥
25子らを背に水影揺らす鳰26ルルルルル水脈ひく二羽の鳰
27鳰潜る水中にある秘密基地28鳰浮いて平らか水面頷きぬ
29旅の宿鳰の漂ふ夕べかな30冷泉の水面を走る鳰の笛
31淡海や鳰の潜りてそれっきり32二匹目のどじょう探すやかいつぶり
33潜るたび水面へこむや鳰34水面より尻を立てをり鳰
35かいつぶり羽下に子まもる絆かな36風の間のかすかな音やかいつむり
37咥えたる魚の光彩かいつぶり38かいつぶりピピッと鳴いて雛を呼び
39風を追ひ風に追はるるかいつぶり40鳰立ちて乱るる逆さ富士
41湧水池の水輪の中へかいつぶり42神の池ほどよき距離のつがひ鳰
43暮れゆける湖に影絵のつがい鳰44水面より光もろとも鳰たちし
45「ざま見ろ」と予期せぬ場所に鳰の貌46曇天の葦の繁みに鳰の鳴く
47かいつむり陸より沼へちりぢりに48幾たびも重ね啼きせる鳰の笛
49かいつぶり潜りて浮かびまた潜る50夕茜射して水面のかいつぶり
51鳰の子や順番待ちの静かなる52かいつぶり不動崩さず目はギョロリ
53大方は木偶のごとくに午後の鳰54鳰の海しばらくとどむ日の名残り
55鳰潜くたび割れにけり水鏡56鳰ひと声鳴きてそれつきり
57かいつぶり遠き瞳をしてゐたり58相黙し海を見ており鳰
59静寂の水面にひょいと鳰番い60湖の上に不意に貌出すかいつぶり
61海神に夕日没るまで鳰潜る62におどりや釣り師のテナーそぞろ歌
63鳰の母背に三つ子負い卵抱く64櫓の音に急ぎ潜るやかいつぶり
65かいつぶり早よ頭を上げよ湖暮色66鳰去って水面にもどる枝も葉も
67かいつぶり元気に鳴いてまた潜る68かいつぶり眺めいやりて小半時
69夕照や湖の彼方へ鳰の笛70かいつぶり丸く小さく雨の下
71生きるため水中を飛びかいつぶり72釣り師来るいつもの場所やかいつぶり
73鳰の湖を眼下に古城風強し74水面出づる鳰にぶつかる比良颪
75鳰とらゆ光のフアインダー76山影を揺らすさざ波かいつぶり
77鳰の笛寂しき湖に響きをり78一羽づつ指呼する幼児鳰の池
79鳰の子や潜る水輪も一人前80鳰の笛残して元の水面かな
81鳰泳ぐ6つの眼背に乗せて82親の背を隠れ蓑如鳰の雛
83尻ふつてぐいと潜れり鳰84冬日和物怖じしないかいつぶり
85鳰の群藻屑のやうに浮き沈み86鳰の海水面賑やかルルルルと
87あっといふ間の一年やかいつぶり88にほ鳥の心穏やか湖の青
89思料するならば訪ぬる鳰の湖90かいつぶり湖上の空は広がれり
91池の面の夕陽崩しぬ鳰92かいつぶり幾年も見ず句作難
93ダイアモンド富士を汚しぬ鳰94ジャンプイン鞠に変身カイツブリ
95かいつぶり自転車屋は質屋に変化して96かいつぶり思わぬ場所に浮き上がり
97鳰鳴くやズーム会議で四家族98玄関を出ては戻りてかいつむり
99雪降るも滝に遊ぶや鳰100水中は修羅場になりてかいつぶり
101鳰見分けのつかぬ夫婦かな102夕闇に紛れて消えしかいつぶり
自由題の部
103くだら野や立札ひとつさらしけり104人生のカウントダウン大晦日
105街のあかり冬の銀河をうばひけり106小夜時雨歌詞の浮かばぬ歌謡曲
107若くして竜と変身天高し108開戦日川のおちこち鴨の陣
109けものめく歩行してをる冬日和110山眠る熾火のごとき朱の鳥居
111野に拾ひけり寒き世の領収書112枯野見のきつね色にも艶の文字
113潮騒の青島廻り初日影114熱燗や海に灯りの見ゆる席
115冬ざれや汽笛おぼろに朝仕度116冬晴れや四十半ばのウエディング
117小蜜柑や噴煙なびく桜島118寂しや師走の空を飛ぶ鴉
119外し忘れの網戸に止まる冬の蠅120ふとぶとと雨の轍の冬田光
121公園の流るる葉つぱ鳰122帰りなん遠く沁みくる除夜の鐘
123ストーブを点ければ猫のいつの間に124寒禽や野鳥図鑑を子の部屋に
125雪吊や庭師の腕の見せどころ126木枯らしに負けぬは夫の鼾なり
127製菓食ぶいまは信仰脇に置き128序を待たず空へ旅立つ雪ほたる
129晩節に残すもの無く枯葉散る130娘手術待つ間の老父もがり笛
131マリア役すんなり決まり聖誕祭132乾きたる一夜を濡らす時雨かな
133みそか蕎麦寸胴鍋の湯のたぎる134冬至粥猫舌のまま妻老いぬ
135盃ふせし席を偲びつ年忘136妻の留守吾のおでんを子が褒める
137飛ぶは鶴飛び忘れしは凍てし鶴138すす祓い社残りし砦跡
139迷彩のカメラ並ぶや鷹柱140冬の夜や薪一把さげ貰ひ風呂
141目覚むればモノクロームよ雪の街142鷹匠の左手撮るや雲間の陽
143枯蓮や水にうつ伏す敗武将144忘れゐたる人より便り12月
145耳たぶのごとき温みや寒椿146あの海は思索する海初景色
147忍び来て太郎を寝かす雪女148空白の日記五頁風邪籠り
149距離おいて潜る鳰の番かな150風向きに噎せて始まる焚火かな
151芥浮き運河息づく今朝の冬152一群れの先から潜る冬の川
153灰色の空実南天の灯りけり154額ほど小さき庭に石蕗の花
155柚子風呂や中の一つを潰しをり156角打ちに割つて入り込む舞落葉
157連立つは久しき小径返り花158風花やビル解体のクレーン車
159ふるさとに近づいてゆく雪景色160手袋のハの字に散りて大鼾
161大仏の螺髪の数や寒詣り162日溜まりの庭を這いゆく寒雀
163山の影重なりあいて山眠る164白鳥の群れて飛ぶ声来るぞ来る
165せかちかと電飾じつと冬木立166個人情報噛むシュレッダー事務納
167短日や話し上手な友と居て168青空もどすんと座る冬の雲
169落日や枯野の果ては日本海170富士の峰の凛といつもの冬来たる
171除夜の鐘やり残しこと数えつつ172敵基地攻撃能力開戦忌
173寒紅や残り火紅し消した炭174ひたち野は道真っ直ぐや初霞
175ラグビーと競馬惜敗急落暉176綿虫やそこは西郷どんの腹
177数へ日やビルに灯りのまだ残る178冬の雁湖沼へぱたと着水す
179月光のさやかに照らす雪の富士180数へ日の子を迎え行く大空港
181善き悪しき事を流して年暮るる182田鳧発ち真つ逆さまに落つ日暮
183九条ネギ育てて北の農高生184お歳暮に紛れて届く古希祝い
185にほどりを息止めて見る橋の下186何時付けた傷か分からぬ年の暮れ
187年の暮向ひ合せに拭く硝子188寒椿庭に活力与えたり
189次々と枯野となりし田畑かな190兎に角に泣きて笑ひて年の暮
191時の疫にみな早く退き日の短192一村を守る神社の煤払い
193子供らの歓声笑声小六月194夜回りの拍子木聞きつ冬至粥
195一つ家に眷属集ふ晦日蕎麦196蟻になり霜柱の森歩きたし
197雪霏霏と茎だけになるおぞましさ198年越の仔犬も茅の輪くぐりけり
199無粋なる雲の出づるや冬満月200懐メロの流れて厨節準備
201竹明かり去年より今宵の艶紅葉202連凧の時には離れたきことも
203翅折れて悲しき玩具冬の蝶204人生のカウントダウン大晦日
205冬の梅ふらり渡りぬ巽橋206冬ざれの庭に変化を探す日々
207来る友も訪ねる友もなく師走208点滴をして歩く人日脚伸ぶ
209天高し飛行機雲は西方へ210教壇に赤チンぬって漱石忌
211懐にたたむ手紙や霜の夜 212誘ひ合ひ恩師訪ねる菊日和
213聖夜劇しづくのやうな飴もらふ214時雨忌や舞う葉尽きたる御堂筋
215久女の忌狭きこころの虛子のあり216大黒寺鴟尾に風花舞ふことも
217湯船揺れ熱のこだまや山眠る218実南天新郎新婦見守りぬ
219なんとなく日記を買うてしまひをり220白衣脱ぐ医師を囲んでクリスマス
221今年また生きながらえて古暦222相語る一と間全し冬薔薇
223廃屋の窓ガラス割れ鳰224深雪の白の濃淡塵もなし
225鉄砲の余韻の空や山眠る226落ち葉掃く隣の婆のまあるい背
227しゅんしゅんと湯気の立ちたる薬缶かな228鈴なりや聖樹のような蜜柑の木
229見返すは目の美しきマスクかな230生と死の鬩ぎ合ふそら雪の花
231喪の明けし家の小さき松飾り232だ句一つ生くる識しの去年今年
233古民家へ招かれジャズを聴く聖夜234枯芒友たる風も枯れにけり
235愛読書売れば一円初しぐれ236打球音続くラリーや山眠る
237冬麗や父の盆栽ひとつ増え238木枯や奴は語らず哭くばかり
239極楽や炬燵に足を盗られたり240万歩計動かぬ日々や冬の雲
241御仏の少しけぶたい煤払い242川沿ひに上る小径や冬桜
243おでん屋の女将真白き割烹着244かなたより朝練の聲けふ冬至
245雪富士やスカイランタン舞ひ上がる246雪の夜や白川郷の窓明かり
247まどろみの猫の欠伸や小六月248本性を取り戻しいる忘年会
249生きている証を貰ふ柚子湯かな250滞り無き心音や年の夜
251スケーターの如くの落葉水の上252枯菊焚く野辺の送りの香となせり
253滑空の鴉無言や雪催254鶴亀の文字確かめて年用意
255ドア閉むる指の痛みや寒波くる256児らを追う踵の皹よ痛たたた
257鵜の棲まふ白き枯木ぞ咲くごとし258年歩むそつと逝かれた人の運
259のけぞつて眺め雪吊り了へにけり260行き違ひ電車しばらく待つ師走
261日本には良き酒ありし鰤大根262冬夕焼墓標のごとき雲の群
263初鴉清水寺のむくり屋根264町呑みし過去には触れず冬の川
265旧跡を巡る千里やクリスマス266うつ田姫かそけし宵に舞ひ降りき
267カップ麺すする宿直大晦日268白息をかけて眼鏡を拭きにけり
269元気よと子に伝えたり寒すばる270無機質な町をこれでもかの黄葉
271元旦もすずめはすずめ犬は犬272春色のセーターを編むひたすらに
273つくばいに開く刹那や六花274レトリバー振って尻尾の落ち葉掃
275冬麗や針つき抜ける空碧し276耿耿たる織姫神社初茜
277また一つ固有名詞を忘る除夜278本心を突かれ酢海鼠噎ぶなり
279能弁のあとの沈黙冬の月280鷲休む抜け落ちかけの羽一本
281寒昴侘しき浦の漁師町282音入れて涸川越ゆる新幹線
283病室にサンタ訪れ吾子笑顔284畑の貌見せたくなくて頬被
285野うさぎの巣穴より見る夜空かな286ケーキ焼く係不在ぞクリスマス
287たゞよへる浮葉をくはへ夫婦鳰288年の瀬や何度も通る救急車
289終活や五年綴りの日記買ふ290霜柱土の中からえんやこら
291三歳児サンタのパパに大泣きす292もふもふと来て羽根布団猫の夢
293枯湿原いのち密かに潜りをり294それぞれのひと言添えて賀状出す
295尼寺の鐘の音軽し風炉名残296霜柱ザクと踏み牛蒡抜く
297サイン入り句集の届く寒椿298星空にサンタを探す老夫婦
299天婦羅の海鼠に風呂が近きかな300ただいまと言える人ゐる冬ともし
301一年の月別グラフ師走来る302取り敢えずフライドチキンクリスマス
303冬陽落ち富士探す我れ映る車窓(まど)304鬼役は単身赴任鬼やらひ
305冬銀河星に願いのジャズピアノ306冬ざれの庭に変化を探す日々
〔選句方法〕

下の〔草ネット投句〕ボタンから送信するようにお願い致します。
「選句」を選び、兼題より2句、自由題より4句の計6句を選択し、
都道府県名・氏名(俳号可)を明記の上、「送信する」ボタンを
押してください。

選句〆切:1月27日(木)、発表は1月31日(月)に行います。

なお、一部の漢字はネット上では正しく表記されず、
「?」で示されますので、読みを入れてあります。
        
11月句会結果発表
兼題の部(小春)
作 品 互選 選者選 都道府県 作者
67理容師の鋏の軽き小春かな8神奈川県風 神
1小春日や近場でみたす旅ごころ8栃木県垣内孝雄
21経蔵の開け放たれし小春かな8静岡県かいこ
32小春日や駐在所には迷い人7埼玉県郁 文
49さいしょはぐじゃんけんぽんのこはるかな6奈良県陶 生
19小春日やお捻りの飛ぶ猿の芸6愛知県淳 和
25小春日や畦に昼餉の茶をすする6神奈川県ひろし
90一斉に舳先を揃え小春凪6埼玉県夜 舟
104針のみみ見えて通せぬ小春かな6大阪府椋本望生
24幼子に鳩が辞儀する小春かな5神奈川県阿部 文彦
9誰となく集まる日向小六月5兵庫県鈍愚狸
107小春日や明治の玻璃の乱反射5静岡県こいちゃん
84せせらぎに飛び交ふ小虫小六月4千葉県岩 魚
28小春日や久方ぶりの旅支度4宮崎県黒木寛史
33日のかけら集め小春の船着き場4千葉県みさえ
40小春日や盆栽棚を増やす父4埼玉県祥 風
56糸垂らすのたり小舟の小春かな4千葉県文 武
78貝殻を拾う親子の小春かな3愛知県秋ひろ
7ペダルこぐ背中ほっこり小春かな3千葉県山 月
22小春日や姉と二人の長電話3栃木県あきら
36街小春キッチンカーのランチかな3埼玉県桜 子
38腹を出し子犬の寝入る小春かな3神奈川県ドラゴン
39縁側の薄目の猫の小春かな3神奈川県ようこ
73さざ波の音の耀く湖小春3兵庫県喜 柊
76鈴遊びせがむインコと小春かな3北海道小 幸
77観音寺に招き猫買ふ小春かな3千葉県須藤カズコ
43彼の世から父も見てゐる小春凪2北海道みなと
82小春日や入所の父の笑ふ顔3神奈川県みぃすてぃ
3着信音鳴らぬ一日小春かな2千葉県えだまめ
12時間だけただ過ぎてゆく小春かな2長崎県みんと
13地鎮祭祝詞(のりと)流るる小春空2大阪府藤岡初尾
15似顔絵に破顔を描く小春かな2静岡県指田悠志
16小春風香港の声忘れまじ2千葉県蘆 空
17碁敵と縁に碁を打つ小春かな2和歌山県茫 々
18小春日に見惚るる妻のながきゆび2大阪府森 佳月
27ふうはりと光溜めをる小春かな2兵庫県峰 乱里
41小春日や一人でできた身の支度2北海道篤 道
45均されて花壇の憩う小春かな2東京都水谷博吉
46小春日や吾より長き影法師2三重県八 郷
55渡し舟行きつ戻りつ小春空2岐阜県辻 雅宏
59子ら駆くる若草山の小春かな2兵庫県大谷如水
60物忘れともに笑ひし縁小春2神奈川県光 枝
62城濠の亀の顔出す小春かな2愛媛県牛太郎
63鹿威しは小春のリズムとんころろ2兵庫県ケイト
72弁柄の町家の格子小春風2静岡県彗 星
83小春日の畑に脱ぎ捨つ上っ張り2三重県déraciné
87白壁塀の続く小路の古都小春2神奈川県佐藤けい
99蜂ちゆうい小春の鳥の観察所2沖縄県繭 子
8網干場へ寄つてくる猫小春凪1京都府せいち
20山気蹴る七半隊の旅小春1愛知県丸 吉
29改札を掃き出されゆく小春かな1滋賀県泥 亀
31小春日や猫の柔和な菩薩貌1千葉県光雲2
34小春日や母を道路に捨てて来し1広島県山野啓子
35胸に猫枕に犬の小春かな1石川県一 鷹
37座布団の埃吐き出す小春かな1愛知県コタロー
47小春日や牛の親子の半眼に1静岡県さくら
51猫もゐて変はらぬ朝の小春かな1京都府福井茶衣
57寄せ植えの大鉢並ぶ小春かな1埼玉県立山 嶺
66小春日や土産は有馬人形筆1静岡県雪 子
71縁側に小春日和の日の匂ひ1静岡県えいちゃん
79乳母車とめておしやべり小春の日1神奈川県毬 栗
80つかの間の母との会話小春空1福岡県宮内和彦
86池の辺に鳥数珠つなぎ小春かな1奈良県よっこ
93小春日に遺影の恩師微笑みて1山口県ももこ
98新しく小さき墓標にこの小春1奈良県たにむら
101藪蘭の黒き実の艶小六月1静岡県有 希
102ひねもすや太公望の小春凪1兵庫県こうせい
103母ねむる石のほほえみ小春凪1神奈川県りゅう
105小春日や死んだ振りする猫の耳1群馬県志 楽
106鬼ごつこマスクを外す小春かな1広島県一 九
自由題の部
作 品 互選 選者選 都道府県 作者
218懸大根思ひ思ひに曲がりけり11東京都小石日和
264母のこと遠くなりゆくちゃんちゃんこ10大阪府レイコ
135乾きたる轍の跡の冬田かな9宮崎県黒木寛史
108小日向に翅を閉ぢゐる冬の蝶9栃木県垣内孝雄
268手短に息災語りおでん酒9神奈川県横坂 泰
198砂浴びの雀あらそふ一茶の忌8滋賀県和 久
184冬温し槇垣多き上総道7千葉県須藤カズコ
266この寺も鐘突かぬ寺柿齧る7京都府しげお
122五千石句碑凩のど真ん中6静岡県指田悠志
132給食は無言のままにそぞろ寒6神奈川県ひろし
137触るるならお気に召すままラ・フランス6神奈川県素 秋
156振り返りふり返り行く枯野かな6奈良県陶 生
167削られし山肌白し寒の月6神奈川県光 枝
174枯蘆を刈りて生まれし風の道6神奈川県風 神
180散黄葉秀吉好みの金の庭6兵庫県喜 柊
231立冬や碁を打つ音の透き徹る6和歌山県茫 々
287しぐるるや行者に抜かれ雲母坂6兵庫県喜 柊
293けふだけの一汁一菜一茶の忌6神奈川県毬 栗
317十二月巫女も天使も支度中6神奈川県りゅう
214磯菊や日蓮流れ着きし浜5静岡県こいちゃん
312晩鐘の余韻殷々山眠る5奈良県たにむら
123人の夢儚きと読み蕪汁5千葉県蘆 空
164胸の内口には出さず大根擂る5埼玉県立山 嶺
169野良猫の走る神殿神の留守5愛媛県牛太郎
216釣舟の向きそれぞれに鯊の潮5愛知県草 木
278現金で払ふ世代よのつぺ汁5東京都梧 桐
215冬の田にうからやからの墓ならぶ4栃木県垣内孝雄
114秋深し茜背負って下校の子4千葉県山 月
115枯蓮の相見互いにもたれ合ふ4京都府せいち
139冬麗や固き座席の人力車4埼玉県郁 文
140反り破風の御堂静けし初しぐれ4千葉県みさえ
146夕時雨赤きランプの純喫茶4神奈川県ようこ
191山村をつなぐ電線深雪晴4千葉県岩 魚
208山に居て海に片脚冬の虹4静岡県有 希
252名を呼べば犬は落葉の音を連れ4神奈川県ドラゴン
271外苑は落ち葉の舞台ロンド舞ふ4埼玉県立山 嶺
117目に舌にまこと鄙びし屋敷柿3栃木県荒川三歩
119穭田や規則正しく時流れ3長崎県みんと
121夕時雨解体工事せわしなく3京都府花 子
126山装ふ吞み込まれゆくロープウエイ3愛知県淳 和
129縁側の湯飲みに止まる赤とんぼ3栃木県あきら
152碁敵の長考はばむ時雨かな3東京都水谷博吉
162マラソンの一団過ぐる冬日和3岐阜県辻 雅宏
178凩のぶつきらぼうに吹きにけり3静岡県えいちゃん
189クリスマスピアノの響くターミナル3神奈川県みぃすてぃ
194小三治師のちはやふる聞く文化の日3神奈川県佐藤けい
225赤き実を照らして釣瓶落としかな3神奈川県ひろちゃん
229飛行船過ぎゆく火の見櫓かな3静岡県指田悠志
236「初恋」の道を知りたる林檎かな3栃木県あきら
238学童の子等の家路や秋の暮3神奈川県阿部 文彦
246木枯しと戸を叩きけり回覧板3埼玉県郁 文
304ビル街に残る枯野や風の道3埼玉県夜 舟
305塗り剥げし漆の椀や冬至粥3滋賀県和 久
109松手入庭石ひとつ向きをかふ2愛知県草 木
111新しき絵馬木の香り蓮枯るる2東京都小石日和
130大根の白に驚く水仕事2神奈川県ほたか
142ここよりは廃村の道熊の糞2石川県一 鷹
147御座します弥勒菩薩や神無月2埼玉県祥 風
150風花やばさりばさりと鳶輪舞2北海道みなと
153冬日影転がり太る綿ぼこり2三重県八 郷
166山吹や実は生らずとも返り花2兵庫県大谷如水
177一本の飛行機雲や冬入日2三重県正 耕
179綿虫の静かに集ふ夕間暮2静岡県彗 星
190干からびし保湿クリーム冬の薔薇2三重県déraciné
192満月や開店する店閉める店2千葉県相良 華
193会おうねと彼女は云ひて喪の葉書2奈良県よっこ
196日めくりも淋しくなりて師走かな2茨城県古屋逸光
199剪定を了へて一服暮早し2神奈川県ひろ志
200椎の実を炒りてほのぼの昭和かな2山口県ももこ
204街路樹の梢に冬日留まれり2静岡県春 生
217後輩の訃報届きし夜寒かな2千葉県えだまめ
219斜陽なお雲間に残り冬芒2千葉県良 仙
222茶の花や屈めば夕日正面に2京都府せいち
233鹿笛や今は昔の登山地図2愛知県淳 和
237遠くより子を呼ぶ声す冬木道2神奈川県ほたか
251グーグルで世界旅行や長き夜2愛知県コタロー
253木枯らしの夜やラジオの声乱れ2神奈川県ようこ
257カタログをあれやこれやと冬はじめ2北海道みなと
260出雲へのルートは内緒神の留守2三重県八 郷
261白妙の雲に透けたる冬の月2静岡県さくら
262ひつじ田や千の茎間に万の風2千葉県風 聲
267最後なる免許更新冬の蝶2愛知県さ と
275梵音の寂聴逝くや寒昴2静岡県浜 子
276四阿で休むひととき片時雨2愛媛県牛太郎
285戸惑ひを残して山野冬に入る2静岡県えいちゃん
297ねじ締めの錠緩みたり虎落笛2三重県déraciné
110子ら去りし児童公園冬に入る1千葉県えだまめ
112品書きの赤い筆跡冬始め1千葉県良 仙
116友来る嬉しく暮れて冬ぬくし1兵庫県鈍愚狸
120村静か隣の町の秋祭1大阪府藤岡初尾
124斑白の貌がみつむる今朝の冬1和歌山県茫 々
128大屋根と茅葺き屋根と澄む空と1静岡県かいこ
131頂上の古き切株秋惜しむ1神奈川県阿部 文彦
138軒下の懺悔の日々や吊るし柿1千葉県光雲2
141結婚の報告葉書冬うらら1広島県山野啓子
145息白し汝は伴走の歩を合はせ1神奈川県ドラゴン
148草の花真しやかな名の由来1北海道篤 道
154神無月古墳の扉開きしまま1静岡県さくら
155蚯蚓鳴く天地の闇を誰ぞ知る1千葉県風 聲
161牡丹焚火過ぎし色香のにじみをり1神奈川県横坂 泰
163まるまると雲の優しき柿花火1千葉県文 武
165新蕎麦や大阪暮し長くなり1兵庫県瞳 人
168黒潮の海をはるかに時雨来る1静岡県浜 子
171泣きべそをかく胃袋へ根深汁1東京都梧 桐
186市おわり眠る児のごと酉の町1神奈川県毬 栗
197白菊の白漏れ出づる朝の庭1埼玉県夜 舟
202送り出し二度寝する背や冬隣り1静岡県みちのっ子
203冬初め帰り忘れの白き月1青森県と と
210くだら野の続く限りの日の眩し1神奈川県りゅう
212蜂蜜が底に固まる十二月1群馬県志 楽
220冬の暮れ波ひき寄せる陽のひかり1千葉県あけび庵
223悪しきこと良きこと一日冬紅葉1兵庫県鈍愚狸
227少年の上達早き祭笛1大阪府藤岡初尾
230神無月喪中はがきの先駆けり1千葉県蘆 空
239獅子像の牙隠したるマスクかな1神奈川県ひろし
240マフラーで個性アピール女子高生1千葉県玉井令子
241北向かひ冬歌うたふ襖かな1兵庫県峰 乱里
243自転車を押して溶けゆく冬野かな1滋賀県泥 亀
244燻りぬ昭和の匂ひ落葉焚き1神奈川県素 秋
245解き放つ心の憂さや冬の鵙1千葉県光雲2
250暮早し自転車ペダル発光す1埼玉県桜 子
256帰り道散る山茶花の増してをり1茨城県申 女
258愛犬の面影偲ぶ初時雨1愛知県茶ぼくさ
259独り言こぼして冬蝶窺えり1東京都水谷博吉
270転んでも痛いの飛んでけ七五三1千葉県文 武
279筆ペンに濃淡つけむ冬の空1神奈川県じゃぐ
281錆び朽ちし螺旋階段そぞろ寒1神奈川県風 神
291森育ち昭和も遠く冬桜1千葉県須藤カズコ
294恙なく日暮重ね十二月1福岡県宮内和彦
298公園の照り葉の中をピアノ曲1千葉県岩 魚
300かさかさと踏むも楽しき落葉道1奈良県よっこ
301一鉢のポインセチアは派出所に1神奈川県佐藤けい
306境内を抜けて畦道枯尾花1神奈川県ひろ志
311山の端に昨日の札所寒茜1静岡県春 生
313白芙蓉見下ろす島の船着場1沖縄県繭 子
318北窓を塞ぐソーシャルディスタンス1大阪府椋本望生
319金平糖掌零れ冬銀河1群馬県志 楽
320仔金魚の三つ尾せはしき小春かな1広島県一 九
選評 選者:「草の花俳句会」副主宰 鈴木五鈴(すずきごれい)

《兼題の部:「小春」》

★理容師の鋏の軽き小春かな

小春、小六月は陰暦10月の異称。穏やかな日和は小春日とも小春日和などともいう。初冬のまだ厳しい寒さ
が来る前の、ほっとするような日々を思う。そんな日の「鋏の軽き」は理容師としての実感かもしれない。
しかし、作者が客としてそのように感じられたとしても勿論差し支えない。小春らしい感覚がとても良い。 

◎貝殻を拾う親子の小春かな

のどやかな小春の一日、作者はご家族で浜辺に遊ばれた。海水に触れるのは冷たいことでしょう。そこで親
子は貝殻を拾うことに熱中したというのです。穏やかな小春だからこその遊び。良い景です。

◎せせらぎに飛び交ふ小虫小六月

確かに風が収まったような日溜まりには、とりわけ川などには群れたように「飛び交ふ小虫」と良く出会い
ます。蚋や蚊などとは異なり、人間にはあまり害をなすとは思えませんが・・・・あまり近づきたくはあり
ませんね。しかし、これも小六月らしい景でした。

《自由題》

★母のこと遠くなりゆくちゃんちゃんこ

作者にとっての「ちゃんちゃんこ」は「母」のイメージでもあるのでしょう。その「ちゃんちゃんこ」も今は
昔といった状態にあります。「ちゃんちゃんこ」を眺めながら、しんみりと「母のこと遠くなりゆく」とつぶ
やかざるをえない作者。その哀しさが読み手の心にも届きます。

◎乾きたる轍の跡の冬田かな

すでに稲刈りも終わり冬耕も済んだ冬田。しかし、しばらく人の手は入らなくなります。冬田に残るのは「乾
きたる轍の跡」ぐらいでしょうか。その後は雨風にさらされるばかりとなります。冬田を良く見ておられる方
の句ですね。

◎砂浴びの雀あらそふ一茶の忌

砂浴びをしている雀。別に争っているわけではなく、じゃれあっているのでしょう。そんな景を「一茶の忌」
(陰暦11月19日)と取り合わせた作者。一茶の眼差し、が感じられます。一茶の雀の句では「雀の子そこのけ
そこのけお馬が通る」が良く知られています。


添削(ランクアップのために)

 ①擬人化は魅力があるかもしれませんが、成功例は少ない。
 ②助動詞「し」の病から早く脱出されるように。
 ③最初は、映像として景が見えるような句を。

・均されて花壇の憩う小春かな → 均したる花壇に憩ふ小春かな

「花壇の憩う」って変ではありませんか。あるいは花壇を擬人化したのかもしれませんが、やはり「花壇に憩
ふ」としたいですね。また他人事のように「均されて」とするよりも、作者の行為として「均したる」とした
方が句は強くなります。そうしなければ「小春かな」も浮きます。ご検討ください。

・物忘れともに笑ひし縁小春 → 物忘れを互ひに笑ふ小春かな

「笑ひし」では過去の思い出話になってしまいます。いつも指摘することですが、「し」は過去を表す助動詞
なのです。「し」の病から早く抜け出せるよう願います。また「縁」という場所の限定も、この句では不要で
はないでしょうか。

・飛行船過ぎゆく火の見櫓かな → 火の見櫓を通り過ぎゆく飛行船

「過ぎゆく」は終止形か、連体形かで大きく変わります。おそらく作者は「飛行船が過ぎゆく」との意味で詠
まれたのではないでしょうか。すると終止形となり、句はここで切れることになってしまい、「火の見櫓かな」
が浮いてしまいます。「過ぎゆく」主体は明らかに「飛行船」なのですから、そのまま「過ぎゆく飛行船」と
すべきですね。下から見上げる景として描いたのが添削句です。ご参考までに。
        
戻る